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もふもふの白いお腹を撫でながら何をするか考える

私の好きなモノ④

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私は今何をしたいのだろう。
と考える。

今の私を幸せにするものは何だろう、と。

例えば家のトイレから出てきたときに目に入る観葉植物の緑。
無防備にさらされる猫のふわふわの白いお腹。
バカラのグラスで飲むアイスコーヒー。
そういう取るに足らないものがとても心地よい。

けれどそれだけで過ごすには時間は長い。

時間がない時はアレもコレもやりたいことがミチミチと心を支配していて
「それ」ができないことにモヤモヤする。
体力がない時は身体を縦に保つのも難しくて
溶けていきそうな自分の身体と床の境界線を確かめながら
本当は片づけて、出かけて買い物をしないといけないのに・・・と、心は追われる。

では身体が回復して時間ができた今、
とっとと頭と心にあったアレヤコレヤに手を付ければいいのに
あぁ、良かった、やっと普通が戻ってきた。
と安堵しながら、ふと訪れた静寂に何もできないでいる。

昨日までの私が這う這うの体でこなしていた洗濯のおかげで
今日の私が慌てて何度も洗濯機を回す必要もない。
ネットスーパーのおかげで食材は冷蔵庫にある。
脱ぎ散らかしていた上着を定位置に収めて
掃除機をかけたら「絶対にやらねければならないこと」は終わってしまった。

なんだ、こんな短時間で済ませられることに心は追われていたのか。
と拍子抜けするものの
ゆっくりとしたスタートのせいで遠出するには難しい時間になってしまった。

長らく動けなかった「私」はそのやり方を忘れてしまったようで
動くには右足から出せばいいのか左足から出せばいいのか分からなくて
柔らかい日差しに照らされた自分のつま先を見て途方に暮れる。

ふと、さっきまで白いお腹を出して眠っていた猫が足元にすり寄ってくる。
そしてこちらを見ながらころりと寝転ぶ。
喉を鳴らすのは「撫でて」の合図だ。

あぁ、そうそう。
途方に暮れるよりあなたのお腹を撫でていた方がずっと建設的よね。
と声をかけながら、うん、そうしよう。と思う。

今日は猫を撫でながらコーヒーを飲んで
読みかけの本を読もう。
夕暮れには観葉植物に水をあげて
早い時間から軽くお酒を飲もう。
眠る前にはお風呂でたっぷりのトリートメントを髪に塗り込んで、
ちょっといいパックをしよう。
そうして明日のことを想像しながら暖かい布団で眠ろう。
きっといつもと同じように
猫と布団の一等地を争うことになるだろう。

きっと今日はいい1日だ。
それはこれから始まる幸せな1週間の始まりかも知れない。

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