360[読み切り]
「360」どこか馴染み深い数字
「カチ、カチ、カチ」咥えたタバコにライターで火を付ける。タバコの煙なのか、寒さの中に映る白い息なのかわからない。
自分の置かれた現状に、付きまとう幻想
「ありがとうございました〜」
「…」
通い慣れた最寄りのコンビニ
どこになにがあるのか、弁当の種類まで把握している。
店員も、何も聞かず温めてくれる
「ご縁があります様に」と、どこかで読んだ本の情報を頼りに、置かれてる募金箱に5円玉を入れる。
それだけで心が少しだけ豊かになれる気がする
今年こそは何か変えると息巻き、何かに期待をしてる
期待=エゴであり、個人の持つ価値観や倫理観の中での世界だと思う。
これはかなり大きいもので、深く考える事を無意識に遠ざけてしまっていたのかもしれない。
疑う気持ち、偽りのない気持ち。
持っていたはず!
特別だと思っていた自分は、社会に踏み潰されて、更なるトゲを持ち鋭利な切り口を持った。
ガキのままなのか、現実という物に取り憑かれた大人に見えるガキなのか。
気付けば、温めて貰ったはずの弁当も冷めてしまってる。安上がりな物は、賞味期限が短い。
あの街を離れた時の気持ちと、今の気持ちはずっと変わらずここにある。
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