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ロードバイクで事故に遭わない、怪我をしないための走り方

こんにちは
自転車が大好きなSilicate meltと申します。

ロードバイクを趣味にしていると、事故や怪我が怖いですよね。
どんなに対策をしても「絶対に安全」はあり得ませんから。
大昔、僕が高校生の頃の話なんですけど、サイスポのある編集者がこんなことを言っていました。

「ロードに乗っているなら鎖骨の1本でも折らなきゃ一人前じゃない」

当時それを読んで、
「やっぱりそうなんだ」
「ボクもいつか鎖骨を折る時が来るんだろうなぁ」
なんて思っていました。
でも実際には、僕は52歳になるまで、自転車関連で病院に行くような怪我をしたことがありませんでした
(「ありませんでした」と過去形なのは、実は昨年転倒して足首を痛めて初めて整形外科に行ったからです。ただの軽い捻挫で数日で自然に治りましたけど(笑))

なぜ今まで怪我をしなかったのか?

理由は簡単です。

運が良かった!


からですね。
ハッキリ言って、ロードバイクの事故の原因は 
運が8割、乗り手の油断が2割  くらいのモンだと思っています。

このnoteでは、残り2割の部分に関する
事故に遭わないための乗り手の対策
のことを書こうと思います。
僕が普段どのような点に注意を払っているのか、というお話です。

ちなみに、僕は長いこと ロードレーサーやロードバイク に乗っているのですが、どこかの団体やクラブチームなどに所属した経験がありません。
今まで15万km近く走ってきましたが、99.99%をソロで楽しんできました。
昔はインターネットもマニュアル本も無かったし、完全に孤立系で活動をしてきたので、先輩的な人から「ロードバイクの走り方」的なものを教わった経験もありません。
なので、このnoteに書くことは全部

自分が経験を積みながら独自に確立したやり方、考え方

です。
そのため、今の人の考え方や常識とはズレているところもあるかもしれませんので、あらかじめご承知おきください(笑)
「そういう対策をしている人もいるのか…」と、参考程度に読んでいただければと思います。



1.基本的な考え方


僕がロードバイクに乗るときに、
常に念頭に置いている基本的な考え方があります。

事故や怪我のリスク = 前方確認 × 速度


で決まるということです。

○ 速度が出ていても前方確認をしていればトラブルを避けることができる
○ 前方確認が不十分でも速度が遅ければ、大事になることはない
× 速度が出ている状態で前方確認が不十分なときに事故や怪我に遭う

周りの車の動きを見るのも大事だけど、路面にも危険が潜んでいますよ!

橋を渡る時には継ぎ目に注意しよう
こんな感じになっているかもしれません
隙間が30mmあり、ロードバイクのタイヤが必ず落ちます。
僕はこのポイントを知っているので、
時速10kmくらいで静かに乗り越えるけど、
初めて走る人が、低圧にしたクリンチャータイヤで
減速せずにここに突っ込んだら、
リム打ちパンクやリムを変形させてしまうかもしれません。
コンビニ入口にある幅40mmの溝
蓋があるはずなのだが、破損して取り除かれたらしい
自動車なら問題ないけど、ロードバイクのホイールはすっぽり入ります。
前をよく見ずに走っていて、こんなところにハマったら、
前転して落車 → 肩から落ちて鎖骨骨折となる可能性大
傷んだ舗装路面
ぼんやりしているとハマってしまいそうです
落車しないようにハンドルは常にしっかりと握りましょう!
ハンドルについては後述します。

前方確認をしていても、速度が速くなるにつれて咄嗟の時に反応しづらくなるので、事故のリスクは高くなります。
日本の道路事情、過去30年間の最大の変化は、いろいろな店舗が駅前の中心市街地から郊外のロードサイド型にシフトしたことです。
そして、この影響でロードバイクがめちゃくちゃ走りにくくなりました

僕は神奈川出身なのですが、正直、今の神奈川でロードバイクによる30km/h巡航を安全にできる場所は、国道134号の一部(湘南海岸)を除いて無いです。自分なら、今の神奈川の国道・県道では25km/h以上は出したくないですね。

YouTubeにこんな動画がありました。

事故の実例
場所は団地の並ぶ市街地で交通量の多い県道。カメラを取り付けたロードバイクが緩傾斜の下り坂を車と同じくらいのスピードで疾走中、T字路に差し掛かったところで、反対車線から軽自動車が右折してきた。
ロードバイクは衝突を避けるために、ハンドルを右に切って反対車線側に転倒した。反対車線に後続車があったが急ブレーキで停止し、間一髪で跳ねられずに済んだ。

