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失敗が怖かった ~心に刻まれた上司の一言がフリーランスの人生を導いた~

「どうしよう?」
「ヤバいな…」

私は一人で悩んでいた。
誰にも相談せず、自分だけで何とかしようとしていた。
穏便に解決しようと知恵を絞ったが、経験不足の私は打開策を見つけられないまま、2日が過ぎ、3日が過ぎた。


原因は、仕事で発覚した問題

当時の私は30代前半、商社で営業職として働いていた。
社会人としてある程度の経験を積み、大手企業の担当を任されるまでに成長。営業成績も好調で、社内評価も右肩上がり(自画自賛…)。
もちろんミスや失敗もあったが、若さと勢いでうまく乗り越えていた。

意気揚々な商社マン、鼻高々、仕事を甘くみていた。

実は、今振り返れば、それほど深刻な問題ではありませんでした。しかし、当時の私は自ら問題を大きくしてしまっていた。

人生の転換点となった出来事。
心に刻まれた上司の一言が、今のフリーランスとしての人生を導いてくれた。

当時に戻ります。

ことの発端は、私が担当していたお客様からの「注文の納期を前倒ししてほしい」との要望。
私は過去の注文と納品の実績から判断して、必要な確認を取らずに「大丈夫です、前倒し可能です」と即答。
これが大きな過ちだった。

私が勤務していたのは商社、仲介業です。
A社から製品を仕入れ、それに商社で価値を付加して、B社に販売との流れになります。つまり、私はA社に納期を確認したうえで、B社(お客様)に回答すべきなのですが、その業務を省いたのです。

「問題ないだろう」
「今まで大丈夫だったし、今回もいけるはず」
そんな慢心と過信、仕事を軽く考えていた。

事態の急変

「どうしよう?」
「ヤバいな…」
さらに「ミスを上司に知られたくないな」
あの日も社内で一人思い悩んでいた。

そんなとき、お客様からの電話。
「えっ、何の話やろ?」
汗で湿った手で電話を取る。

「前倒しの日程、大丈夫だよね。受け入れの準備してるからね」
要望の日程の数日前。
前倒しはできていない。

さすがに「大丈夫です」とは言えず「申し訳ありません、申し訳ありません」と。
怒りの声になるお客様…。
私は、ただ「申し訳ありません、申し訳ありません、申し訳ありません」
ただ焦りまくっている私。
社内の視線が私に集まる。

果てしなく長い時間に感じられた電話。
「失礼します」と電話を切るや否や、上司に呼ばれた。

「お前、何してんねん?」

しどろもどろになりながら、状況を説明した。
険しくなる上司の表情。
沈黙の後、上司は口を開いた。

「ええよ、俺が責任取るから」
「一緒に謝りに行くぞ。お客さんに面談のアポイント取れ」

その言葉に、涙がこぼれた。

学んだ社会人としての心得

私はすぐにお客様に電話し、面談の約束を取り付けた。

訪問の途中、電車の車内で、静かに語る上司。

「会社での仕事はチーム戦や。個人戦ちゃうで。お前一人で抱え込むな」
「どんなに大きなミスをしても、会社の責任にすればええんや。極端な話、命を取られることはないから安心せえ」
「誠意を持って対応すれば、お客様も理解してくれる。要は、気持ちの問題や」
「大切なのは、問題が発生した後の丁寧で迅速な応対。そこで信頼関係を築くんや」
「トラブルは、お客様と仲良くなれるチャンスやで。あとあと『あの時の問題は大変やったよね』と笑い話になるんや」

私は何も言えず、ただ聞くだけだった。
「今まで俺は何をしてきたんだろう」
自分の甘さに気づいた。

挑戦と成長

その後、私も年を重ね、部下を持つ立場になった。
この経験を常に心に留め、今も自分の指針になっている。

「ええよ、俺が責任取るから」

心に刻まれた一言。

失敗を恐れない勇気、成長へとつながる挑戦の大切さも学んだ。

そして今、私はフリーランス(自称「クリエイター × 株式投資愛好家 × 旅するランナー)として強く楽しく元気に歩んでいる。
この経験があったからこそです。

〇〇さん、ありがとうございました!
心から感謝しています。

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