見出し画像

夢はどうやってできるのか? 夢分析をさらに解説してみた―夢の検閲官「チェックン」―

子どもの夢

夢の門

ここは夢の世界。
心理的に健康で、子どもの夢の世界です。
 
夢の世界では、願望達が次の夢に出演するために集まっています。

お腹がすいて何かを食べたいという願望
―最近熱くなってきたので、海へ行きたいという願望
イヌと一緒に暮らしたいという願望

 その他さまざまな願望がいます。
  
さあ、もうすぐ睡眠が始まります。

門の前に集まる白くて丸い願望たち

願望達は夢に出演するために、門の前に集まりました。
 
すると、そこには検閲官のチェックンがいます。
チェックンは言います。

検閲官チェックン

「ここを通りたければ、自分がどんな願望であるか私に答えよ」

検閲官であるチェックンは、夢を見る主様:人間がどんな人なのか全てを知っています。
そして、今日はどんな夢を見るべきかを知っています。
ちなみに本職は、昼間の抑圧であるが、夜には門の監視役をしています。
 
まず、はじめにやってきた願望は
「冷蔵庫にあるプリンを盗みたい」という願望でした。
 
願望は言います。

願望「冷蔵庫にあるプリンを盗みたい」

「私は主様にプリンを食べてほしいのです。ですから、夢に出させてください」

チェックンは願望をにらみます。

「だめだ。主はプリンを盗むような人間ではない

 願望は落ち込んで帰っていきました。 

「次」

チャックンが言います。
 
次にやってきた願望は、「喉が渇いたので、水を飲みたい」という願望でした。
 
願望は言います。

「私は主様に水を飲んでほしいのです。喉が渇いているのがあなたにもわかるでしょう?」

 チェックンは願望をにらみます。

「本当にそれだけか?」

「はい、もちろんです」

願望は答えました。
 
しばらくの沈黙の後、チャックンが言いました。

「うーん」
「よかろう。通るがよい」

 願望は走って門を通り過ぎていきました。
 
こうして主は水をたくさん飲む夢を見ることになりました。

水を飲む夢

次の夢の世界は、神経症の人間。つまり、精神的な問題を抱えた夢分析を受ける人の世界です。
 

 神経症の夢

いつものように門には願望たちが並んでいます。
 
しかし、ここでは一際目立った願望がいます。
彼は他の願望達を押しのけ、門の前までやってきます。 

受け入れがたい願望

「俺を夢に出してくれ」

 そういうと検閲官のチェックンがやってきました。 

「お前はどんな願望だ?」

 願望は答えます。

「俺は親に仕返ししたい、願望だ」

 チェックンはにらみます。

「そんな願望は夢に出てはならん」

願望は言い返します。

「でも、主様は毎日思っているはずだ。仕返ししたいって。
けど主様は気づいていない。
自分が苦しいのは俺のせいだって。
気づかないうちはずっと苦しいままだ。
本当にいいのか?俺を出さなくて」

 それはチェックンも気づいていました。
なぜなら、他の願望達は夢に出ようとはしなくなっていたからです。 

「しかし、そんな夢をみては主が余計に苦しくなってしまう」

悩んだチャックンがある提案を思いつきます。 

「ならこうしよう。お前がそのまま夢に出ることは許さないが、
変装するなら、夢に出てもよかろう」

「変装?」

願望は首をかしげます。

ある国の王様が病気になった

「例えば、『親に仕返ししたい』ではなく
ある国の王様が病気になった』というのはどうだ。
病気になった原因は主であり、そのことで罪悪感を感じている
という内容であれば夢に出ても構わない」

 願望は悩みました。
しばらくして願望は答えます。 

変装した願望

「わかった。夢に出られるなら何でもいい。
それに夢には何回だって出られる

 こうして、主は自分のせいで病気になってしまった王様の夢を見ることになりました。

解説

こんばんわサイモン心理大学です。
 前回「夢分析とは何か」という動画に「難しい」というご意見をいただきました。
そこで、今回はよりわかりやすくした動画を作っています。
 
