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ロードバイク: 高級なクリンチャーと廉価なチューブラーはどちらが良いのか?

このnoteは高級なチューブラータイヤ,廉価なチューブラータイヤ,高級なクリンチャータイヤを比較してみた記事です.

1.はじめに

私はこれまで10種類くらいのチューブラータイヤを使ってきました.
学生時代はもっぱら二流メーカーの練習用タイヤばかりでしたが,社会人になってからはClementやVittoriaのハイエンドタイヤを使うようになり,最近の20年間は Vittoria CORSA CX しか使っていません.
CORSA CXは80年代前半に登場し,マイナーチェンジを繰り返しながら2015年頃まで販売されていたVittoriaのロードレース用決戦タイヤです.
乗り心地が良くて耐パンク性能も高く,もうロードバイクのタイヤはこのあたりで完成系だと思うようになり,他のタイヤには興味がなくなりました.

しかし,それはCORSA CXが4500円くらいで買えた当時の話...
私がいま使っているタイヤは5年前にショップでギリギリ在庫品として残っていたもので,その価格はなんと... 前後で 14,677×2 = 29,354円

もう,信じられません.
10年で3倍もの値上がり
どうしても欲しかったので買いましたけどね

さすがに今後が不安になり,ロードバイクに乗る回数が増えたこの4月からはクリンチャータイヤにも手を出すことにしました.
チューブラーとクリンチャーの2ホイール体制とすることで,高価なチューブラータイヤを延命させることが目的です.
今年の4月に,クリンチャーに初めて乗った時の比較レビューを下記のnoteに書きました.


実は,私はタイヤに関してもうひとつ知りたいことがありました.
高級チューブラーと高級クリンチャーの違いは分かった…
では,いわゆる練習用タイヤと呼ばれている,
廉価なチューブラータイヤと高級なクリンチャータイヤはどちらの方がよいのだろうか?
ということです.

Vittoria から練習用タイヤとしてSTRADAとRALLYが発売されています.
どちらも同程度の価格(約4000円)で,そのコストはハイエンドなクリンチャータイヤとラテックスチューブの合計価格の半額くらいです.
このクラスのタイヤを使っていたのは,もうだいぶ昔の話なので,細かいことは忘れてしまいましたが,ハイエンドチューブラーに比べると乗りごこちは劣るし,パンクもしやすいしで,価格なりの性能というのが私のそれまでの認識でした.

そんなわけで,練習用タイヤには長いことあまり興味がなかったのですが,今年の8月25日のライドでコンビニ休憩した際,久々に会ったAUCCのS君から興味深い情報を得ました.
彼は以前,ハイエンドクリンチャーの定番であるContinental GP5000を使っていたが,チューブラーのVittoria STRADAに乗り換えたところ,明らかに振動吸収特性が向上したので,いまではチューブラーをメインで乗っていると言うのです(後でもう一度本人に確認したら私の勘違いで.STRADAではなくてRALLYの間違いだった.まあ似たようなものだが).

ということで,私も早速STRADAを入手し,今回CORSA CXを前後ローテーションでタイヤを剥がしたついでに,しばらくSTRADAに乗ってみることにしました.
悪くなさそうなら,CORSA CX,CORSA(クリンチャー)とともに常用していきたいところです.

2.Vittoria STRADAとRALLYの違いについて

Vittoriaから廉価なチューブラータイヤとしてSTRADAとRALLYが発売されています.インターネットで調べた情報を下記にまとめます.

  • STRADAとRALLYのどちらもVittoriaの下請け会社が製造していて,通称ライオンタイヤと呼ばれているらしい.

  • STRADAとRALLYは似たような価格だが,一応STRADAはRALLYの上位版との位置付とのこと.

  • STRADAはバルブコアが外れるが,RALLYは外れない.

  • STRADAは日本のみの限定販売だが,RALLYはそうではない.

  • STRADAは耐パンクベルトが入っているが,RALLYにはない.ただし,STRADAの耐パンクベルトは名ばかりの薄い切れ端で,その機能はあまり期待できないらしい.

  • STRADAの方がRALLYよりもサイドがしなやかにできているらしい.

  • STRADAはロットによって当たり外れがあるらしい.

