動画の話 「新高隊タイコンデロガを攻撃す」
八月になると放送される神風特攻隊の映像に、空母に突進していく特攻機のものがあります。これは台南空所属の彗星艦爆で、米正規空母「タイコンデロガ」に突入する時の映像です。
昭和20年1月18日に台南空において初の特攻隊が編成されました。
これが「新高隊」です。
台南空に残された航空機の内、零戦と彗星が使用されました。
攻撃開始は、1月21日、編成から三日後になります。
こちらが動画です。
米軍の防空網を突破するために三隊に分散しました。
第一隊
爆装 彗星艦爆2,爆装零戦2
直掩 零戦3
中継地点:成功
第二隊
爆装 彗星艦爆2,爆装零戦2
直掩 零戦3
中継地点:台東
第三隊
爆装 彗星艦爆2,
直掩 零戦2
中継地点:大武
三隊の内、第二隊は台湾空襲に来た米攻撃隊に捕捉され、新高山南方において撃破されました。直掩機1機が帰還、一名の搭乗員が落下傘降下し無事帰隊しました。
この様な状況となり、米機動部隊攻撃は第一、三隊の彗星艦爆4機、爆装零戦2機の6機に委ねられることになりました。
米正規空母「タイコンデロガ」を攻撃した特攻機は3機
最初の一機は完全に奇襲となり、雲間から逆落としにタイコンデロガの飛行甲板に突入しました。
搭載爆弾は飛行甲板を貫通し格納甲板で爆発、周囲の航空機を巻き込んで炎上しました。
ダメコンクルーは即座に消火活動を行い、衛生兵は負傷者の手当てと秩序だって対応する様は、乗組員の訓練が行き届いていることを示しています。
そして、ようやく鎮火の兆しが見えた午後1時51分
一機の特攻機が米直掩機隊の防空網を突破し、タイコンデロガに向けて突進しました。
対空火器が一斉に火を噴き、遂にその特攻機は火網に捕らえられてしまいました。
しかし、その4分後、超低空から防空網を突破して来た彗星艦爆が急上昇し、タイコンデロガ艦橋を目指して急降下をかけた。
艦橋は大爆発を起こし、艦長キーファー大佐と 副長のバーチ中佐は共に重傷。レーダーと通信機器、艦橋周辺にある銃座はすべて破壊され、飛行甲板にある航空機が再度炎上を始めました。
この彗星の突入は、多くの乗員から目撃されていました。
その一人であるパイロットのピアソン中尉はこのように述べています。
「我が対空火器の砲手は非常に有能だった。砲弾は敵機に命中し、機体の破片が飛び散っていた。パイロットは間違いなく死んでいたが、敵機は急降下したままだった」
タイコンデロガの乗組員にとっても最悪の状況です。
二度の突入により死傷者は続出し、船内の火災も激しくなりました。
安全な船首部に負傷者は集められ、他艦への移乗が行われました。
ある負傷兵は自分より重傷の負傷兵から「お前が先に行け」と言われたとあります。
タイコンデロガの乗員の規律が保たれていた一つの証であります。
戦果は
正規空母「タイコンデロガ」大破 二機突入
駆逐艦「マドックス」大破 一機突入
軽空母「ラングレー」小破 小型爆弾一発命中
新高隊戦死者
西田幸三中尉
高島陸人少尉
平井孝二少尉
安留亀一一飛曹
新田四郎一飛曹
沢田光男一飛曹
杉山喜一郎一飛曹
宮野健次郎二飛曹
山下信博飛長
福島昇飛長
以上十名です。