コメント本当にありがとうございます。
私の動画は専門用語が出てきたりと、難しい動画があるかと思います。
このようにコメントいただき、とても助かります
 
さあ、というわけで夢分析についてなのですが、

夢分析を始めた精神分析学、提唱者フロイト
夢の成り立ちをどのように考えたのか
そして、夢分析の意義とは何か

 それを絵本チックな物語にしてみました。
 
夢分析をより明確にイメージしていただけるだろうとこのような方法をとりました。 

この物語では「フロイトの考える夢の成り立ち」についてのお話です。

 この物語の解説と、夢分析は何を目的としているのか
ここからは解説をさせていただきます。
 

夢の正体

まず、フロイトは夢の正体は願望であると考えました。 

一般的で健康な人の夢には、願望がそのまま表れると考えたのです。

「喉が渇いたので水を飲みたい」は願望です。
そしてその願望は夢にそのまま「水を飲む夢」として表れるのです。
 
他にも、子どもの夢には

イチゴを食べる夢
プリンを食べる夢
おねしょする夢

 願望がそのまま表れることが多いそうなんです。
 しかし

神経症の人の夢には、願望がそのまま表れないことをフロイトは確認しました。
神経症とは、精神的な問題のことです。

 フロイトはその原因を

受け入れがたい願望が隠されたためではないかと考えました。

  神経症の人間は心の奥底で「受け入れがたい願望」を抱えています
しかし、チェックンの抑圧のおかげで日常生活では、「受け入れがたい願望」の存在に気が付いていません
 
抑圧とは、受け入れがたい願望を意識から無意識へ追いやることです。
 
人間は、自分が「親に仕返ししたい」とは、思っていないと答えるでしょう。
そうして、人間は眠りにつきます。 

しかし
この受け入れがたい願望の抑圧は、睡眠中には少し弱くなるというのです。

 睡眠中はチェックンの抑圧の仕事が少しお休みになります。
門の監視役をしなければいけないからです。
 
抑圧の少ない睡眠中に「受け入れがたい願望」が夢として表出したがるようになるのです。

「今がチャンス!」とばかりに門の前に堂々と現れます。
 
そして、チェックンを説得します。

「受け入れがたい願望」は大きければ大きいほど、人間の日常生活に支障をきたします
これが神経症の原因です。

例えば、うつ症状が出たり、体調を崩すかもしれません。
 
チェックンは願望がそのまま夢に出てしまうと、人間が罪悪感を感じると考えました。
「受け入れがたい願望」とは、自分がまさかそんなことをおもっていたなんて、というような内容なんです。

抑圧なしに、夢に出ることはチェックンが許しません。
ただ、ずっと隠し続けていても、神経症の問題は治りません
そのため、変装を提案したのです。 

そうして、受け入れがたい願望は変換され夢になるというわけなんです。

 さらに、その夢の変換方法には法則があります。
それは象徴化なんです。 

象徴化とは
抽象的な思想や感情などを、具体的なものによって理解しやすい形で表すこと」です。

いわゆるシンボルのことです。
 フロイトは 

「王と王妃の組み合わせは夢見手の両親を表しており、
王子や王女は夢見手を表している」と考えました。

両親なら:王様
自分なら:王子様
というようなシンボル化することで、直接的な罪悪感を避けようとしたのです。
「受け入れがたい願望」の変装は象徴化によって決まります
 
このように、現実のものが夢ではシンボル化して表れるようになるんです。
 

さて、夢分析の意義ですが、
変換された願望は、飽くまで受け入れがたい願望なのです。
 
神経症の問題を引き起こしています。 

夢分析は、夢の中に神経症の原因を見出すことを目的としています。

つまり、「象徴化された受け入れがたい願望」がどんな願望なのかを解読することなんです。
 
解読されることで、夢見手である人間が本当は何に悩んでいたのか理解できるのです。
 
解読された「受け入れがたい願望」をどのように受け入れていくのか
が神経症治療になる
、というわけなんです。

しかし、1つの夢全てを解読することは難しいです。

全てを解読することは、その人の心全てを理解するレベルだという人もいるそうです。 

そのため、夢を見た患者さんが夢について自由に話すという方法を用いられているそうです。
 
これが夢の正体です。
  

オワリに

以上が夢の解説になります。
もしも、この説明もわかりづらいと感じたなら、もう一度別の方法で解説させていただきますので、コメントくださいませ
 
夢分析についてですが、フロイトの夢の理論以外に、ユングの理論など様々な夢の理解があります。
 
今回説明したのが、全てではありません。
 
また、フロイトの夢の説明は何十年も前のものです。
今回の説明はもう古いのかもしれません。
 
夢分析は当時よりもかなり少なくなってきた印象です。
現代は全くないということはありませんが
自由に話すカウンセリングで夢の解釈をするというよりも

そこにどんな感情があったのかや
クライエント、患者さん自身がどのように思ったか

を重視しているように私は思っています。 

精神分析を理解するには10年は修行がいる

昔、先生から聞いたことがあります。

夢分析に興味があれば
精神分析学入門」や今回参考にさせてもらった「ベイシック・フロイト

などの本をご覧になれば、より詳細に理解できるかと思います。
 
フロイトの夢を理解するだけでもかなりの時間がかかりますので、おすすめです。
 
私も勉強しておきます。

引用文献

・マイケル・カーン (2017)「ベイシック・フロイト―21世紀に活かす精神分析の思考」岩崎が駆出出版社, 監修:妙技浩之, 訳:秋田恭子, 清水めぐみ
amazon 「ベイシック・フロイト」 https://amzn.asia/d/8Ghc70g

・フロイト (1973) 「精神分析学入門」中公文庫, 訳:懸田克躬 amazon 「精神分析学入門」 https://amzn.asia/d/baaDbXm

いいなと思ったら応援しよう!