腹に寄生虫がいる男の贖罪
やあ。僕は椎名オブザ・リングだ。突然だけれど、君たちは腹に寄生虫がいるか????いない?
じゃあ君たちのことを痰壺院釋溺死丸(痰壺で溺死した時の戒名)と呼ぶね。だって、たで丸達(略称)の腹には寄生虫が居ないんだから。快便ライフを送っているんだから。
前トイレ行った時に管のようなものが出てきた時は驚いた、人体から出ていいものの見た目じゃなかった。寄生虫のやつめ、くたばれ。そしてこれは僕の腹に寄生虫さえいなければ起こらなかった悲劇だ。どうかこの罪滅ぼしを、最後まで読んで欲しいと思う。
寄生虫のせいで毎日5、6回の腹痛に悩まされてる僕はその日もトイレに駆け込んだ。金曜日の6限終わり。
我が高校は火曜と金曜にしか掃除をしない。きったねーーークソ男子高校(ダブルミーニングでは無い)だ。だけれども、その滅多にない掃除をバックれる程の腹痛が訪れた。
正確には6限の最後の10分くらいから痛かった。
けどラスト10分で声、上げれますか?
自分、うんこいきます、って手を挙げれますか?
クラスメイトがああ、こいつは、うんこに、行くんだな。と見てくるあの空気、嫌じゃないですか?
僕は嫌なので大人しく、ぐっっっっと堪えた。人にあいつうんこするんだ、うんこ行くんだ、と思われたくないのは小学生の頃からである。
胃腸がまだ?ねぇまだなの?何してんの?と声を上げる。文字起こしするとクギューーーーー。寄生虫達も叫んでいる。きも。僕はチャイムと共に即ダッシュした。
しかしダッシュしたとて自分の教室から1番近いトイレは埋まっていた。くそっ。(ダブルミーニング)絶望と痛みに顔をひしゃげながらダッシュ。
一つ下の階、主に2年生が使うトイレに駆け込むと一つトイレが空いていた。3つ個室が並んでおり、その真ん中、洋式便座のトイレが空いている。排便神、ああ排便神、排便神。と一句詠みながら安堵した。この学校はトイレットペーパーを補充しないクソ共(ダブルミーニングでは無い)しか居ないので個室に入る前にはしっかりと指差し確認を欠かしてはいけない。
よし。少ししかないけどなんとかなる。
じゃ。一発……かましますか…………!と腕をまくる。(比喩)
さて、腹痛も治まり、マスター、おあいそで。と伝票を見た。(比喩)紙がちょうど切れてしまうというハプニングが起こるものの、まあ補充してあげよう。僕は優しいんだ。ズボンを履き、僕の残滓を流そうとした瞬間、外からトイレ掃除が始まる音がした。
しくった。
——我が高校は金曜と火曜しか掃除をしない
今日トイレ掃除あるんだ。詰んだ。
自分が床をモップがけしてる時に、紙を巻く音、流す音が聞こえて、平然とした、作為的な表情を浮かべてトイレから出てくる人を、どう思うだろうか。
正解はうんこしてたんだな、である。これから先廊下ですれ違う際、あ、うんこしてた人だ。と思われること間違いない。これから長い人生、僕がその人の結婚式のスピーチをするかもしれない。でも、その人は僕に対して、うんこしてたしなあ。と思うだろう。僕が総理大臣になったら、あいつうんこしてましたよ、とタレコむに違いない。
先に言った通り僕はうんこした人だと思われたくない。なんなら排泄とかしないと思われたい。アイドルだから。僕は金輪際現れない一番星の生まれ変わりだ。流れる汗さえ綺麗なアクア。だけどこれは別だ。この状況。詰みである。
掃除してる人達が3年生ならまだ良かった。抜けてるとこさえ僕のエリアだ。ごめーーーん、うんこしてた笑笑笑笑笑笑笑(大爆笑)で終わりだ。だけど掃除してる人達は2年生。知らない人にうんこしてた人だとこれから思われる人生は嫌だ。ファーストインプレッションがうんこは嫌だ。ああ、どうしよう。
「おいお前出てくんなよ。」トイレを流す音と共に掃除している人達が笑っている。どうやら前後のトイレに入っていた2年生たちが出ようとしたらしい。確かにトイレ掃除は便座を洗うのが面倒、臭い。そうなるとずっと個室に入ってもらっていた方が嬉しい。つまり僕たち個室占拠組が掃除の終わるまで耐えればいいのだ。むしろそっちの方が掃除しなくて済むからwin-winなのだ。なんて簡単な話なんだ!前後の2人はいいじゃん、いいじゃん、と笑いながらトイレから出ていった。馬鹿め。彼らは愚かな裏切り者である。彼らの一族は粛清を受けるだろう。ばーーーーか。
