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ロードバイクでの "運の悪い事故" を回避する方法を考える

こんにちは
自転車が大好きなSilicate meltと申します。
前回、事故に遭わないための走り方のことについて書きました。


そこにも書いたように、僕はロードバイクの事故の原因って、
運が8割、乗り手の油断が2割
くらいのものだと思っております(個人の意見です)。

では「運の悪い事故」は本当に防ぐことができないのでしょうか?
運が悪くならないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか

このnoteでは、そのことについて考えてみようと思います。


まず自分の事例から紹介します。

< 運が悪かった事故の例: その1>

ロードトレーニング中、交差点を右折して県道に入ったところ、対向車線で信号待ちをしている車の隙間からシティーサイクルが飛び出してきて、自分に衝突した。

こんな感じです↓

これは僕が二段階右折をしていれば防げたんです。
でも、当時(35年前)は「二段階右折」なんて用語は聞いたことすらありませんでした。

僕はこの事故からいろいろなことを学んだのですけれども、特に初めて知って勉強になったのは、
「飛び出したシティーサイクルは、車が来ていないことは確認したのかもしれないが、ロードレーサーは見えていなかった」
ということです。
より正確に言うと、僕がぶつかった相手は、目ではロードレーサー(僕)が見えていたのかもしれないけれども、脳が反応しなかったのです。

あの事故の14年後
養老孟司先生の「バカの壁」がベストセラーになりました。
ワタクシはそれを読んで、
「あぁ、そうか」
「あの事故はバカの壁だったんだ」
ロードバイクの事故って、大半が "それ" なんじゃないだろうか?
と気がついたのでありました(笑)

バカの壁:私たちが他者とコミュニケーションを取る際、
自分の知識や経験に基づいた理解を前提としているため、
他者の異なる視点や考え方を受け入れることが難しいということ。

僕は自転車が好きなので、クルマを運転していて前方にロードバイクを見かけると、かなり後ろからでも分かりますし、走行速度や走り方を見たり、追い抜きざまにはフレームメーカーや装備をチェックしたりします。
でも普通の人はそんなことはないですし、そもそもロードバイクの存在には気が付かないまま追い抜いている人の方が多いのかもしれません。
これが、僕と普通の人のあいだにある「バカの壁」です。

だから、ロードバイクに乗る時には
目立つウエアを着る
手を上げて周りの車にアピールする

ことが必要なのです。

この事故により、乗っていたRALEIGHのフレームが破損してしまったのですが、昨年修理に出して、直してもらいました。
そして、先月久々にそのRALEIGHに乗ってみました(下記のnote)

上のnoteには書かなかったのですけれども、実はこの時、事故寸前のヒヤっとした出来事がありました。


上の写真を撮る、少し前のことです。

左の農道からRAV4が走ってくるのが見えたんです。

Googleストリートビューより

どちらも見通しの良い道路です。
僕もRAV4も時速25km位でした。
こちらは県道、RAV4は農道で、農道側には一時停止線もあります。
こちらが優先道路ですから、僕はそのまま直進をしたわけですけれども…

Googleストリートビューより

RAV4が一時停止せずに県道に突入してきたんです!

これは焦りましたねぇ

すれ違う瞬間、RAV4の運転手と至近距離で目が合いました。
20代くらいの若者でした。
あとコンマ何秒か僕が遅かったら、RALEIGHの後輪がRAV4のバンパーにぶつかって、転倒していたところでした。

ギリギリ ⊂(・∀・)つ セーフ!!


RAV4は急ブレーキをかけることもなく、そのままの速度で県道を横断し、農道を直進していきました。

田舎道でロードバイクに乗っていて、このような事例はそれほど珍しくありません。同じようなケースで事故になった事例をCon zero氏がnoteに書いています。


実は、今回のような見通しの良い田舎道の交差点では車同士の衝突事故が起こりやすく、「コリジョンコース現象」として知られています。
直交する道をその交点に向かって同じ速度で走っている車同士は、お互いに止まっているように見えてしまうことで、事故になりやすいそうです。

コリジョンコース現象
直交する道をその交点に向かって同じ速度
で走っている車同士は、お互いに止まっているように見える。
見通しがよく背景が変わらない農地の道路などで起こりやすい。
出典:JAFのサイト


ただし、今回の私やCon zero氏の例はコリジョンコース現象ではなく、そもそもクルマがロードバイクを認識できていなかったのかもしれません
私は、そちらの可能性の方が高いと考えます。

見通しの良い道路で他に車が無い時、クルマのドライバーは、それで安心し切ってしまうのです。

その結果、ロードバイクは目で見えていても、脳では認識されなくなるのです。

僕は「運良く」事故にならずに済んだのですが、Con zero氏は「運悪く」事故になってしまいました。
では、この事故は本当に防ぐことができなかったのでしょうか?

