本日のワンシーン!「柳色の桜を探して」♯まとめ回 1場、2場、3場
こんにちは!シマです(*゚▽゚)ノ
久しぶりのまとめ回ですよ!いやぁ、更新が少なくなるとまとめも少なくなってしまって……長らくお待たせいたしました!
やっと、まとまった量ができたので、更新ですよ!(´∇`)
さてさて、4月ももう終わりに近づき、新生活でバタバタしていた日常も少しずつ落ち着いてきましたでしょうか?(・∀・)
前の投稿でお話しましたが、私も今年1月に転職し、やっとこの生活にも慣れてきました🤣
……といっても、前の職場の癖で未だに残業しがちですが……(入社して3カ月で45時間を超えそうになる人は初めてみたいです😓)
それでも、テレビ業界とは違って、無理に働かせる、泊まり込みなどの環境がないだけでも、この転職は成功だといえるでしょう!☺️
実際、どれぐらい違うのか……
覚えている限りで書いてみようと思います_✍
【前職・番組AD】
1か月目:初日、いきなり仕事を振られ、22時にまで会議
経費申請は締め切り後に説明され実費で制作費用を出す
休みの申請の仕方などを教えてもらえず、休みなしで稼働
2か月目:泊まり込みが発生。
やっと休みをもらえる(月2回)
休み中に仕事の連絡をもらい出勤(休み扱い)
3か月目:会社内のどこで寝られるか詳しくなる
毎日終電で帰るようになる
怒鳴り声にも耐性がつく
【現職】
1か月目:初日、社内の制度の説明や業務の説明を受ける
研修などを受ける
休みの申請を教えてくれる
2か月目:残業をし始めて怒られる
リフレッシュ休暇を取る
モニターなどの機材を購入する(会社の経費)
3か月目:案件が始動
少しずつ帰る時間が遅くなる
注意を受け、改善をする。
……差がすごい(゚ロ゚)
前職に関してはまだまだありますが、初日からきつかったですね。
(翌日には近くの席の人が来なくなったってことなどは結構あります)
とまぁ、少なくともこれだけで新しい環境がどれだけありがたいかが分かりますね!
この環境を大事にしつつ、いち早く一人前にならないと!(*´∀`)
何事にも当てはまりますが、慣れてきた時が一番ミスが起きやすいですからね!
気を抜かず頑張りますよ!😉
それでは、「柳色の桜を探して」まとめ回です!
これからも更新していきますよ!それでは!シマでした!(^^♪
「柳色の桜を探して」
桜の花びらが舞う夜の公園。
桜の木々は花が少なくなり、うっすらと緑が見えている。
街灯の明かりが葉を照りつけて、花びらのピンクが波打つ様に葉にも映り込み、薄い緑色に見える。
その桜模様をカメラを構え、写真を撮っている神田道子(18)。
その道子に気付き後ろから近づく佐藤歩美(18)
歩美「道子!……また撮ってるの?」
道子「……何だ、歩美か」
歩美「バスもう来るから行こうよ」
道子「先に行っててよ。私はもう少しここにいる」
と写真を再び撮り始める道子。
歩美「遅くに帰ると私が怒られるんだけど!あんたより先に帰ったら、あんたの母親が余計心配して大事になるんだよ!」
道子「なら歩美もこのまま残れば良いじゃん」
歩美「なんで私まで……はぁ、ここじゃなく
てさ、家の近くの桜を撮れば良いでしょ」
道子「分かってないね。この桜じゃないと行けないんだよ」
歩美「分かってないって……あのねぇ」
道子「周りに木はなく他の木の葉も少ない。
街灯の明かりの位置で葉の色が花に映るバランスがすごく良いんだよ」
明美「へー」
道子「興味ないの?」
明美「ないね。少なくとも今は帰りのバスの時刻しか頭にないよ」
道子「ダメだよ。こういうたまにしか見られない景色を大切にしないとさ」
明美「別に桜なんていつでも見れるし、色が少し変わってるからってーー」
道子「少しなんて!すごい時は本当に一瞬の間しか見れないんだよ!」
と詰め寄る道子。
明美「近いって」
道子「あ……ごめん」
明美「そんなに熱中するものなの?このただの桜が」
道子「……昔見たんだ。もっとすごい桜」
明美「こういうやつ?」
と目の前の桜を指さす明美。
道子「違う!もっと、緑が濃くて、花びらのピンクが落ちるときにだけ綺麗に変わっていく。幻想的な桜が」
明美「へー、どこで?」
道子「携帯で」
明美「携帯?」
道子「ツイッターで流れてきた」
明美「画像じゃん!いつでも見れるじゃん!」
道子「ちがうの!それに写真じゃなくて絵だったもん」
明美「写真ですらないんかい!そんなの現実にないんじゃないの?」
