秋の芳る花の代表格を味わってきたよ!
さてさて。
兎にも角にも、、、
北海道には秋の風物詩「キンモクセイ」は生えていません。
寒すぎるのでまず育つことができないんですね。
本州でのポピュラーな竹モウソウチクやスギ・ヒノキなどと同じ理屈です。
青森と函館の海峡にあるブラキストン生物区分線というので大きく区切られているんですね。
そもそもキンモクセイは南方性の植物だったりするのですが、、、
この男エフゲニーマエダは実は日本本州を通り越して異国の地台湾・嘉義の山の中奮起湖という村で遭遇しています。それも3月に!
2017年春の思い出なのですが、、、それはそれはエラいいい香りを醸す庭木?が坂の途中にありましてね。
花の色は確か白っぽくて既知のキンモクセイの姿とは大いに違っていたんですが、教授が「それキンモクセイだよ〜」と教えてくれたのでキンモクセイらしいのです。
まぁ香りが恐ろしく癒されるいい香りだったので、後ろ歩いてたみんなが先行って姿見えなくなるぐらいまでずーっと花の香りを嗅いでいた思い出があります。
まぁそれが最初で最後の妙に違ったキンモクセイとの思い出でしょうか。
で、北海道人は基本的には秋の開花シーズンに関東や本州へ行かなくては実物のキンモクセイを拝めません。
しかし、日本人としての伝統誇示?原風景を忘れたくない念は確かに強くあるもので…札幌の植物園にも一応植えてあるのです。
札幌市の温室植物園「百合が原公園」へGO !!
その一角がコチラ以下。百合が原公園の温室植物園ですね。
”植物園温室”というからにはトロピカルで南国の花の香りが溢れてるのかな〜〜〜と思いつつドアを開けると、湿っててやや使い古した雑巾のような香りが。笑
なんちゃって調香師的には都合良いのでまずはその雑巾臭に鼻を慣れさせておきます。(感動を大きくするために)
でその時がやってくる。。。
温室の中央あたりでしょうか、上記写真の位置です。
ちょうどこの位置で温室内では常に香っていた"雑巾臭"とは明らかに次元が違う、甘くて優しい香りのATフィールドに触れたことに気付かされたのです。。。
念のため申しておきますが、この写真の位置ではまだその香りの正体は写っていません。
しかし「もうソイツしかいないだろう!」的な甘い香りは確かにこの位置でしっかりと感じられることに、すでに湧いた大きな感動を隠せないのです。。。(正直ラベンダーよりすごい。香り強度的にも)
いましたいました。温室の奥に隠されるようにして植えられている、秋の美しい香りの正体キンモクセイが!
まるでミカンがなっているようないでたちですね。。。
■Osmanthus fragrans var. aurantiacus
キンモクセイの学名の種名部分には秋の風物詩であるその香りを出す特徴が’fragrans'という種名で表されていますね。
キンモクセイの学名のケッツにはOsmanthus fragrans var. aurantiacus Makinoと「牧野」が付きます。
昨今の朝ドラで一躍有名となった日本の植物学者である牧野富太郎先生が学名や所属科属等を分類決定しているみたいですね。
■キンモクセイは札幌市の花ライラックと遠い親戚!
寒すぎてさすがにキンモクセイが生育できない北海道において、実はキンモクセイの近くも遠い親戚植物のライラックに縁があります。
ライラックはハシドイ属なので学名表記するとSyringa vulgarisとなりキンモクセイとは異名となってしまうのですが、同じモクセイ科植物。
キンモクセイはモクセイ科モクセイ属で、オリーブ油をつくるオリーブも一応モクセイ科植物になります。
体感的には、キンモクセイはアジアの代表的なモクセイ科植物で、ライラックはヨーロッパでの代表的なモクセイ科植物として対比することができますね。
キンモクセイからやや遺伝的に遠いライラックはさほど強い香りは出しませんが、わずかにライラック様芳香という香りが存在します。
香水でもライラックをイメージしたものも存在していますよね。
■ラベンダーとの共通成分はLinalool!
サクッとキンモクセイの甘い香りの構成成分を調べてみました!するとこんな論文を発見。
上記論文によると、キンモクセイ花の香り成分の主体は
・酸化リナロール 13.07%
・βリナロール 24.28%
・tranceゲラニオール 13.20%
・βイオノン 20/69%
という主な構成になっているようです。花系精油の構成成分の代表格が集合している形ですね!
そしてコモンラベンダー(Lavandula angustifolia)の代表成分ともいえるリナロールがキンモクセイとラベンダーとでも共通しています。
癒される香りの根源ともいえるでしょう!
北海道での癒しの香りはラベンダー、本州での癒しの香りはキンモクセイ、といった文化違いとみてとれますね!
■日本ラベンダー生みの親曽田香料とこんな繋がり!
キンモクセイの甘く癒される香りの成分はざっとβリナロール、tranceゲラ二オール、βイオノンといった芳香物質が主体のようです。
ゲラニオールはバラ系、リナロールはクスノキ科精油やラベンダーなんかで有名な香り成分ですね。
で特にイオノン。
いわゆるニオイスミレ、Violet(さつまいもの甘い香りもイオノン)の特徴的な香り成分なのですが、、、
日本ラベンダー栽培の祖たる曽田政治氏が香料会社の事業として最初にやってのけた功績がイオノンの合成香料を製造したことなんですね!
この合成イオノンの開発があったおかげでその資金で次なる事業ジャスミン精油とラベンダーの国内栽培に向けたラベンダー種子の輸入というイベントへ展開できたとされます。
キンモクセイの花の香りをつくる成分と日本のラベンダーとは実はこんな繋がりがあったんです!
■キンモクセイ香りの凄さ!
最近隠れてコソコソと遊んでいる調香の関係で、キンモクセイの調合香料(合成香料)も持っています。
中国で生産される、天然のちゃんとしたキンモクセイ精油も存在するにはするのですが、なにせ1mL¥5000あまりと高価すぎるのです。キンモクセイから精油を取り出すのは容易ではないんですね。
で上記の曽田香料の功績もあってキンモクセイを再現した香りというのはわりと無難に存在しています。
おいらもちゃっかり10mL¥600くらいだったキンモクセイの合成香料を持っているんですよ。
ということで、キンモクセイ実物と合成香料の香りそれぞれを嗅ぎ比べてみました〜〜〜ヽ(´▽`)/
なんと贅沢な企画だろうか!!笑
で驚くことに、やっぱり明らかに違うんですよ!!
合成香料でもやはり実物の優しくもパワフルに甘い香りには勝てないようで、どこがどうちがっているかというと、合成香料の香りには尖った様な鋭さを感じるんです。アルコールっぽいような感じの。
で甘さのレベルも違っていました。
合成の方も甘いっちゃ甘いのですが、キンモクセイ実物の方はまたさらにその上をいく甘さ。まるで夕張メロンのような甘さ。(それは味覚だけどね)
実際合成の方もいい香りなのですが、実物と比べるとキンモクセイ実物の方がさらにブラッシュアップされて香りの美味しさ美しさ妖美さがクッキリする感じでした、、、なんというか、甘い香りに感動っすね。
また行きたい、いや行ってきます。
間に合わなければ東京にでも飛んで確かめてみたいと思います。