Con zero氏は事故の際にGoProで動画撮影したため、ドライブレコーダーを装着することの重要性を再認識したそうです。
確かにそうしたものがあれば、"運が悪かったとき" には役に立つかもしれません。しかしここでは、「そもそも、運が悪くならないようにするためにはどうすれば良いのか?」ということを考えてみたいのです。

  • 事前に左手を上げて合図する。

  • こっちが優先道路でも、相手が "止まらないかもしれない" と警戒する。

こんなところですかねぇ
交差しそうなクルマに対して手を上げるのは、いつもやっていることなのに、僕は「こっちが見えているし、RAV4は当然止まるハズ」と思って安心し切っていました。
ところが、RAV4のドライバーは「クルマが来ていないから大丈夫」と思って安心し切っていたのです。
僕とドライバーの間に バカの壁 があったのです。



それにしても、
運の悪い事故に遭ったり
運良くギリギリセーフになったり、

このRALEIGHは呪われてるんじゃないだろうか?

今年はこれでロングライドをしたいと思っていたのだが、本格的に乗る前に、お祓いをしてもらったほうが良さそうだ。



以上、僕が体験した「運の悪かった例」と「運の良かった例」でした。

ここから先は
インターネットで見つけた "運の悪かった事故" を取り上げ、
本当に運が悪かったのか? 
防ぐことはできなかったのか?
について考えてみます。


< 運が悪かった事故の例: その2>

都内の国道17号線を走行中、後ろから車線変更してきたダンプトラックに追突されて跳ね飛ばされた。ロードバイクはダンプに潰されたが、乗り手は奇跡的に跳ねられることなく、骨折はしたものの命は助かった。

出典:ロードバイク専門店 R-FACTORY のブログ
出典:ロードバイク専門店 R-FACTORY のブログ

ロードバイクの欠点
(1)車道を走るけれどもクルマよりも遅い
(2)車道を走るけれどもクルマよりも目立たない

故に、後ろから追突される可能性がある。


これがモロに現れてしまった事故ですね。
死角の多いダンプトラックなら尚更です。

でもクルマと同じ速度で走るのは無理なので、やはりドライバーに見つけてもらうようにするしかなさそうです。

事故が起こったのは、下の写真の場所
矢印標識のあたり

Googleストリートビュー

この場所、西側がビル、真上は樹木、東側が首都高速に囲まれていて、日中でも少し暗い感じの道です。
偶然なのですが、ストリートビューに、ロードバイクに乗るサイクリストが写っています。

でも、黒っぽいウエアなので、背景に溶け込んでしまっていて、すごくわかりにくい


Googleストリートビュー(拡大図)

ウエアに申し訳程度に黄色が入っているけど、これくらいじゃ全然ダメってことですね。
(ここで事故に遭われた方が、どんなウエアを着ていたのかは不明なのですが)ルート上にこうした場所があるなら、明るい色のウエアや昼間でも蛍光色の反射ベストの着用が必要ですね。

あと、これも個人的な意見なのですが、"趣味のロードバイク" ではこうした道路は、そもそも走りたくないものです。
東京23区内なんて、どこ行ってもデフォルト的に事故のリスクが高い
自分はやむを得ず走ることもありましたけど(神奈川出発で北に向かうには東京を通過しなければならないので)、趣味を優先させたいなら、そもそも住む場所を変えるとか、リアルな走りは少なめにして Zwift をメインにするなどの対策をした方が良いのではないかと思います。


< 運が悪かった事故の例: その3>

ヒルクライムにて右カーブを曲がっているとき、対向車線を走っていたオートバイがバランスを崩してこちらの車線へ侵入して接触した。
乗り手は擦り傷程度で済んだが、乗っていたロードバイクが全損した。

出典:「こちらが安全運転を心掛けていても……」 
春、秋は特に気を付けたいヒルクライム中の接触事故

ねとらぼにあった記事です。
見出しに「こちらが安全運転を心掛けていても…」
とあるけど、もしもこのイラスト通りなら安全運転ではないですね。
こんな道の真ん中を走るのはルール違反でしょう。
ロードバイクが道の左端をヒルクライムしていれば、対向車との接触は避けられたのかもしれません。

あと、ヒルクライムってスピードが遅いから安全に思えるけど、対向車が突っ込んできた時には自分の速度は関係ないです。
タイム測りながら、意識が飛ぶくらい自分を追い込むのは、何か咄嗟の出来事があった時に避けられない可能性があるので、事故のリスクが高くなります。これはヒルクライムだけでなく、平地でのロードトレーニングでも同じ話。自分もそうした走りをしてきたし、限界まで追い込んでみたい気持ちはとてもよく分かるけど、

自らを追い込めば追い込むほど事故のリスクは高くなる

ことを常に念頭におきたいところですね。
ヒルクライムだからと言って油断はできないのです。



< 運が悪かった事故の例: その4>

ロードバイクで走っていたところ、片側1車線の緩い左カーブで、追い越し走行をしている対向車に撥ねられた。

出典:2023年11月19日 中日新聞
 ロードバイクと車が衝突、1人死亡1人軽傷 過失傷害疑いで車運転の83歳逮捕


場所はこのあたりらしいです↓

クルマ側からすると、上図のような感じ。

自分も田舎に住んでいるのでよく分かるのですが、追い越し走行は日常的にありますし、自分もクルマを運転する時はたまにします。
普通は "追い越し可" な見通しの良い直線にて、時速40-50kmで走行しているクルマを60-70kmくらいで追い越します。
カーブは見通しが悪いので普通はしないのですが、ここは見通しが良いので、ドライバーが追い越し走行を開始してしまったのかもしれません。

