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Dystopia25 ~楽園~

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異世界のようで、異世界では無い・・・・・・ 閉鎖された世界、空間で人類が繁栄し、そこには定期的に「配給」として何不自由ない生活が確保されている・・・はずだった。 「衣」「食」「…
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【小説】『Dystopia 25』~楽園~Phase Ⅰ

あらすじ  閉鎖された大きくて深い森林。  その空間の中心には、秘密裏に作られた大きな集落『コロニア』  そこに今では数千人の人類が住み、独自世界の発展を継げていた。 「衣」 「食」 「住」  全てが「配給・配備」され、なに不自由が無い楽園のような生活が確保されている。  人類が主権による争い、天災や厄災による不幸も無く、貧困や差別も無い平和が約束されたこの世界の未来は、どうなっていくのだろうか。 その先に、本当の「人間」が浮き彫りになっていく・・・・・・ The T

【小説】『Dystopia 25』~楽園~Phase Ⅱ

Colony Ⅲ 「ウェルバー・・・もう行くのかい?」  レイアが帰ろうとする男を引き留める。 「・・・ああ、いい加減、帰ってやらないとライトが怒るだろう」 「ライトって・・・弟、だったよねたしか。その子もこっちへ移住させてもいいけどね」 「やめとこう。ここのルールやレイアの立場もあるだろう」 「・・・あんたが存分に”甘えられない”からじゃないの?」 「・・・ああ、その通りだ!」  そう言ってウェルバーは、下着だけを掃いた格好で去ろうとした踵を反し、また部屋の半

【小説】『Dystopia 25』~楽園~Phase Ⅲ

The Three Chosen part Ⅲ 「・・・ロキッチ医師、本当にこれでいいんでしょうか・・・・・・」  フィリップはまたもや心配そうにしている。 「大丈夫だよ。幸い、二人ともこれといった怪我も無いしそんなことでわざわざ上に報告しても、どうせその報告書なんて見向きもしないさ」 「でも・・・・・・」 「誰かが死んだとか、全員が改心しただとかの結果しか興味ないって」 「しかし、その後の対応がこれでよかったのかどうかなど指示を仰いでみるとか」 「その指示が厄介

【小説】『Dystopia 25』~楽園~Phase Ⅳ

Surface War. Continued  多くの女性が入り組む中、所どころに男性の姿も見受けられる。その殆どは装備が軽装な側に立っていて、恐らくこの争いの反乱軍に位置している。  そして先ほどのProberらしき勢力はこの騒ぎに乗じて好き放題やっている構図みたいだった。しかし、反乱側はそのプローバー達を利用している風にもウェルバーは感じた。 「・・・レイアを探さないと!」 「うん、どこだろうね」 「とりあえず、あの一番デカイ家に行こう。あそこがレイアの拠点だ。・

【小説】『Dystopia 25』~楽園~Phase Ⅴ

The Three Chosen part Ⅴ 「えーっと、・・・これ、大丈夫?録音されてる?」 「・・・はい、大丈夫です、OKです」  記者のアシスタントらしき人物がオープンリールデッキのセッティングを終えて、録音を開始している。 「えー・・・では、初めてよろしいでしょうか?」 「はい、いいですよ」  ロキッチは緊張することもなく、余裕の表情と態度で応対していた。 「では、ロキッチ教授、今回は今現在行っている”治験”についてお伺いしたいのでが・・・すいません、我々

【小説】『Dystopia 25』~楽園~Phase Ⅵ

Colony Ⅰ  ライト、ウェルバー、パメラ、セーラの四人は、第1コロニー管轄の森まで移動してきた。  その道中、木の皮や藁、動物の毛皮で衣類を作るForesterらしき風貌の子供が鹿や猪を捕らえる用の罠に足を捕られて怪我をし、そのまま罠を抜けれずに脱水症状で死にかけていた。その罠とは人の背丈ほどの縦に穴を掘り、上に枯れ木や葉を敷き詰める簡単な罠なのだが、念のために底には尖らせた木杭や竹、鋭利に砕いた岩を敷き詰めて足を負傷させ、安易に穴から抜け出せないようにしたものだった

【小説】『Dystopia 25』~楽園~Phase Ⅶ

The Three Chosen part Ⅵ 「やぁ、チャーリー。元気かい?」 「・・・・・・」 「最近は、みんな大人しいけどどう思う?他の二人について」 「・・・・・・」 「君にだけ、これを聞いているんだ。ぶっちゃけどう思う?彼らは自分が神だとか、救世主だとか言ってるけど・・・・・・」 「・・・あいつらは精神異常者だ。もう、ここから出してくれ。あいつらの顔すら見たくもない」 「やぁ、シェフ。元気かい?」 「・・・・・・」 「最近は、みんな大人しいけどどう思