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車内広告の落日

 先日、自分の仕事の関係で車内広告の効果を確認するために、しばらく電車に乗って周囲の人を観察したことありました。スポット的でない全面広告を出したため、各駅に停車して人が乗り降りする都度、乗客の中には、ふだん見慣れない車内の情景に、一瞬、目を取られている人も見受けられましたが、車内で過ごす多くの人はスマホを操作しており、あとは本を読んでいる人が数人という感じでした。

 自分自身、毎日の通勤に電車を使っているものの、トレインチャンネルの1分間クイズのようなものは時々見ているものの、車内にどんな広告があったかは、全然覚えていません。スマホ見ているか、本を読んでいるか、疲れていれば目を閉じています。それで、自分が広告を出す側に立って、あらためて日々利用している電車の車内を眺めまわしてみると、車内広告のスペースは空白が多いことを、あらためて知らされました。

 考えてみれば、ネットが使えれば、何か欲しいものを探すときは、アマゾンか楽天でキーワード検索して、良さそうなものを選びます。リアル店舗で並べられた商品の中から選ぶというのは、ネットショッピングに慣れてしまうと、選択肢が狭すぎて、よほど急ぎの時でもない限り、リアル店舗では買わなくなっています。情報もテレビから入手することはほとんどなくなり、日経新聞は文化欄が充実しているので朝夕を取り続けてますが、ニュースのほとんどはネットであり、それに加えて、信頼する筋からの分析で自分の判断を補強しています。

 車内広告の役割は終えつつあり、人口減少、生産年齢人口の減少、テレワークの普及による毎日の通勤利用の減少で、今後もその価値は下がり続けるように思います。ですので、スポット的な車内広告はほとんど無視されるでしょうし、駅のデジタルサイネージなんかも、東京の主要駅であっても、よほどインパクトのある、今から売り出そうとする商品でないと、かけたコストに見合う価値はないように思います。まともに考えれば、こうした費用対効果を考えずに何となくやった感を求める、自治体の移住定住情報とかの需要しか見いだせないように思います。ただ、車内全面広告については、相互乗り入れで遠いところまで往復している路線であれば、まるごと広告が広い地域を移動するので、これまで目に留まらなかった人の目に入る可能性は高く、他の地域に知られていない企業や商品のPRには、一定の効果があるように思います。

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