出典:YouTube

「(軽自動車が)ロードバイクのスピードを理解していない」とのコメントがありましたけど、これは乗り手(投稿者)のミスですね。
市街地にはいろんな運転をする人がいて、いろんなことがあり得るのです。
だからスピードを出してはいけないのです

市街地は加速してもすぐに交差点があるので、
そもそもロードトレーニングは無理です。
のんびりポタリングペースで走りましょう。

そして、どんな時でも必ず前をしっかりと見ること!
ハンドルに取り付けたナビ付きのサイコンやスマホに気を取られて、前方確認が疎かにならないように注意しましょう。



2.手を上げてアピールする


僕が長年実践しているマイルールがあります。
自分に対して交差しそうな車に対して、自分の方から手を上げてアピールすることです。

最近、警察庁による「交通の方法に関する教則」が
横断する時は、手を上げるなどして運転者に横断する意思を明確に伝えること」と改正されたそうです(上図)。
子供だけでなく、大人も手をあげましょう! ってことです。

2022年にこれを知った時、
フッ、 やっと時代が俺に追いついたか
って思いましたね。僕は高校生の時からコレをやってましたから。
(あ、ちなみにロードバイクに乗っている時だけです。歩いているときは、恥ずかしいので手は上げません(笑))

以下に、具体的に説明します。

Googleストリートビューより

左側のお店の駐車場から車が出そうになっていますね。
ココはまだいい方です。

Googleストリートビューより

こんなふうに視界の悪い場所もあります。
ロードバイクに乗っていてこんなシーンに出くわすと、
クルマはこっちを認識しているのだろうか?
と不安になりますよね。
でも、相手に期待してはいけません。
こっち(自転車側)から積極的にアピールすべきなのです。

このようなシーンでは、僕はいつも左手を前に出して、
手のひらをクルマに向けます。
自分はクルマの前を通過するから、そのまま止まっていて欲しい
という意思表示です。
気がついてもらえ難そうな時は、手を大きく振る時もあります。
(たまに、ドライバーから手を振り返してもらう時もあります。女の人が多いです(笑))

そして、通過する直前には車のドライバーの顔も少し見るようにします。
本当にこっちに気がついているのかどうかの確認です。
通過中は止まってくれていたお礼として、僕は頭をぺこりと下げることもあります。

実はこのシーンでは、車が多い時よりも車が少ない時の方が、事故が起こりやすいです。
車道に出ようとしているドライバーは周囲のクルマには注意を払うけれども、ロードバイクは眼中に無かったり、認識していても速度感がわからなかったりするからです。


故に、

こちらから積極的に存在をアピールすることが大切なのです。


言うまでもないことですが、
明るい色、派手な色のウエアやヘルメットの方が車のドライバーに認識してもらいやすいのでオススメです。
僕はヘルメットが白、ウエアは白かイエローを着用するようにしています。

Googleストリートビューより

交差点での対向車線の右折車も注意が必要ですね。
基本的には直進が優先なので、ロードバイクではそのまま走るわけですが、僕はいつも右手を前に出して、手のひらをクルマに向けます。
自分は直進するから、そのまま止まっていて欲しい
という意思表示をするのです。


Googleストリートビューより

こういうシーンもよくありますよね。
こちら側の右折車が視界を遮ってしまい、反対車線に右折待ちの車があるのかどうかがわかりません。

実は、このようなケースでも車を通して見えることがあります。
車の窓ガラスには色が付いていますが、それでもガラスを通してうっすらと見えるんです。
(今度、注意して見てみてください。意外と反対側が透視できますよ(笑))

もちろん見えないこともあります。
見えないなら、見えないでもいいんです。
大事なことは何かというと、
車の影には何があるのか?
そうしたことを予測・想像しながら走ることだと思っています。


左から車道に入ろうとしている車には、左手を上げて自分をアピールする。
反対車線からの右折待ちの車には、右手を上げて自分をアピールする。

これは、僕がロードバイクで走る時に欠かさず行っているマイルールです。



3.後方確認


ロードバイクで車道の左端を走っていて、
後ろが気になる人っているみたいですね。
僕は全く気にしません。
乗用車には「勝手に抜いてくれ」と思っています。
(ちなみに、僕はクルマもよく運転するので、クルマでロードバイクを追い越す際の距離感やドライバー側の気持ちなどはわかっているつもりです)

自分が注意するのはトラックなどの大型車が来た時です。
これは振り返らなくても、音でわかります。
トラックが来たら、足を止めてロードバイクを時速10kmくらいまで減速し、道路のさらに左端に寄ります。
場合によっては、トラックに抜かれるまで、そのまま一時停止します。
トラックのドライバーに
こちらは、あなた(トラック)の存在を認識していますよ
どうぞ追い越してください
と明確に伝わるようにしています。


