髪を染めるって魔法、知ってる?
髪を染めるって、魔法だ。
なんだか吸う空気がおいしくなる。
日常が踊り出し、弾む。
自分をもっと好きになる。
こんな魔法があるなら、もっと早く知りたかった。
なんで誰も教えてくれなかったの…!!
…いや、違う。髪を染めることができるのはもちろん知ってたさ。
でも、こんなに自分を変える力があるとは思わなかったんだ。
めんどくさがり屋だから
わたしは先日、30歳を目前にしてはじめて髪を染めた。
これまでに何度も髪を染めたいと思ったものの、私の腰の重さとずぼらさを考えると、定期的に美容院に行ってきれいにしてもらうことは絶対不可能だと思って染めずに生きていた。実際、ロングヘアの頃は3~4か月行かないこともあったし、かつての自分としては間違っていない選択をしていたと思う。
そうしてヘアカラーをせずに人生30年目。
ヘアカラーをしない理由と同じような理由を他のいろんなことにも当てはめて、妥協を重ねて生きるのに慣れてしまった。妥協するのが当たり前になって、生きることに面白みを感じることが減っていった。
まさに、”こうしてみたいな”を理屈でつぶすプロ。
そしたら長く付き合ってきた人に別れを告げられた。
絶望が後押しに
もちろん途方もなく悲しくて落ち込んだ。泣いて過ごした日々もしばらくあったけれど、別れたおかげで気が付いたことがある。
「人生をもっと楽しみたい」
「やってこなかったことに挑戦してみたい」
「もっと素敵になりたい」
と願っている自分が、主張が弱いながら確かにいること。
そして、
「身近な人に否定されたくない。否定されるのがこわい。」
という恐れが、願いを殺してきた事実に直面。
失恋したおかげで自分の選択に他人が介入してこなくなったことで、小さく縮こまっていた願いたちがぶわっと主張を強めだした。
一人で生活する利点は、誰にも何も邪魔されないこと。
それならば、と、かわいいと思う髪色をやってみたいと思う気持ちに素直に応えることにして、美容院に向かった。
髪を染めたら人生好転した
美容院でヘアカットとカラーをしてもらったら、仕上がりのよさに語彙を失い、しばらく「かわいい…」しか言えなくなった。
素直にぽつり、
「”こんな私”でもかわいくなれるんだぁ。」
と思えた。
素敵なヘアスタイルをしている自分を誇らしく思うようになった。
もっと素敵になりたいと久しぶりに化粧品も服も新調した。
それからしばらくは、鏡を見るたびにムフフとにやける毎日。
毎日見る自分の姿が新鮮で、日常がきらめく。
料理や家事もなんだか楽しくて、仕事も前向きに取り組めて、いいことずくめ。
どんどん自信を取り戻した私は、今までやってこなかったことに挑戦したり、気になることをすぐ実行するようになった。
しまいに新しく出会った人とのお付き合いまで始まってしまった。
髪を染めることは、人生をも変える力がある。
そんな魔法の力を知れて、魔法にかけられて、本当によかった。