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オンライン父さんの休日 2日目

3.


男は細長いタイル張りの部屋の中にいた、男性用トイレの鏡の前で、ハンカチを口にくわえ水道で手を洗っていた。

男は、ぼーっと中空を眺めながら3分近く手を洗っていた。
エ 「どうした?おれ...?」
「エナマエ様・・・」
遠くから誰かが、自分の事を呼んでいる・・・?
「エナマエ様・・・」
何かが、扉にぶつかる音がした。
そのあとに聞こえてくる聞きなれた声。
「エナマエ様ってば!」
膝枕のニーナだ、扉の向こううからニーナの声が聞こえてきて、我に返る。
二 「まだですか?エナマエ様?大きい方ですか?寝てるんですか?」
エ 「うるさい、わかった。今行くよ!」

ハンカチで手を拭きながらトイレを出ると、扉の前にはニーナがタイヤ付きの移動ユニットにのって待っていた。
嬉しそうに、右へ左へせわしなく動き回っていた、このユニットに乗ると自分の意思で動くことができるらしい。トイレの扉にぶつかったのもこいつだ。
二 「長かったですね、ちゃんと手は洗いましたか?皆さんおまちかねですよ」
エ 「うるさい、言われんでもしっかり洗ったよ。お前は俺の嫁か。」
ニーナに先導されて、長い廊下を移動して会議室のような所に案内された。

部屋の中には、大柄の頭髪のさびしい男性と、3名の女性が長テーブルに座って待っていた、三人の女性のうちの一人は見覚えのある「ヒサコ」であった。
男の姿を見つけたヒサコは椅子から立ち上がり、男に椅子を進めて座らせた。早速、ヒサコからほかのメンバー紹介があった、大柄の男はとあるカンパニーの社長であるとの事、ほかの二人の女性は今回の協力者133(ヒサミ)と134(ヒサヨ)であるとの事。135(ヒサコ)を加えた三人。
「誰が呼んだか膝ニーズ・エンジェル」(誰も呼ばない、恥ずかしいわ!)
三人はさりげなくポーズをとっていた。

大柄の男の咳払いが聞こえると、何事もなかったようにエンジェル達は自分の席について、今回の要件が伝えられた。
エンジェル達に、色々と難しい説明されるのだが、難しいことは判らないので、ニーナに要約してもらう。
二 「要するにですね、かわいそうなエナマエ様にもわかりやすく説明しますと、とある組織に拉致された研究員「薫」を、当社自慢の美女3人と組んで救出してほしい。という事です。」
エ 「かわいそう言うな。しかしなぁ~、そんな大変なこと、俺にできるの?」
二 「組織ができるって言うんですから、できるんじゃないですか?」
エ 「いや・・・、普通のおじさんだよ、おれ」
二 「それは判ってます、エナマエ様は立派な普通のおじさんです。大丈夫ですよ、そんな事はバレてますよ、おねー様たちが、うまくやってくれます。」
エ 「改まって、他人に言われると何となく、いやな気がする。」

コン、コンコン。頭上から机を叩く音がした。
エ 「何?」ゴツン!!「いでー」
静かな会議室の中に、鈍い音とおやじの悲鳴が響きわたる。
ニーナと話すために、机の下の潜り込んでいたのだ、頭を上げた拍子に机の角に力いっぱい頭をぶつけてしまった。
目の前に、チラチラ星が舞う舌も噛んでしまった。

後頭部をさすりながら、男は立ち上がった。
ヒサコ 「失礼しました。エナマエ様、大丈夫ですか?」
エ 「大丈夫、無問題(もうまんたい)です、泥船に乗ったつもりで、お任せください。」
二 「エナマエ様、泥船だと沈んじゃいますよ。」
エ 「そんな事、言ってた?ハハハ」

こうして、よく判らないまま巻き込まれる形となってしまった。

4.

自称社長と言う男は、いつの間にか居なくなっていた。
室内の照明は、わずかに落とされ、天井から大きなスクリーンが降りてきた。スクリーンには大きめの建物の3面図が映し出される、地上3階、地下2階の大きめのビルのように見える。
ヒサミ 「今回の作戦の説明をさせていただきますわ」
長めの髪に紺のスーツを着用したスタイルの良い女性、自己紹介ではヒサミと言っていた。三人の中では一番知的に見える。

ヒサミ 「こちらの建物、普段は某私立大学の附属図書館として機能しております。実際は大学側がある業者に委託して、運営しているのが現状です。建築図面に記入されていない部分に隠し部屋があって、そこにわが社の研究員が拉致されているとの現地情報員からの報告です。」
エ 「現地情報員?」
ヒサミ「わが社の優秀な情報員、RHCP241201 訳あって彼女自身自由に動き回ることができませが、大学側のサーバーにダイレクトにアクセスして現地の情報を随時送ってくれる役割となっております。」
ヒサヨ 「ほかにも数名、現地情報員がいるんだよ。会えたら僕が紹介してあげるね。」
ショートカットのボーイッシュなヒサヨと紹介された女の子が、話に割り込んできた。
エ 「僕っ娘なんだ・・・いいね」思わずつぶやいてしまった。
ヒサヨ 「ありがと、エナッチ。これからよろしくね」
エ 「エナッチって・・・俺?まぁ、いいか」
小さいことは気にしない、わかちこ、わかちこ~(古)脇に手を当てぶんぶんしちゃう?

ヒサコ 「ヒサヨは、車両の操縦、機械操作に長けています、現地への送り迎え、本部側との通信を担当します。」
ヒサミ 「エナマエ様はヒサコと、ニーナと一緒に現地に行ってもらってこれからお渡しする、情報端末にしてがって行動してもらいます。ここまでで何かご質問は?」
エ 「ご質問って?詳しいことを何も聞いていない気が・・・」
ヒサミ 「決行は今夜22:00(フタフタマルマル)クラブハウスで極楽研究所の配信が始まって警備が手薄になる時間。おじさんは仮眠室で仮眠をとっておいてね。眠くなるといけないから」
エ 「確かに22時過ぎると眠くなるが・・・って。余計なお世話じゃ。」
訳の分からないまま、秘密のミーティングは終わった。
結局、何をやれば良いのか・・・男は言われるがまま
仮眠室へと案内された。

男には骨伝導(こつでんどう)イヤホンと、スマートフォンが手渡されたのであった。

続く・・・のか?

~~~~~~~ 余談 ~~~~~~~~
コードネーム「135」

そんな企画がありましたっけ?
133:ヒサミ 134:ヒサヨ 135:ヒサコ
膝ニーズ・エンジェル !! なんちゃって
ハードボイルド書きたいな、なんて思いながら
どうしても、脱力系になってしまう...(笑)

ネタが思いついたら、続きを書きたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございます。




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