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小論文・志望理由書作成時の「原稿用紙の使い方」とそのルール

更新日:2024/09/17

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。

(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)

 いろいろな記事でお話ししているように、先日から、今まで書いた過去の記事の見直しを、主にSEOの観点から行っています。で、その際、よく検索されているワードを調べるのですが、意外と「原稿用紙の使い方」に関するワードが検索されていることがわかりました。

 そこで、当初は予定していませんでしたが、「原稿用紙の使い方」とそのルールについてここでまとめたいと思います。

 当初記事にまとめる必要がないと感じた理由は、一つ目は「中高生や受験生以外のnote記事の読者の方々に余りにも関わりのないトピックであると考えたため」、二つ目は「ルールなので、小論文の参考書や問題集などにも普通に載っているトピックであるため」です。

 でも、結構ネットで調べている方が多いようなので、ここでまとめていきましょう。


原稿用紙の使い方の主なルール

行頭禁則処理(縦書き・横書き共通)

 最も誤りやすいルールです。これを「行頭禁則処理」と言います。行頭に句読点やとじかっこ(」)は置きません。前行末の最終マスの中か外に置きます(中でも外でもよい)。またくり返し記号(々)も行頭に置きません。くり返し記号が行頭に来る場合は、元の漢字に直して行頭に置きます(例:人々→人人)

小さな「つ」は行頭か行末か(縦書き・横書き共通)

 「あった」などの拗音・促音の小さな「つ」や小さな「ゆ」などは他の文字と同様に記号ではなく一文字の扱いであるため、行頭に置いてよいです(つまり一般的には行頭禁則処理の対象と考えない)。なお、参考書や指導書、あるいは指導者によってはこれと「異なる見解」を持っている場合があります。それについては、下の拙記事で扱っていますので、気になる人は下の記事に目を通してみてください。

数字とアルファベットの扱い(縦書きの場合)

 縦書きのときは、数詞であっても、基本漢数字で書きます(例:八〇歳・二五六メートル・一九八五年)。英語その他の言語に由来する言葉は、それに相当する日本語の言葉に直すか「外来語」として通用しているものであればカタカナ表記にします。ただし一般化している略称は、主にアルファベット大文字を用いて縦書きの表記も可能です(例:NHK=日本放送協会・SNS=ソーシャルネットワークサービス・WHO=世界保健機構・SDGs=持続可能な開発目標※最後のsは小文字)。

数字とアルファベットの扱い(横書きの場合)

 縦書きのルールに準じますが、数詞における数字は基本算用数字を用います。この場合は1マスに2字です(例:「100」の場合、1マス目に「10」、2マス目に「0」)。小数点は1字扱いします(例:「3.14」の場合、1マス目に「3.」、2マス目に「14」)。また万以上の単位を表す文字(漢字)を並記して使ってもよいです(例:800万・20億)。またその他の単位記号も使用可能です(例100m・55g・23%)。分数は「3分の1」などの表記が基本ですが、「1/3」も可です。日付は「令和6年9月5日」を「R6.9.5」または「令和6.9.5」と表記してもよいです。ただし、数詞でないものは熟語なので漢数字表記になります(これは縦書きも同様です。この間違いは非常に多いです。これについては、下の記事の「4 どこまでが数詞か」でも扱っています。例:一方・一般・四季・三寒四温)。また概数表記は漢数字も使用できます(例:約六百万人)。

 アルファベットは、大文字は1マスに1字、小文字は1マスに2字です(例:「Asia」の場合は3マス)。

句読点とその他の記号の使い方(縦書き・横書き共通)

 句点は、文の終わりにのみ用います。行頭には置きません。読点は、一つの文の中で語句や節を分けるときに使います。これも行頭には置きません。中点(なかてん、なかぐろ)は語句を並列するときに用います。(まる)かっこは、主に注記する場合に用います。かぎ(かっこ)は、会話や引用、注意を引きたいとき、特殊な意味づけをするときに用います。二重かぎ(かっこ)は、かぎ(「」)の中にかぎ(「」)を設ける場合や書名・作品名に用います(例:『羅生門』)。なおどれも最後のとじかっこは行頭に置きません。くり返し記号は通称ノマ(々)のみ使用可能(ただし行頭は不可)で、それ以外のくり返し記号は使えません。また、ここに書かれている記号以外の記号は原則用いません。

(句読点やかぎかっこについては、以下の記事でも扱っています。)

まとめ ~原稿用紙の使い方に関するルールをしっかり守って書こう~

 以上が主だった「原稿用紙の使い方」に関するルールです。これはルールなので「覚えておいてください」としか言いようのないものですが、小論文や志望理由書を書くときには(ルールである以上)しっかり守るようにしましょう。

〈参考図書〉

『新訂版 常用国語便覧』(2021年10月5日新訂版発行)
浜島書店 刊 加藤 道理 他 編著


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