チューブラータイヤの利用者が激減して,競技用の高価なチューブラーホイールしか販売されなくなった現代において,廉価なチューブラータイヤを2種類も製造・販売し続けてくれているのは本当に有難いことです.

3.高級チューブラーと廉価なチューブラーはどこが違うのか?

 乗り心地以外の面での,高級チューブラータイヤ(Vittoria CORSA CX)と廉価なチューブラータイヤ(Vittoria STRADA)の違いをまとめます.

上の写真は新品のCORSA CXです.
高級チューブラーは必ずこのように折りたたまれずに販売されています.
最近のCORSAのチューブラーは大きな箱入りで売っているみたいです.


STRADAは折りたたまれた状態で売っています.
手に持ってみると,CORSA CXのサイドはよりしなやかで,STRADAの方がサイドが硬いことがわかります.


CORSA CXはふんどし部分に「HAND MADE」と書かれています.

こちらはSTRADAです.HAND MADEとは書かれていません.
折りたたまれて売っているので,空気を入れるとこのように歪んだ形で膨らみます.折りグセがついたままリムに接着するとセンター出しに苦労するので,使用前に適当なリムにはめて形を慣らしてやる必要があります.

Vittoriaに限らず,高級チューブラータイヤはどのメーカーも基本手作り(HAND MADE)です.Vittoriaの高級チューブラータイヤができる様子の動画がYouTubeにアップロードされています.

HAND MADEというと製造のために職人さんの熟練の技が必要な感じがしますが,上の動画をみると,要するに練習用タイヤほどは数が出ないので,製造装置に設備投資ができないということなのでしょうね.


4. 重量とサイズの比較

タイヤ重量(カタログスペック)
CORSA CX (チューブラー):250g
STRADA(チューブラー):295g
CORSA (クリンチャー) +ラテックスチューブ:320g

ホイール全体重量(前後,カタログスペック)
カンパ NUCLEON+CORSA CX (チューブラー):1880g
カンパ NUCLEON+STRADA(チューブラー):1970g
カンパ ELECTRON+CORSA (クリンチャー) +チューブ:2186g

ホイール全体ではSTRADAとCORSA CXの重量差は+90g,STRADAとCORSAのクリンチャーの重量差は-216g,後者の方がより大きな差があることがわかります.

タイヤの幅
STRADA (21c):21.8mm
CORSA CX (23c):21.2mm
CORSA (23c) :24.2mm
23CのCORSA CXよりも21CのSTRADAの方が広いようだ.


5. 見た目の比較


STRADAのタイヤの表示はシンプル.
チューブラーはタイヤのトレッド表面の端に印字されているけど,クリンチャータイヤ(一番下)はタイヤのサイドに表示されている.
よく見ると,CORSA CXの時代とそれ以後ではvittoriaのロゴが変わったようだ.

トレッドパターンはCORSA CXとSTRADAはセンターが砂目でその横が杉目,CORSAクリンチャーは全面に渡って縦溝のみ.
個人的にはチューブラーのトレッドの方が好き.


Vittoria CORSA CX (オールブラック)
Vittoria STRADA (スキンサイド)

上がいままでのCORSA CXで,下がSTRADAです.
ずっと使っていたオールブラックのCORSA CXに見慣れてしまったけど,やっぱりタイヤはスキンサイド方がいいなぁ.
CORSA CXにもスキンサイドがあるけど,オールブラックの方が売れるから,店頭や格安通販店では在庫していないことが多かったのです.
STRADAやRALLYはスキンサイドが簡単に入手できるのがいい.

6.Vittoria STRADAの使用感

さて,いよいよ使用感です.
前後7気圧入れて,いつもの50kmほどのトレーニングコースを走ってみました.

まず,走行音
CORSA CXは30km/hくらいになるとタイヤの接地面から「サーッ」という乾いたような高い音がします.音がするということは何らかの抵抗とロスが生じていることになるのですが,CORSA CXの音は官能的で
「いいペースで走っているなぁ」という感じがしてとても心地よいのです.
CORSA(クリンチャー)はとても静かで接地面からはほとんど音がしません.

このSTRADAの音は「コーッ」という感じで,CORSA CXよりも周波数の低いくぐもった音でした.悪くはないです.