道子「それがね、その絵を描いた人はその桜を一瞬だけ見たことがあるんだって。何気ない公園の桜の木で、夜の本当に一瞬だけその桜を見たらしいんだけど、その風景を鮮明に覚えてて描いたらしいの」
明美「あのさ、がっかりさせるわけじゃないけど、そんな話だけを聞く桜を見るためにここにいるわけ?そんなの眉唾ものだし、もし本当にあったとしても絵は誇張して描かれているだけかもしれないよ?」
道子「そうかもね。でも私はそれを実際に見るまで私は諦めたくないんだ」
明美「ふーん……ってことは見るまでずっとここに寄るわけ!?私、付き合ってられないんだけど!」
道子「だから先に帰っていいよ」
明美「帰れないんだって!……あのさぁその緑色、これで納得できないの?」
道子「できなくはないけど、そういうのじゃないでしょ!」
明美「だよねぇ……いつ終わるのやら」
道子「明美は粘りが足りないね。短気は損だよ」
明美「短気じゃないし!」
道子「すぐに怒鳴る」
明美「はぁ……ちなみにどんな絵なの?その桜は」
道子「興味持った?……これ!」
と携帯を出し、写真を見せる道子。
明美「……確かに緑だね。こんな桜ある?」
道子「あるよ!きっとどこかに!」
明美「……柳色の桜ってタイトル?これ柳色っていうのね」
道子「そう!緑だけど、薄い緑で、青色もかかって、なおかつ奥行きのある色で!」
明美「なんていうか、言葉では表せないね」
道子「でも綺麗でしょ?見てみたいでしょ?」
明美「……私はいいかな」
道子「あっそ!」
と帰る準備を始める道子。
明美「え?帰るの?」
道子「今日はもう終わり!続きは明日の塾終わり!」
明美「やっぱり明日もか」
道子「同じ桜が見れるか、桜が咲き終わって、また来年まで休むってなるまで探し続けるからね!」
とバス停に向かう道子。
明美「ちょっと!今年だけじゃないの!ねぇ?」
と道子を追う明美。
桜は色を変えながら、花びらを舞い続ける。
夕方、終了時間間際のコールセンター。
ひっきりなしに電話がかかっている。
電話にひたすら出る飯塚麻衣(31)と笹田雪(28)と中島数田(28)。
麻衣「お電話ありがとうございます。マーブル化粧品お客様センターです。ご用件をお伺いいたします」
雪「はい、キャンペーンの申し込みの件ですね、ご連絡ありがとうございます。はい、参加方法のご確認ですね」
数田「参加のページに入ることができず、応募ができないと言うことでよろしいでしょうか?詳細を確認するため、少々お待ちください」
一呼吸を入れる3人。
麻衣「お待たせいたしました。申し訳ございません。本キャンペーンの参加締め切りは本日の12時までとなっておりまして」
雪「現在は締め切りとさせていただいているため、新規のご参加ができなくなっております」
数田「大変申し訳ございません。今回のご意見は今後の参考をさせていただきますので……」
3人「誠にもうしわけございませんでした」
と3人が電話ごしで頭を下げる。
しばらく頭を下げていると、騒がしかった電話のコール音が止む。
それを合図に
3人「ふー」
と頭を上げる。
雪「なんとか、この電話ラッシュを乗り切りましたね。もう謝り疲れましたよ」
数田「キャンペーン終了日は問い合わせの一が異常に多いもんね。休憩時間もつぶれたし」
雪「本当に勘弁してほしいですよ」
麻衣「はいはい。笹田さんも中島くんもお疲れ様。ひとまずピークは過ぎたけど、まだ営業終了までは時間があるからね。気を抜かず頑張ろう」
雪「笹田さん。流石に休憩取らせてくださいよ。今日は午前中からずっとこれだったんですから」
麻衣「そうさせたいのは山々なんだけどね……」
数田「……あのぉ、そういえばなんですけど」
と辺りを見渡す数田。
数田「佐藤さんは?さっきから姿が見えないんですが」
雪「そういえば……」
扉から出てくる歩美。
歩美「もどりましたー」
麻衣「ちょっと佐藤さん、今までどこにいたんですか?」
歩美「どこにって、少しお花を摘みに」
麻衣「あの、タイミングを考えてもらえませんか?こんな忙しいときに一声も掛けずにいなくなるなんて!」
歩美「すみません。電話対応中だったので。それに今日は朝から席から立てなかったもので」
麻衣「だからって、業務中ですよ!トイレぐらいでーー」
歩美「お言葉ですが!休憩を取るのは労働者の権利ですし、トイレぐらい我慢して仕事をしろというのは問題発言ではないですか?」
麻衣「それはーー」