上のような理由から、僕はバックミラーは使いません。
最近は、後方から接近する車両を検知してサイコンで警告してくれる「リアビューレーダー」とかもあるみたいですね。
でも正直、そんなものに気を取られて後ろを気にするよりも、
前をしっかりと見て走るべきだと思っています。
オモチャとしては面白いと思いますけどね。



4.ハンドルの握り方


ハンドルの握り方に関して注意していることを書きます。

昨年乗った、TREKのエアロロードバイク

最近流行のエアロハンドル
上ハンに手のひらをのせるようにして乗れるから、疲れない
という説があります。

でも、それって
ハンドルをちゃんと握っていないってことですよね?

あるブログで知ったのですが、こんな事故があったそうです。

事故の実例
グループライド中、先頭のリーダーが右手のハンドサインで後方に「止まれ」の合図
ところがその瞬間、路面の凸凹に乗り上げて転倒して怪我
左手でハンドルをしっかり握っていなかったのが原因

出典:とあるブログ

不意に凸凹に乗り上げても、ハンドルさえしっかりと握っていれば、バランスをとって体勢を立て直すことができます。
僕は「ボトルの水を飲む」、「メーターを操作する」など、片手運転になる時には、意識的にもう片方の手でハンドルをしっかりと握るようにしています。


ダウンヒルでは下ハンを持つ

これはロード乗りの間では古くから "常識" とされてきました。

ブラケットポジション
サイクルスポーツ「ロードバイクのドロップハンドル活用術」より
下ハンポジション
サイクルスポーツ「ロードバイクのドロップハンドル活用術」より

ダウンヒル時に下ハンを握るのは
空気抵抗が減らせて、ブレーキも使いやすくなるから
だとされています。
ところが最近では、油圧ディスクブレーキが増えてきたことで、
ブレーキレバーの引きが軽いから、ブラケットポジションのままダウンヒルができて楽ちん
なんて説も出てきたらしいです。

でも、違うんです!
ブレーキの種類に関係なく、ダウンヒルでは下ハンを使うべき理由があるのです。

下ハンのメリット(その1):前転しにくい
下ハンは低重心で安定なのに対して、ブラケットポジションは重心が高くて不安定です。ダウンヒル中に何かに乗り上げたりぶつかったりした時、下ハンなら体勢を立て直しやすいのに対して、ブラケットポジションは手が離れたり、前転して頭を打ったり、肩から落ちて鎖骨骨折となりやすいです。


旅自転車 ランドナー&ツーリング車の本」より

ランドナーはなぜドロップハンドルなのか?
大きな荷物を積んでいるから、平地で下ハンを握って空気抵抗を減らしたところで、スピードの差なんて、たかが知れてますよね?
ダウンヒルや砂利道(昔は多かった)で重心を下げて、安定して走るためにあるんです。

下ハンのメリット(その2):自然に前を見るようになる
下ハンを握っていると、顔が自然に前を向きます。下ハン状態で横を向こうとすると首が疲れるからです(疑問に思う人は、実際に試してみてください)。
ところが、ブラケットポジションだと顔を横にしてもリラックスしたまま乗れるので、景色の良いところでは、ついよそ見をしがちになってしまいます。本当はスピードが出ているときこそ、しっかりと前方確認をすべきなのにね。

あるブログで知ったのですが、こんな事故があったそうです。

事故の実例
ダウンヒル中、サイコンに気を取られ、右カーブに気づくのが遅れて路肩に突っ込む
ブラケットポジションを掴んでいたので自転車ごと前転
頭から落ちてヘルメットが割れ、サングラスが破損、体は擦過傷
フレームとホイールにも大きな傷がついた。

出典:とあるブログ

ハンドルはしっかりと握ること!(特に、漫然と手を乗せることになりがちな、最近のエアロハンドルには要注意)
ダウンヒルは下ハンで下りましょう。
言うまでもないことですが、ダウンヒルではスピードを出しすぎないこと。最後まで集中しながら前をよく見てハンドリングすることが大前提ですよ!



