山本太郎は馬鹿である。
山本太郎は、馬鹿だと思う。
芸能人が政治家になろうとする、その理由の多くは、金だと思う。今回の生稲晃子のように巨額の借金返済を抱えていたり、仕事が減ってきたり。そんなときに声がかかれば、背に腹は変えられないだろう。
しかし、山本太郎は金に困っていたわけではない。それどころか年間1千万円のCM契約もあった。最初に立候補したのは2012年だから、まだ37歳。そのまま俳優を続けていれば、もっと金も稼げていただろうし、いい仕事にも巡り会えていただろう。
たしかに、俳優も普通の人と同じ人間なので、社会や政治のことを考える。だが、日本の芸能界ではそういうことを発言すると、テレビCMのスポンサーである大企業の反感を買い、仕事がなくなる。大方の芸能人はそれを知っているので、発言しない。当然、山本太郎もそれはわかっていたはずだ。
それに、政治はまったく未知の世界。山本太郎は無所属で出馬したので、なんの後ろ盾もない。いろんな意味でリスキーすぎる。人間、歳をとってくれば、そういう損得を考えるようになる。
なのに、山本太郎は政治家になる道を選んだ。しかも最初の衆議院選挙で、当時無敵だった石原伸晃のいる杉並8区から出馬して、当然のように落選した。そこで芸能界に戻る手もあったはずだが、彼はそれをやらず、翌2013年に参議院東京選挙区から出て当選した。
政治家になってからも、天皇(現上皇)に手紙を渡したり一人牛歩をやったりして批判を受け、ついにはまだ政治家になって6年目なのにひとりで「れいわ新選組」を立ち上げ、最初の選挙で重度障害者を2人も候補者にした。全部リスキーな行為だったと思う。
しかし、山本太郎はリスキーな方を選ぶ。「賢い人」だったら絶対選ばない方へ行く。つまり、馬鹿である。
でも、自分を含めて妙に物わかりがよくなり、「大人の事情」という言葉で納得しようとする日本人ばかりの世の中、こういう馬鹿のいることが、とても嬉しい。
一銭の得にもならないチラシ配りのボランティアも、むしろ楽しい。
読んでくれるあなたが、この気持ちをわかってくれるかどうかはわからない。でも、これが、自分が山本太郎を応援するいちばんの理由だ。
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