数田「まぁまぁ!二人とも落ち着いて!」
雪「そうですよ。べつに佐藤さんも長時間いなかったわけじゃないですし!ね!」
麻衣「……いなかった分仕事はしてください。2人とも休憩行っていいですよ。その間は佐藤さん、任せましたからね」
雪「え?それは流石に……」
歩美「分かりました」
麻衣「じゃあ頼みましたよ」
と、出て行く麻衣。
数田「ど、どうしようか」
歩美「私のことは気にせず行ってください。お二人も休憩は取れていないでしょうし」
数田「で、でもですね」
歩美「大丈夫、大抵の対応は一人でもできますから」
雪「じ、じゃあお言葉に甘えて」
と出て行く雪と数田。
一人残され、電話へと向かう歩美。
電話が鳴り、取り始める。
数田と雪が麻衣に追いつく。
雪「麻衣さん!あの言い方は少しまずいんじゃないですか?」
麻衣「なんのこと?」
雪「佐藤さんですよ!今は落ち着いてますけど、すぐにすごい量のコールがきますよ。それを一人でなんて」
麻衣「いいじゃない。さっきまで私達だけでやってたんだから、同じぐらいの労働になるでしょ」
雪「でも、佐藤さんが抜けた時間だってそんな長かったわけじゃないですしーー」
麻衣「なに?あなたが私が悪いって言いたいの?」
雪「そういうわけじゃーー」
数田「まぁまぁ、お二人とも落ち着きましょうよ」
と数田が間に入る。
数田「佐藤さんもいいって言ってくれたんだから、ひとまずそこは置いときましょうよ。早めに食事をして戻ればいいだけですし」
雪「そうですけど……」
数田「飯塚さんも、誰が悪いとかじゃないんですから……ね?」
麻衣「……だいたい、あの人がこっちのことを考えないからいけないのよ。こっちにはなにも言わずに勝手に動いて、それで迷惑するのは私達なのよ!」
数田「飯塚さん、落ち着いて」
麻衣「いいや!言わないと気が済まない!自分の権利を主張するのはいいわよ。でも、それは時と場合を考えてよと言ってるの!自分だけがラクして私達に押しつけるなんて許されないでしょ!」
雪「言っていることは分かりますけど、だからって同じことをしていいわけじゃないですよ」
麻衣「じゃあ、我慢しろっていうわけ?」
雪「違います!ただ、わたしはーー」
数田「ストップ!また同じ話の繰り返しじゃ
ないですか!」
麻衣「……とにかく、私は間違ってないから」
離れていく麻衣。
数田「飯塚さんも意地を張っちゃって……あの人も言い過ぎたなぁって後悔してるんですよ」
雪「そうなのかしら」
数田「案外いい人ですよ。まぁ、言い方にはとげがありますけどね」
とため息をつく数田。
数田「まぁ、飯塚さんも悪いかもしれないですけど佐藤さんもどうにかならないものですかね」
雪「中島さんまで!」
数田「いや別に責めるわけではないんですよ!ただ、マイペースすぎて……自分の世界に入り込みすぎてるというか、何を考えているのか分からなくて、距離感が分からないんですよね」
雪「まぁ、それはたしかにそうですけど」
数田「飲み会だって誘っても来ないし、職場でも最低限の挨拶しかないでしょ?それで、自分勝手に動かれてたら飯塚さんの気持ちも分かりますよ」
雪「でもさーー」
数田「笹田さん、どうしてあの人をかばうんですか?別に仲がいいわけじゃないでしょ?」
雪「……仲がいいわけじゃないけど、ほっとけないだけです。早くご飯食べましょ」
その場を去る雪と数田。
歩美の声が大きくなる。
歩美「お客様、そちらのキャンペーンは3月14日までの締め切りのものなので……もうしわけございません」
電話をきる歩美。
その後もすぐにコールが鳴るが取らず
にボーッとする。
歩美「そうか……もう咲く頃か」
コール音が増えていき大きくなる。
暗転
パチンコ屋・店内(夕方)
騒がしくジャラジャラとなるパチンコ屋の店内。
その一席に座り、パチンコをしている歩美。
後ろのアナウンスでは新春の台のCMが流れている。
公園(夜)
大きな桜が街頭に照らされている。
紙袋に大量のお菓子の景品を持ってやってくる歩美。
辺りを見渡すが誰もいない。
近くにあるベンチ座り、ジッと桜を見る歩美。
茂みからシャッター音が聞こえる。
歩美が振り向くとリュックを背負い、カメラを構えた道子が立っている。
歩美「……何しているの?」
道子「いやぁ、絵になるなぁと思ってね。やっぱり対照的なもの同士が移るといいよね」
歩美「対照的?」
道子「綺麗なものとーー」
歩美「帰る」
道子「待ってよ!冗談だって!」
歩美「……相変わらずだねあんたは」
