原種に近いコモンラベンダーの高発芽率を利用した古典的な新品種開発方法。
どうやら園芸ラベンダーの世界では、一列に綺麗な植栽をなし、どの株も均一なサイズ・形状に選定維持管理されるものが美しいとされるようです。
そしてその列ごとに花色の異なった品種を並べて交互に魅せ、カラフルで整った景観を生んでいます。
そのカラフルなラベンダー植栽の景観を生むためには、「異なる品種」が必要となりますよね。
さて、遺伝科学が発展した21世紀現在では、アデニン、チミン、グアニン、シトシンの4つのアミノ酸配列をどうにかしていじくれば、花の色などが変わってくれることは明白ですよね。
じゃあじゃあ、科学が発達していない100、200年前の園芸品種の開発・改良はいかに行われていたか?をボサッとつぶやいてみたいと思います。
(個人的には"呟く"範疇なのですが、なかなかの長文かと思います)
●古典的なラベンダー品種開発の方法
早い話、1mm程度のタネをバラまいていたそうです。
これに関しては、日本のラベンダー史でもある1937年南フランスから5キログラムの種子を一袋まぜまぜで送られてきた中から、開花時期を中心に特徴に差異が大きく、こんにちにも残る「1号ようてい」「2号はなもいわ」「3号濃紫早咲」「4号おかむらさき」「バイオレットメモリー」などの北海道伝統品種が生まれています。
彼らは1950年代に北海道にタネで撒かれて発芽してから、挿し穂繁殖によるクローン栽培で品種の灯を繋いできました。
なんでそんなに品種がたくさん生まれるのか?という問いが浮かぶと思いますが、カギはコモンラベンダー/Lavandula angustifoliaの遺伝子にあるようです。
以下に掲載している中国発の論文によると、シソ科コモンラベンダーは過去に2度ほど"遺伝重複"を起こし、花の香りが美しくなるように進化したようであると書かれています。
遺伝重複とはガンなどと違い、同じ配列の遺伝子が縄跳び状になり、どちらか片方が発現し、片方が壊れても、そのもう一方がサブとして機能し、欠損部位を生まないような遺伝子/DNAの獲得防御機構だったりします。
そしてごく稀にダブった2本のうち1本がいい香りや花の色を変える性質を出す機能を発現させてしまい、不本位ながらミツバチが見つけ出しやすくなったり嗅ぎつけやすくなったり、ソレを特に気に入ったりしたワケです。
植物をはじめ、生物がウン10億年かけて獲得した生存策なのですね。
コモンラベンダーの進化史について触れ研究されてる論文はコチラ⤵︎⤵︎
という遺伝重複がコモンラベンダーは特に多かったこともあり、タネを採ってばらまくと、どうやら稀に花の色が明らか異なっていたり、開花時期が異なっていたり、背丈や香りが違っていたりする「異種に見えるような子孫株」が発生するようです。
タネを基にした正当繁殖ですから、さらにその子孫株からタネを採り、またばらまくと、さらに色の違う株や香りの違う株が生まれるワケです。
これは血液型でも例えられる、メンデルの法則ってやつですね。
それらのラベンダーversionがこれにあたるワケです。
●クローンは?より商業・工業的な品種では?
で、現在は医薬利用への関心高まりや天然香料の価値見直しによってラベンダー品種でもオイルの高収量が得られる交雑品種や香り物質の構成比の良い品種開発が進められています。
これらは、どうやら発芽機能が半数以下に落ちているか、発芽生育しても種子の健全な結実完結が起こらず、後世に子孫を繋げられない遺伝的な宿命を背負っているようです。
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。