僕は今日君たち掃除組が帰るまで、個室を占拠するぞ、と決めた。幸いにもスマホはあるしいくらだって暇を潰せる。せいぜい適当に床を磨いていれば良い。ふわーわ、眠たくなってきちゃったな。一眠りこいてやりますか。
「お前らちゃんとやってるかー。」間延びした中年男性の声。知らないが2年生の教師だろう。掃除を監督しに来たんだな。感心感心。僕は油断をしていた。だってトイレに篭ればいいだけのミッション。こんなの誰だってできるさ。メイドインワリオならこもれ!だ。このミッションならリズム天国でも寝落ちできる。油断しすぎて漏れそうになったが便器はある。ふわーわ、眠たくなってきちゃったな。
5分、いや10分は経ったであろうか。長い。いや正確には中年男性の指示が長い。Twitterを見ていてもつい外の声を拾ってしまう。お前そこの手洗い場のハンドソープを何回変えに行かせる気だよ。僕たち生徒をそんなに汚ねえと思ってんのかよ。僕の前後の個室掃除も終わり、モップの水も流したし、流石にそろそろ掃除も終わるだろう、と焦りを感じ始めた。何故か全員が僕の個室の前に立っている気がする。僕は用を済ませてズボンを履いているから突っ立っているものの、さっきの腹痛の時と同じような冷や汗が頬を伝った。その時。中年男性、いや悪魔はこう言った。
「よーし。じゃあ後は真ん中の個室を掃除したら終わりだからなー。」
は???????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????
それ、俺がいる個室ですが???????????????????????????????????????????????
嘘だろ、俺は今。悪魔、てめぇに俺の糞が終わる時間を何の罪もない2年生に待たせているのか????
おいおいおいおいおいおい、話が違うじゃないか。僕は掃除組を助けるためにトイレに篭っているんだ。決して掃除の邪魔をしたくはない。誰だって人がうんこした後の便座を掃除したくはないだろ。そして僕もうんこした人だと思われたくはない。win-winの関係。イソギンチャクとクマノミ。キーマカレーとナンだ。(ちゃんと想像してくれ。)
なのに、悪魔。お前のせいで僕は一転、終わらないトイレ掃除の要因となった。ゴールドエクスペリエンスレクイエムでお互いに殴りあってる???????今ここにジョルノが2人いるんですか???????助けてくれよディアボロ。お前しかいないんだよ。帝王は依然変わりなくお前だよ。カーズはもう考えるのをやめたいよ。
永遠とも思われる時間がたった。僕の中のジョルノはこう言う。
「覚悟」とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ!
僕は平然とした作為的な表情を浮かべてトイレから出た。そもそもズボンを履いているから恐ろしいほど、流す音もなく無音に。2年生と顔を合わせたくないから下を向いて出た。ただ悪魔の顔だけは舐めるように見た。お前は許さないからな。手を洗い、馬鹿みてえに補充されたハンドソープを全く使わずにトイレからそそくさと出た。ああ、やっと逃げられる。そうトイレに背中を向けた。
「うわ、あいつ流してねーよ。」
あっ。
————僕の残滓を流そうとした"""瞬間"""、外からトイレ掃除が始まる音がした。
俺!!!!トイレ流してねーーーーーっす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
なんなら紙も切らしたのに紙、補充してないっす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
えーーーーーーーっと、その、俺も悪魔だしさ。たで丸だしさ。クソ共の1人だってこと、認めるからさ。
抜けてるとこさえ彼女のエリア♡ってことで許してくんない?
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