道子「そりゃ、1年間でなにか変わるとはならないでしょ?」
歩美「だとしてもだよ」
道子「私は私!神田道子は何物にも捉われず自由に生きるんです!」
歩美「……のんきだねぇ」
とため息をつきながらお菓子を出し始める歩美。
道子「今年も大量だね!」
歩美「まぁね。欲がないから当たるんじゃない?」
道子「そうなの?」
歩美「そういわない?コツは無心に手を回すこと」
と手でパチンコを回す動作をする歩美。
道子「じゃあ、私も!」
とリュックから一升瓶を取り出す道子。
歩美「いいねぇ!」
道子「これがないと始まらないもんね!」
歩美「わたしたちも子供じゃないからね」
道子「でも、大人っていうほど成長してないでしょ?」
とリュックから取り出した紙コップに酒を注ぐ道子。
歩美「まぁね。それはお互い様だよ」
道子「とりあえずーー」
歩美「酒だね!」
道子「……うん」
歩美にコップを差し出す道子
歩美「それじゃあ!乾杯!」
と一気に飲みほす歩美。
道子「……乾杯」
と対照的にちびちび飲む道子。
歩美「どうしたの?急にテンション低くして」
道子「歩美が高くなっただけだよ」
歩美「そりゃあ、お酒があればね!」
と酒の催促をする歩美。
道子「はいはい。全く、子供の頃からじゃ考えられないよ。歩美がこんな酒飲みになるなんてさ」
歩美「そういうあんたは、想像通りだね。今年はどこの桜を見に行ってきたの?」
道子「今年はヨーロッパを主に回ったかな。でも外れ。スペインのヘルテ峡谷は綺麗だったけど、他のはねぇ……向こうじゃ、さくらんぼの木も桜って呼ぶからさ、なかなか思ったものがないわけよ」
歩美「あんたもよくやるよ。青い桜にはまってから色んな桜を探してさ。今じゃ、桜の写真集で食っていけるようになってるんだから、大したものだよね」
道子「たまたまテレビで取材されて、話題になっただけだよ」
歩美「結果、成功しているんだからいいじゃない。いいなぁ、好きなことをやって生活できてさ。私なんて、なんとなくで仕事をして、なんとなくで生きてるだけだもん。羨ましいよ」
道子「なんとなくねぇ。それが普通だと思うけどな。私は、誰かに認められたくて、桜を見てたわけでもないんだけど」
歩美「カー!嫌味だとしても清々しすぎて、嫉妬できないわ」
と酒を煽る歩美。
道子「そんなつもりはないって」
歩美「で、どうなの?青い桜は見つかりました?それが目的で桜を撮り続けてるわけだし、納得できる桜と出会いましたか?」
道子「……まだなんだよね。やっぱりないのかなぁ」
歩美「ないない。この木が一番近いって言っている時点で、そんな夢見たいなものはないんだよ」
道子「そうなのかもしれないね」
歩美「……諦めたら?」
道子「……」
歩美「もうあんたは十分探したよ。他の国まで見て探してさ、もう見たことないところなんてないんじゃない?ここいらで潮時、ひと段落、お疲れさまでした!って区切れをつけてもいいんじゃない」
道子「……考えとく」
歩美「ぜひ、前向きに検討してください!」
道子「歩美、あんたは言ってることは変わらないけどさ、やっぱり大人――」
歩美「あっ、ウグイス!」
と立ち上がり、桜を見る歩美。
それに釣られて道子も見る。
道子「春が来たって感じがするね」
ウグイスが鳴く。
その様子をじーっと見る歩美。
道子「歩美?」
歩美「もし私が、猟師なら、この距離から一発だね!」
しばらくの静寂。
ウグイスが飛び立つ。
歩美「逃げてももう遅いね!もう私の中では焼き鳥だよ!」
道子「……多分、ウグイスも飽きれたんだろうね」
と荷物をまとめる道子。
歩美「もう帰るの?」
道子「ちょっと飲みすぎたからね。酔うと私は無口になるし」
歩美「私と正反対だもんね!」
道子「そうだね。……これがほんとに反対ならよかったのにね」
歩美「確かに!言えてる!」
道子「それじゃ、またね」
と立ち去ろうとする道子。
歩美「今度はどこに行くの?」
道子「海外はひとまず休み。コロナだし、どこにも行けないからね。ひとまず、日本にはいるよ」
歩美「じゃあ、今年は春まで待たなくてもいいわけだ」
道子「……確かにね。また連絡するよ」
と立ち去る道子。
歩美「もう、大人か。なりたくなかったよ」
風が強くなり、咲き始めている桜の木が揺れる。
歩美「おい、桜!風なんかに負けるなよ!世知辛い春風に勝って、最高に綺麗な花びらを私に見せてみろ!」
と歩美の言葉に反応する様に、街灯が風で静かに揺れる。
暗転