母親、について【プロポ】220906
ウルフルズの、わりかし有名曲である、『かわいいひと』。
何も考えずに聴くと、ラブソングの類いかと思われるのだが、ラブはラブでも恋人ではなく、母親にあてた曲である。ということは、けっこう知られていない。かもしれない。
私の母親も、一言で表すなら「かわいいひと」であると思う。
もちろん(?)、見た目の話ではない。
人間性の話だ。
そして、何より、「ふしぎなひと」であると思う。
まず、実の母なのに、素性が知れない。
母方の祖父母は、どこに住んでいるのか、生きているのかも知らない。
というか、知らされていない。
母には姉がいるらしいが、「らしい」ぐらいしか知らない。
父と母は、イトーヨーカドーの店員として出会ったらしい。
そんで、なんかかんかあって、父が地元である田舎に帰るとき、一緒に嫁いできたらしい。
多分、カケオチみたいな感じだったのだろう。
母は、きっと、実家を捨てたのだ。
あやふやな言葉ばかりになってしまうのだが、母はこういう話を切り出すと、言葉を濁すので、子どもながらに深く聞けずにこれまできたのだ。
だから、「多分」「きっと」などの言葉を使わざるを得ない。
父の地元、すなわち私の生まれ故郷は、海沿いの小さな村だ。
イトーヨーカドーのあるような都市から、車で5時間以上かかる、小さな漁村へ移り住むのは、相当の覚悟が必要であったことだろう。
小さなコミュニティには、そのコミュニティなりの、しきたりや、おきてや、暗黙のモラルがあることは間違いない。
母は、そこに、裸一貫で乗り込むような、そんな人であった。
と、思われる。
【後半へぇ続く】