自分の短歌評: 「商品名」編
粘菌歌会にちょいちょい出しています。短歌を。テーマ「商品名」のときに、入選まではいかなかったんですが自分の短歌が話題にあがって嬉しかったので、そのときの短歌を振り返ろうと思います。
一度に三首まで投稿できるシステムになっており、このときも三首投稿していたわけですが、それらをひとつずつ見ていきます。
その①
もうダメだ……わたしこのまま死ぬのかな。シーブリーズも貸したままだな
これはけっこういいかなと思ったんだけど、自分の脳内でいいだけだった。こちらとしては、女子高生がオレンジ色のシーブリーズ握りしめて倒れている様が浮かんでいるんですけども、この短歌だけではそれは伝わらない。いま短歌の余韻とか含みを否定した発言をしてしまった気がする。まあ女子高生はおいとくとしても、ちょっと情景の具体性が薄すぎたかなと。
これを、もとの雰囲気を保ったまま推敲するとしたら「このまま」の部分しか変えようがない。
*もうダメだ……わたし高2で死ぬのかな。 シーブリーズも貸したままだな
これはちょっと説明的すぎ?
そもそも短歌の推敲ってするものなのだろうか。噂によると、俳句には推敲という概念は存在しないらしい。名著「ハイク・ガイ」に
俳句とはカラテ・チョップのようなもの。サムライの刀の後悔を知らぬひと突きのようなものだ。迷いだとか、考え直しだとか、ましてや「書き直し」などはあり得ない。物知り顔の人間がいう俳句の「推敲」とは、実際には新しい句をつくるということなのだ。
(「ハイク・ガイ」 10. 振り返らない)
とあった。まあ、短歌は一息で詠むにはすこし長いから、推敲もゆるされるのかもしれない。
その②
HD - DVDのような人 また会いましょうβ世界で
これは、今になって振り返ってみるとまったくダメだなあ。商品名に踊らされて何もかもを見失っている。ダジャレというか、詰め込み方としては悪くはないと思うんですけども。31文字よりもう少しくれたらなんとかなったかもしれない。また短歌の趣旨を否定してしまった。
まずHD-DVDのような人ってなんだという話ですよね。負けた側の人間ってこと? これも①と同じでここらへんのディティールがうまく伝わらない。
「また会いましょうβ世界で」という77の部分はそんなに悪くはなく、どこかで使いどころがあるのではないかと思う。どこで?
その③
フルリーフチャイティーラテオールミルクで なんだお前は もう帰れバカ
これが粘菌歌会で話題にあがったやつ。「商品名」と聞いたとき最初に思い浮かんだネタで、「スタバ 呪文」で検索して文字数がちょうどいいやつを探した。①が本命だったんだけども、たしかに言われてみればこれがよくできている気がする。流されやすい性格だ。
粘菌歌会4月のテーマは「嘘」だったので、日々ウソばかりついている自分としては入選を大いに期待している。それではまた、β世界でお会いしましょう。lape pona!
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