ADHDの人へ。パートナーは永遠の刺激の源などではない。
今回は、まず、海外のADHD女性2人の体験談を紹介する。(元の文章は一番下にリンクを貼っておく)
日本人の体験談を選ばなかったのは、国や文化が違っても同じような悩みを抱えていることが、わかりやすいからだ。
1人目
ここ1週間は写真が趣味だった。けれど、2週間前はスケボーを買おうとしていた。そして、今日はピアノを習いたくなった。
習い事をはじめたりしても、うまくできないと感じれば、すぐにやめてしまう可能性が高いとわかっている。大学で履修したコースにも、興味が薄れてしまった。
他のみんなはそんなことないのに。
興味を失いやすい。 趣味だけでなく、心から愛している人にまで。月面にいるような気分が、いきなり虚無感に変わる。夢を追うことも難しい。
新しく見つけた「趣味」をすぐに試してしまうと、それまでにあった「趣味」が押しやられてしまう。その結果、さまざまな活動が色あせる。多くのことに気をとられると、多くのことに興味を失ってしまう。
2人目
恋人を見つけるという目的よりも、新しくて面白い人たち(私のことをイケてると思ってくれる人たち)がもたらす興奮のために、マッチング・アプリを使っていた。
愛を探しているのだと自分に言い聞かせながら、私は、私のADHDにエサを与えていた。特にニューヨークのような場所で、無限の選択肢は、むしろ私を満足させることはない。
関係は始まっても終わった。友人関係や恋愛関係のほとんどは、私の衝動性と感情変化が原因で、始まっても終わった。
ADHDの専門家であるアリ・タックマン氏は、以下のように解説する。
たとえばマッチング・アプリは、ADHDの人にとって、独特の苦痛となる可能性がある。
一見、マッチング・アプリには、ADHDの脳が必要とする「多様性」がある。新しい相手とマッチするたび、大量のドーパミンが放出される。
気づくと、新しい相手が何十人もいる状況に。ADHDの脳は特に、1つの物事や人に集中することが苦手。マッチング・アプリでそれを増幅させることは、彼ら彼女らにとって、転げ落ちやすい坂道になり得る。
そういったアプリは、「気が散りやすいこと」に報酬を与える仕組みになっている。ADHDの強い衝動性とスワイプ。次のスワイプでは誰が出るのかというスリルに、半永久的に、多分の興味をもっていかれる。自分が本当に好む人を特定するのは、かなり困難になる。
そして、予期せぬ興味の喪失。いわゆるハネムーン期の終わりは誰にでもあることだが、ADHDの人にとっては特に強烈だ。過集中し波に乗っていたら、突然、刺激のラッシュが消え去る。
パートナーは永遠の刺激の源になどならない。パートナーであることとは、そういうことではない。常に脳が燃えているような感覚を、特定の人間に期待などすれば、良好な関係(パートナーシップ)は終わってしまう。
道徳的な話ではなく、事実として、ADHDは1つの個性である。個性とは、“中央値” から離れた特徴や能力や価値観のことだ。ADHDの中にもグラデーションがある。異なる個体が相互に理解しあうには、多かれ少なかれ、誰でも努力が必要であろう。
ADHDでない者がADHDの者に対して、「普通の人はこうなのだ」と一方的に諭すのは、あまり得策ではない。
その逆も然りなのだ。
たとえば。加熱しやすいこと・過集中しやすいこと・それらが早急にや途端に消滅しやすいことを、ADHDの者がADHDでない者に対して、「人なんてこんなものだ」と言ってまわるようなことも、あまりよくはないだろう。
参考文献
https://www.verywellmind.com/verywell-loved-why-is-dating-with-adhd-so-hard-6823086
https://www.theminiadhdcoach.com/living-with-adhd/adhd-losing-interest