5.サングラスについて


ロードバイクに乗る人って、大抵サングラス(アイウエア)をしていますよね?
でも僕はしていません。その理由について書きます。

昔はサングラスをしていました。
ロード選手がサングラスをするようになったのは1985-86年頃からです。
ツールを5勝した英雄 ベルナール・イノー がRudy Projectを使っていたので、僕も同じのを買いました。

僕はロングライドが好きなので夜間もよく走ります。
昔は調光レンズとかもなかったので、クリアレンズのタイプを長く使ってきました。

二十数年前の筆者
まだギリギリノーヘルが許されていた頃
クリアレンズのサングラスをしていた

サングラスをやめたのには大きく理由が三つあります。

サングラスをやめた理由 (その1)
ヘルメット着用運動が広まってきた時に、サングラス+ヘルメットの組み合わせが鬱陶しく感じたからです。ヘルメットを優先しなければならないので、サングラスは止めることにしました。
風が目に直接当たるわけですが、実際に乗り続けてみて、それでも全く支障ないこともわかりました。

サングラスをやめた理由 (その2)
欧州やアメリカに行くと分かるんだけど、日本と同じくらいの緯度なのに日差しがとても強いです。なぜなら湿度が低いからです。
だから、街でもサングラスをして歩く人を多く見かけます。
でも、湿度の高い日本では日差しが眩しいと感じることがないし、僕はその観点でもサングラスの必要性を感じませんでした。

サングラスをやめた理由 (その3)
「サングラスをしたひと イメージ」でGoogle検索をしてみますね

サングラス 調子乗ってる
サングラス 印象 悪い
サングラスしたまま  失礼
サングラス  気取っている

日本では、サングラスをしている者は

そういう風に思われている

ということなんです(残念ながら)。

上の方で、「クルマと交差する時は手を上げてアピールする」と書きました。
でもサングラスしたままそれをやったら、すごく偉そうで生意気に見えてしまうのだろうな…と(僕の考えすぎかもしれませんが(笑))

素顔をちゃんと出して、車のドライバーとコミュニケーションしたいなと思うわけです。
「こちらは怪しいものでは御座いません!」
「止まっていただき、ありがとうございます!」
ってね(笑)



6.集団走行について


僕のロードバイクは99.99%がソロのサイクリングなんですけど、もちろん大人数のグループライドやレースでの集団走行もしたことがあります。
でも基本的には、ソロのライドと比較して、グループライドや集団走行は事故のリスクが高まると考えています。
その理由は大きく三つあります。

集団走行のデメリット(その1):
自分がどんなに安全に走っていても、後ろから突っ込まれたり、前方の落車に巻き込まれる可能性がある。

集団走行のデメリット(その2):
人によって快適に走れるペースが違うので、遅い人は集団のペースに付いていくのに必死になり、注意力が散漫になりやすい。疲れていても勝手に休憩したりペースを緩めることができず事故に繋がりやすい。
よく、ゆるポタと思って参加したら、ストイックなガチライドだった「ゆるポタ詐欺」が笑い話的なネタになるけど、それは事故のリスクを高めているということを認識して欲しいですね。

集団走行のデメリット(その3):
グループでの二番手以降は風の抵抗を受けず、前の人に付いていけばいいだけなので気楽になると同時に、自分の頭では何も考えないから、注意力が散漫になりやすい。

昨年は、こんな事故も起こっています。

事故の実例
ブルベの最中に数名の隊列走行となった。橋を渡って下り坂となったところでひとりが転倒して反対車線まで飛び出し、車に撥ねられて死亡した。
原因は明らかになっていないが、転倒した方のロードバイクの前輪が前のバイクの後輪にハスって(接触して)転倒した可能性があるとのこと。

出典:ニュース、ブログなど

グループライドは仲間と楽しめるメリットはあるけれども、走行中は少しの油断も許されない、高度な走り方なのです
「もっとペース落としてよ」とか、「疲れたから、ちょっと休もうよ」とお互いに気兼ねなく声掛けができる、よく知った間柄同士でするのがよろしいのではないかと思いますね。

でも、一番気楽で安全なのは、自分のペースで走れて、疲れたら勝手に休憩できるソロのライドなのではないかと、ワタクシは思うわけです。



7.まとめ


以上をまとめますと「事故に遭わない、怪我をしないための走り方」は、次のようなものになります。

  • 前をしっかりと見て走る。後ろはトラック以外は気にしない(音でわかる)。

  • 市街地ではスピードを出さない (時速25km以下)。

  • 明るい色のウエアやヘルメットを着用して、車に認識してもらう。

  • 自分と交差しそうなクルマには、手を上げて積極的にアピールする。

  • サングラスはせず、車のドライバーにこちらの素顔が見えるようにする。

  • 通常時はもちろん、片手運転になる時には、意識的にもう片方の手でハンドルをしっかりと握る。

  • ダウンヒルでは下ハンドルを握る。

  • ソロで走る。

人それぞれ、走り方の癖や考え方の違いがあるので、異論は認めます。
でも僕は今後も、このスタイルでサイクリングを楽しむつもりです。
自分にとっては、これが最も事故のリスクが少ない、安全な走り方だと思うからです。

(終わり)



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