温暖化で貧困層は富裕層よりも苦しむ。
画像からはじめる。
これは、アメリカ メリーランド州 ボルチモア市の地図なのだが。この赤色と緑色は何を表しているのか。
タイトルは「熱と収入」。
赤色は気温:薄→→→濃 低→→→高
緑色は収入:薄→→→濃 低→→→高
矢印で示された1箇所は、フランクリン・スクエア地区。ボルチモアで最も貧しい地域の1つだ。
夏の暑さを表す赤色はかなり濃く、年間収入を表す緑色は最も薄い。
具体的な気温で言うと。市内で最も涼しい地域よりも6℃暑い。他に、10℃の開きがある場所もある。
調査により。全米約70の地域で、同じこと(低所得の区域は裕福な区域よりも暑い)が起こっていると判明した。
地球が温暖化すると、貧困層は富裕層よりも苦しむ。これを解説していく。
貧しい人々は、高速道路の近くや工業地帯など、熱を発生させる土地に住んでいることが少なくない。無論、家賃が安いためだ。
そういった土地はコンクリートが多く・樹木が少ない。
そして、住民には有色人種が顕著に多い。
有色人種のコミュニティが望ましくない場所へ行き着いた/行き着くのには、理由がある。
たとえば「レッド・ライニング」。
レッド・ライニング(赤線引き)
1930年代にはじまったアメリカの金融論。
金融機関は、黒人が住む地域は融資リスクが高いと言った。該当地域を赤線で囲んだ。“Dランク” などと呼んだ。実際に、融資対象や住宅ローンから除外するなどした。
赤線引きは、公正住宅法により1968年に禁止された。
冒頭にあげたボルチモアの暑い地区にも、アフリカ系アメリカ人が多く暮らしている。
1937年に「住宅所有者ローン公社」が作った地図で、“低く評価” されていた地区だ。
何が言いたいかというと。
60年代に終わった「レッド・ライニング」は、実際には、終わっていない。今日まで続いている。正しくは、尾を引いている。
想像してみてほしい。歴史や記録に残らないような影のストーリーを。個々人のエピソードを。
正規の融資を受けれなかった人たちは、どうしただろうか。悪徳な金融業者に頼る場合もあったのではないか。反社会的な存在との関わりも増えたかもしれない。
過去は今と関連する。今は未来に関連する。因果関係。
1980年代から2010年代で、熱波の日数は60%増加。都市部の貧困層は、気候変動の矢面に立ち続けている。
ここからは、気候変動に関する話をする。
以前、国旗の話でNoteを書いた時にもオススメしたYouTubeチャンネル。このチャンネルは、気候変動に関する動画も、とてもよいものを出している。
この内容を一部抜粋して、紹介する。
タイトルは「氷河期が起こる理由」で、8割は氷河期の話をしている。しかし、この動画のより重要な部分は、終盤の2割にある。
まず、日射量低下と氷河期突入の関係を解説している。
猛暑の中で聞いても信じられないかもしれないが、今は氷河時代だ。氷河時代の中では暖かい、間氷期だ。氷河時代の中で寒いのが氷期= 氷河期。
白は光を反射する。氷は地球の「白」だ。
寒くなる → 氷(白)が増える → 太陽光を反射する → さらに寒くなる → もっと氷(白)が増える……
今までの地球はこうだった。
氷河期が来る前に、北半球の夏の日射量が最小。間氷期が来るタイミングに、北半球の日射量が最大。
次に、より重要な部分が語られている。
北半球の夏の日射量を見ると、地球は今、寒くなっていくはずなのだ。だが、現実はそうなっていない。
冬の寒さが記録的なものになることはあれど。夏の暑さはその印象を相殺するほどに異常だ。全体的な気温の上昇は、極めてたしかな事実である。
気温が下がるはずの時期に上がっているのだ。
自然要因ではなく人的要因で、ほぼ間違いないそうだ。たとえば二酸化炭素の増加。
地球には、今よりもずっと二酸化炭素が多い時期があった。平均気温も高かった。
2100年の二酸化炭素の予想:400~1000ppm
恐竜時代の二酸化炭素の推測:4000ppm
それなのになぜ。現代だと何が問題なのか。
答えは、変化の速度が速すぎること。
今まで数千年かけて起きてきた変化が、人類の与える影響により、百年以内に起きている。
地球は、ある「しきい値」を超えると、別の安定した状態になる。一気にモード・ジャンプする。
こういうことが、6500万年間に何度かあった。
そんな中、急速に変化(二酸化炭素増加からの温暖化など)しているのは、とても恐ろしい事態なのだという。
しきい値がわからないからだ。
間氷期がいずれ氷期になること。そして、いつか氷河時代が終わること。それらは、地球のえがく軌道によって起こることである。
だが。何かしらの原因でしきい値を超えてしまうことは、それとは異なる。
氷河時代が突如として終わり、別のモードに移行してしまう可能性。超温暖な時代に突入してしまう可能性。
起こるとすれば。こちらは、地球の軌道によってではなく、人間の行いによって起こる。
我々はなぜ、地球温暖化を防ごうとしているのか。
「今から来るのは氷河期」「自然要因」「地球のサイクル」それらとは話が別だからだ。
個人的には、ずっとこう思っているのだが……
“見えないスイッチ” を押してしまう可能性が、たとえば5%だとしよう。地球をモード・ジャンプさせ、一気に超温暖化させてしまう確率がだ。
ポイント・オブ・ノーリターン。絶滅する。
危険度が1%でもあるのなら、策をこうじるべきだ。リスクの内容が絶滅なのだから。1でもじゅうな数字ぶんだ。
何%かもわからないところに、この話の本当の怖さがあるのだが。
SDGsという言葉は日本でしか出まわっていないーーなどと、下らない茶々を入れている場合では全くない。
動画内では、原因がほぼ二酸化炭素であるとわかっていることに感謝すべきだ、とも語られている。その通りだと思う。
やってはいけないこと・やるべきことがわかっているだけ、相当マシである。