矢内原美邦が率いるパフォーマンスグループNibroll(ニブロール)の舞台はそれ以前から見ていたが、矢内原が自ら演劇公演と名付けているミクニヤナイハラプロジェクトの初めての公演「3年2組」(2005年)を吉祥寺シアターで観劇した時の衝撃は今も記憶に鮮明に残っている。
その時に感想として書いた日記風レビューを以下に紹介してその時の興奮を思い起こす一助としていきたいとは思うが、実はその時点ではこの「3年2組」がどのような射程を持った表現であるのかというのはまだ判然とはしていなかったかもしれない。
この感想では比較対象としてチェルフィッチュとCRUSTACEAのみを取り上げているが、この翌年(2006年)に東京デスロックの多田淳之介が「再生」を上演。さらには柴幸男のままごと「わが星」も出てきて、東日本大震災を契機に平田オリザらによる現代口語演劇からポストゼロ年代演劇へと現代演劇の担い手の主軸は移っていく。
さらにその中核となるのが身体に負荷をかける表現であり、矢内原美邦はダンスの世界から演劇の世界に参入したという意味ではアウトサイダー的存在でありながらも2012年には「前向き!タイモン」で岸田國士戯曲賞を受賞するなど演劇界においても次第に確固たる地位を築いていくことになった。
もっともこの「3年2組」のころにはその特異なスタイルは演劇ファンにはまだ抵抗が大きかったのか「セリフが聞こえない」などと結構不評が多かったのに当時コンテンポラリーダンスやマルチメディアパフォーマンスなどを頻繁に観劇していた私は逆に演劇の観客はここまで保守的なのかと驚かされもしたのである。
矢内原美邦はその翌年には演劇作品としてはその延長線上にある「青ノ鳥」*1*2を上演。以下は山の手事情社のハイパーコラージュ期の作品と比較して「青ノ鳥」を分析した論考である。
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*1:
*2:www.wonderlands.jp