私はタイヤとホイールの性能は「軽快性」と「振動吸収性」の2つで考えたいと思っています.
よくタイヤそのものの「転がり抵抗」が評価されますが,実際に走っている時にはホイールの作りも大きく関係してくるので,加速時や高速巡航時にホイールが全体としてどれだけ軽快に回るかを考えたいところです.
また「グリップ性能」などは,雨の中やグリップの効きにくいコンクリート舗装などであれば体感できるのでしょうが,普通の乾いた舗装路面を普通に走る分には私にはよくわかりません.それに,少し乗り込んでトレッドが磨り減ってくればグリップ性能は変わってしまうはずです.

で,STRADAの特性なのですが,同じ7気圧入れた時にCORSA CXはフワフワするのに対して,STRADAはタイヤが変形しにくく硬い感じがしました.
でも悪い硬さではないです.
チューブラーは,細いタイヤを高圧にして接地面積を減らし,タイヤの変形をできるだけ無くすことで軽快に走ることができる仕組みになっています.STRADAはまさにそのセオリー通りという感じです.

そう言えば,初めてチューブラータイヤに乗った時って,こんな感じだったよなぁ

と思い出しました.
CORSA CXに乗り慣れてしまっていたので,とても懐かしい乗り味です.
昔,練習用タイヤから初めてハイエンドタイヤに乗り換えた時に,そのソフトな感触にとても感動したことをよく覚えています.
しかし,いま再び練習用タイヤに戻ってみると,STRADAはその硬さゆえに,CORSA CXと比べてロスがなくホイールが軽快に回っている感じがするのです.「乗り味の個性のひとつとしてはこれもアリだなぁ」と再確認させられたのでした.

そして,CORSA(クリンチャー)と比較しても,STRADAの方が軽快性は高かったです.上のような理由に加えて,ホイール全体としてはやはりクリンチャーよりもチューブラーの方が軽いことと,23Cのクリンチャーよりも21CのSTRADAの方がタイヤの接地面積が狭いことが理由だと思います.

次に状態の悪い舗装路面での振動吸収特性について.
やはりSTRADAはCORSA CXよりも硬いせいか,振動吸収特性は劣っているように感じました.
でも,CORSA(クリンチャー)よりは良かったです.
STRADAは「硬い」のですが,いざというときにはチューブラーの性能を発揮して,ちゃんとしなやかに変形してくれるのです.
本当に,振動吸収特性に関しては STRADA は CORSA CX と CORSA(クリンチャー)の中間的な感じがしました.


というわけでテスト走行終了
本日の走行距離:55km


7.まとめ

 廉価なチューブラータイヤ(Vittoria STRADA) vs 高級なクリンチャータイヤ(Vittoria CORSA)  の比較の観点でみたとき,軽快性と振動吸収性の両面でSTRADAの方が優っていると感じました.
 STRADAの価格はCORSA(クリンチャー)+ラテックスチューブの半額なので,STRADAのコストパフォーマンスは高いです.
チューブラータイヤとクリンチャータイヤの構造の違いからくる性能差はしっかりと感じ取れました.
 あと,STRADAはブチルチューブなので空気の減りが少ないです.
CORSA CXから久々に乗り換えると,これがとても新鮮に感じました.
チューブラーを毎日の通勤などで常用する場合はとても重要なポイントだと思います.
  
 実は私が最も知りたくて,まだ確認できていないのは耐パンク性能です.
昔からチューブラーの高級タイヤは耐パンク性能を高める工夫がいろいろとされているからパンクしにくいけど,廉価なタイヤはそうではないからパンクをしやすい...と言われています(そのため,練習用タイヤではシーラントを使っている人も多い).
 実際,私はCORSA CXを長年使っていて路上でのパンクの経験がありません.そして,できればシーラントは使いたくありません.
久々に使う練習用チューブラーに「やっぱりパンクしちゃうんだろうなぁ」とドキドキしているところです
(S君に確認したところ,彼はSTRADAもRALLYも突き刺しパンクは経験がないと話していたが...)


 本当はもう少し距離を乗り込んでからレビューしたかったのですが,12月2日現在,既に雪が積もっていて今シーズンはもう乗れそうにないので,記憶が薄れないうちにとりあえずnoteにまとめてみました.
また何が気がついたことがあれば(特にパンクしたら),続きを書いてみたいと思います.

終わり


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