これ、クルマを運転する側としては自然な行為なのですけれども、自分がロードバイクに乗っている時に、対向車が追い越し走行をしてきてビックリしたことが何度かあります。
こうしたシーンでは、おそらく

ドライバーはロードバイク(僕)の存在には気がついていません。


対向車線にクルマがないことを確認した段階で、バカの壁 が発動してしまっているのです。ロードバイクが目に入っていたとしても、脳では認識されていないのです。
では、ロードバイクはどうすれば良かったのか?
この事故を教訓にして対策を考えるとすると、

  • 対向車が追い越しをすることがあり得るので、前をしっかりと見る

  • 自分に向かって追い越しをする対向車が来たら、右手を上げたり振ったりして、大きく合図する

  • 合図をしても減速したり、止まりそうにない時には、ロードバイクの速度を緩めて、より一層、道の左側に待避する。

こんなところではないでしょうか。
車のドライバーは見通しの良い場所であることを確認してから追い越しを開始するので、対向するロードバイク側にとっても見通しが良いケースが多く、対応することができると思うのです(自分の経験的にはですけど)。

この事故のニュースで、気になったところがもう一点あります。
事故現場は「三重県いなべ市」なのですが、事故に遭われた方は「埼玉県草加市」の方だったのです。
もしかすると、遠方からサイクリングに来ていたのかもしれません。そして、埼玉県のそのあたりは都会ですから、(これは僕の想像なのですが)このようなタイプの "追い越し走行" は経験が少なかった可能性があります。
対向車線のクルマがはみ出して、こっちに向かってくるハズがない
という バカの壁 です。

事故を起こした車のドライバーが(免許を返納した方が良い)83歳のお年寄りだったことも問題ですが、ロードバイクの側にも

交通量が少ないからと言って、油断はできない

という認識でいることが必要なのです。


< 運が悪かった事故の例: その5>

ブルベの最中、トンネルを走っていたところ、後ろから来た軽トラに追突されて落車、重症を負い、救急搬送され、その後死亡した。
運転手は無免許運転で轢き逃げだった。

出典:色々なブログ、ニュースなど

いろいろな情報を総合すると、このトンネルらしいです↓

とんでもない事故
もうドライバーが200%悪いです

でもそれを言っても仕方がない
残念ながら世の中にはそういう人が存在するのです。
しかし「運が悪かった」で済ますのも無念すぎます。
では、どうすればよかったのか?

右側に幅の広い歩道があります。
トンネルが怖い人、不安な人は歩道を行った方が良いですね。
もちろん、十分に注意して道を横断する必要があります。

でも、トンネルはいつも普通に走っているし、わざわざ反対側の歩道まで行きたくない。むしろ道を渡る方が怖い、という人も多いと思います
(僕はそのタイプです)。

このトンネル、入ってすぐ左カーブになっていて、見通しがすごく悪い
ブルベの参加者だから、反射ベストを着用していたはずです。
でも、見通しが悪いところでは役に立ちません。
対策としては…

  • トンネルに入る前に後方確認をし、車が来ないのを見計らって、カーブのところはサッと通り過ぎるようにする。

  • トンネルの中のカーブで後ろから車が来てしまったら、減速して道のさらに左端に寄り停止する。

  • 直線のトンネルであっても、走っていて怖い時は、車が来たら事前に左側に上がって待避する(トンネル内は走行音が反響するので、後方から車が来るのはミラーがなくてもわかる)。

  • 車が少ないからと言って油断は禁物。

これくらいしか思いつきません💦


まとめ


ここで述べた事故の例に基づいて、「運の悪い事故」を減らすためのロードバイク側の工夫をまとめてみます。

  • そもそもの大前提として、交通ルールを守る(二段階右折をする。車の少ない田舎道や山道のヒルクライムだからと言って、道の真ん中を走らない、など)

  • 前を見て走り、咄嗟の時にも反応できるようにする。

  • ドライバーに認識されやすい明るいウエアや反射ベストを着用する。

  • ドライバーに手を上げて合図する。

こうして書いてみると別に普通で当たり前のことですね。
結局は、乗り手の注意不足による事故を減らすための対策とほとんど同じようです。

ロードバイク側にとっての「運の悪い事故」
一時停止しない奴が悪い!
83歳でクルマを運転する方が悪い!
無免許運転するやつが悪い!

確かにそうなんですけど、そうした人たちをゼロにはできません。
特に バカの壁 による「思い込み」は、おそらく人間の根本的な性質なので、無くすことがとても難しいです。
だから「運が悪かった時」、「運が悪くなりかけた時」
僕はルールを守らない側を非難するよりも、自分自身を振り返ることが必要なのではないかと、いつも思っています。

この note はネット上の事故のレポートを読んで、個人的な感想をまとめてみたものです。もしかすると私の勘違があるかもしれませんし、異論もあるかもしれません。

では、今回はこれにて失礼させていただきます。

(終わり)

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