「介護施設で死ぬということ」
この本は「駒場苑」さんの図書コーナーで、職員さんの紹介文に興味を持って読んでみた本です。読了し大きな気づきがありました。
気づきとは「施設職員はお年寄りが施設での生活を始めることで出会う人間の1人。しかも同居家族並みに深く関わる人間である」ということです。
そんなの当たり前と思うかと思いますが、私にとっては「地球の方が動いている」ということを初めて知ったぐらいのインパクトがありました。
私は施設職員は利用者の生活をサポートする黒子のような存在だと考えていました。利用者が施設で出会う人間関係とは利用者同士の人間関係であり、施設を訪れる家族やボランティアの方との出会いであり、施設職員はそんな利用者の生活をサポートする黒子のような存在だと考えていたのです。
ですから自分がどんな人間であるかを知ってもらったり、好きになってもらうよりも利用者同士の出会いや繋がりを作ることに力を注いでいました。
しかしなんだかうまくいきません。お年寄りの困りごとや性格があまりに違うため、職員が間に入らないとトラブルになってしまうことが多くなかなか利用者同士が仲良くなることができないのです。
当時の施設長にもそのことを相談しました。「言いたいことはわかるけれど黒子だけと言うわけにもいかないんじゃない??」というようなことを言われました。
そんな私に、この本は「介護施設の職員はむしろ黒子であってはいけないのだ」ということを気づかせてくれたのです。お年寄りにとっては自分のプライベートな生活の場で共に過ごすだけでなく身体も預けるわけですから同居家族と同等、いえ親子といってもよいぐらい近い関係なのです。
そのことに気がついてから、なるべくあるがままの自分としてお年寄りと接していこうと考えるようになりました。
そしていつかそのお年寄りを見送る時がきたら人生の最後の時間をともに過ごしたものとして〇〇さんの〇〇らしさを知るものとして丁寧に送り出してあげたいと思います。