記憶力がいいと言われる理由を本が教えてくれた(かもしれない)
私は記憶力がいい方なのかもしれない。
なぜ「かもしれない」と付け加えたかと言うと、私にはあまり自覚が無いからだ。ただ興味があるから覚えていただけのことや、反復していたから残っていただけのことを、「よく覚えてるね」と驚かれることが多いから不思議に思っていた。
今でもあまり自覚は無いけれど、記憶力がいいと思われる所以が少し明かされた気がするのでそれを紹介する。
「学び効率が最大化するインプット大全」(著:樺沢紫苑、サンクチュアリ出版)
先日3時間近く町を放浪する機会があり、その間ずっとAudibleでこの本を聞き流していた。
いいアウトプットをするためにいいインプットが必要なのだと説き、インプットについての手法が事細かく記されていた。
同著者の「アウトプット大全」もAudibleに存在し、アウトプットの前にはインプットだろうとこちらから聞いたのだが、よくよく聞けばアウトプット大全の方が先に出版されていたらしい。順番を間違えた気がする。
そう思いながらもスマートフォンを操作するのも面倒だしと聞き続けていると、「ただ本を読むだけでは内容を忘れてしまうことが多い」といったような事が聞こえてきた。
いや、そんなことはないだろう。
勿論一字一句正確に覚えてはいないし、何ページの何行目と正確な位置を覚えている訳でもない。出版社も忘れがちだ。しかし書名と著者名くらいは覚えているし、どの本にどんなことが書いてあったかなんて6~7割くらいの精度であれば覚えているものではないのか。
以前にも、読書ノートをつけようか迷っていたときに、読書ノートを実際につけている人の文章を読んだのだが、そのときにも同じようなことが書いてあった。忘れないために記録すると。
心に残った本であれば早々忘れないものではないか?
長期記憶の中にエピソード記憶というものがある。これは強い感情体験を伴う記憶のことで、一回しか経験していないことでも鮮明な記憶となるらしい。
「インプット大全」の中でも紹介されていて、これのおかげで特に小説は記憶に残りやすいという話だった。確かに小説は昔から読んでいたし、強く心を動かされた作品は何も見ずにストーリーを追うことが出来る。
しかしそうでない本も当然ある。「思考の整理学」は小説ではないが細部を覚えているし、最近読んだ自己啓発やビジネス書の類もそうだ。大事な部分はきちんと記憶している。最近だからといわれればそれはそうなのだが。
ともあれそんなに簡単に本の内容を忘れることがあるだろうか。疑問に思いながら続きを聞く。
著者によれば本でもなんでも、一回で強く記憶するためには「アウトプットすること前提で見聞きする」ことが重要らしい。
文字に起こしたり人に話したりすることを考えながら見聞きすることで、ほどよい緊張感が生まれ、集中しやすくなる。結果、記憶に残りやすくなる。簡単に言うとこういうことらしい。
なるほど、アウトプット前提か。
そしてようやく気付いた。ああ、私は常にそれを実践していたのか。
私はなんでもかんでも頭の中で反芻する癖がある。それが記憶力の源だと思っていた。
どうやらそれだけではなかったようだ。
私は人とコミュニケーションをとることは苦手な割に、知識は広めたいと思っている。それがまわり回って自分のためにもなると考えているからだ。単純に知識をひけらかしたいだけなのかもしれない。その辺は捉え方次第。
しかし、どっちが理由にしたって話す相手が居ない。そのせいでこれも話したいあれも話したいが自分の中で蓄積されていった結果、「いつか話す相手が出来たら話す知識の棚」が脳内に設置され、そこに記憶が収納されていくようになったのだろう。そうして仕舞われた知識は大体忘れないように反芻することが多いので、気付けば無駄を削ぎ落した形で定着する。削ぎ落し過ぎて要点しか覚えていないこともあるが。
そうしてアウトプット前提のアウトプットされない記憶が脳の中にどんどん溜まっていった。そうしてこんな人間が出来上がった。
目に見える形で残しておけばと悔しい気持ちもあるが、気軽に出力出来るし今からでも形にすれば遅くは無いかなとも思う。
「インプット大全」には他にも興味深い話が多数記述されているので、是非読んでみて欲しい。私もまた記事にするかもしれない。
記憶するだけなら機械にも出来る。何なら機械の方が多くのことを知っている。けれど知識から何かを生み出すことが出来るのが人間の利点であり強みだ。
さあ、今日は何を創ろうかな。