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『ダイヤモンドの功罪』64話感想


久しぶりの最新話、効く。

   綾瀬川デッッッッッカ。
   腰の位置タッッッッッカ。

「ダイヤモンドの功罪、いつも話末から想像する展開の斜め上行くよな」
という前提の上で聞いてほしいんだけどさ。
綾瀬川が二刀流に覚醒する展開、読みてぇ〜〜〜〜!!

ピッチャーって結局は守備役だし、綾瀬川がどんなに強くても極論言えば「綾瀬川がいれば絶対負けない」止まりなんですよね。
でもバッターとしても覚醒したら「綾瀬川がいれば絶対勝てる」へと更に進化する。
その境地に至ってしまう綾瀬川が見たくて仕方がない。

U-12決勝では相手ピッチャーの死球がお陰で勝てたけど、そういう相手側のミスによるものではなく、ただただ綾瀬川の力のみによって確実に勝利できるようになってしまう綾瀬川が見たい。

映画の主題になるハリケーンや怪獣って、強ければ強いほど良いし、途中でさらなる強化イベントが入ると嬉しいじゃないですか。(諸説アリ)
あのくらい綾瀬川にも絶望的に進化してほしい。
綾瀬川はどんなに強くなってもいい。軟式でチーム作るなんて未練言ってらんないくらい徹底的に野球って競技を破壊する災害になるところが見たい。もっとデカい嵐になってほしい! 試練の中にこそ光は輝くんだよ!
そう、今週の真夜さんのように。

今週のP8〜P9にかけての真夜さんの演出かっこよかった。
「綾瀬川への視線・期待・注目」がザワーッと縦線で襲ってきて、真夜さんにも頭から首元までそれがかかっていくんだけど、「味方の方を向く」って横の動きでその縦の悪寒が振り切られる。真夜さんが自分の意思で呑まれないように立て直してる。眩しい。
その決意にに応えてくれる長近さんも良い……。こういうシーンを見ると、私は今輝く野球青春劇の光を浴びていると実感できる。

そして武流。細やかな男。
潔癖入ってるっぽいし、良いことも悪いこともよく気がつくタイプなんだろうな。
実際、嬉野の真夜に対するフォローって以前より手薄になってる印象があるのでちょっと真夜さんといるときの嬉野の描写を見直してきてみた。


  • 38話
    綾瀬川を気にする真夜にフォロー
    その後「何故気にしなくていいか」を列挙

  • 41話
    試合後に真夜と過ごしてる
    「綾瀬川じゃない方」扱いされてる真夜に微妙な顔
    (真夜に遮られたけど)言葉をかけようとしてる

  • 43話
    真夜のブルペン入ろうとしてる
    イガと練習しにいく真夜を見送る

  • 44話
    扉絵で真夜と向かい合って話している

  • 46話
    扉絵ではバスの席でマヨの隣に
    武流「真夜 あいつ偉いわ」嬉野「確かに」
    真夜と並んで歩いてる描写

  • 49話(練馬戦)
    足立フェニックスのピッチャーがどういう在り方をすべきかを語るシーンで真夜の背中が映る
    綾瀬川のパーフェクト宣言前に真夜を見ていたと誤認

  • 50話
    綾瀬川のパーフェクト宣言を受けたことを真夜に話す
    武流の「真夜の大会に〜」発言を思い出して言葉に詰まる

  • 52話
    打ち上げの焼き肉、真夜の向かいに座ってる

【11話分の空白期間】

  • 63話
    真夜の意気込みに「……… そうだな」
    真夜を囲んでマウンドにみんなで集まってるときに下の方へよそ見
    『真夜が馬鹿に見える』

  • 64話
    武流からの指摘に一貫して無言


こう列挙してみると、練馬戦以後の嬉野って、露骨に真夜さんとの絡みが減っている。あんなにまめに真夜さんと一緒にいたのに。
52話以後は63話までほぼほぼ無い。マジか。
しかも久しぶりに真夜さんとの会話描写が来たかと思えば余所見見馬真。これは確かにバレる。真夜さんは気づいてるんかな。
私はこの態度の変遷に注目して読み返してるとき、ちょっと浮気の描写見てるみたいな気まずさがありました。前回の嬉野に対していろんな人が「NTRやんけ~!」言ってるのを見たせいかな……。気まず……。

ところで50話を読み直してて気づいたんだけど、この練馬B戦の時点で既に世代にまつわる懸念の話題は出てたんだな。
嬉野も「同学年の仁見には〜」「俺らにとっては〜」って世代別の主語で話しているし。

特に今回引用(?)されてたP82(電子版6巻)の以下のシーン。

  時生「もつの?」
  嬉野(無言)
  時生「………」

私はこれまで単に時生は綾瀬川の心配をしてるって意味でとっていたけど、今回の「世代」を強調する時生を見てからかなり解釈変わった。

今の印象だと、

時生「綾瀬川は俺の代が本番のピッチャーなんだけど。なのにそんなに変化球ばっかり投げさせてるのは何?ちゃんと俺の代のときまで綾瀬川は故障しないで、もつの?」 
嬉野(無言)
時生「………」

って感じ。

綾瀬川の心配をしてるのもあるけど、それ以上に綾瀬川は俺の代のピッチャーなんだから、兄貴たちの代で壊すようなリスク取らせるの駄目だろの意味が大きいなと感じる。

この「世代」の概念をインストールした後だと嬉野も結構印象変わるんだよな。
綾瀬川の世代の本番は来年なのに「自分と一緒に綾瀬川を半年早くシニアに上げる」をかなり真剣に考えてる嬉野って、思ってた以上に更に綾瀬川の存在に浮かれポンチになってるのかもしれない。

いや、でも。
でもさ。

これは浮かれた嬉野よりもこんなこと言い出した監督が一番悪いよな!?
いくら方便でも言っていいこと悪いことがあるんじゃないか。こんな思ってもいないこと言って……嬉野をぬか喜びさせて……。
万が一にも時生や秀明が、嬉野から「監督が半年早く綾瀬川をシニアに上げるかもって言ってた」とか聞いたら絶対ヤバいのに。

綾瀬川相手には
・辞めるってのはわかったけどみんなには内緒ね。みんなのためにもね。
・球数制限とかは全部真夜のためだよ
嬉野相手には
・綾瀬川は半年早くシニアに上げちゃおっかな~?
で、監督って二枚舌外交リスペクト?

でも仁見をあっけなくリリースしたし、監督はそもそも綾瀬川を辞めさせる気はさらさら無いんじゃないかな。
本気で綾瀬川もいなくなると思ってるなら、仁見にも
「詳しくは言えないけど、しばらく待ってほしいなぁ……」
とか得意の方便を使うだろうし。
それをしなかったってことは、綾瀬川キープはほぼ確定の路線で考えているのでは? 知らんけど。あのおじさんの考えてることはなんもわからん。

まあもう監督については置いておいて。

今まで一度も画面上に顔の映らなかった仁見が、退団を決めてからようやく顔が見えるようになったのは、「俺がいないみたいにされる」の再現だったんだろうか。
スカウトたちは気にしてなくても、読者(一人称)はずっと名前とポジションしか出てこない仁見くんのこと気にしてたよ。まさかこんな衝撃の出方するとは思ってなかったけど……。

何回読み直しても、仁見くんが何度も自分の弱さについて謝罪とともに言及した上に「ごめん オレだけ……」なんて言うのが悲しい。仁見の中ではこの退団はオレは真夜さんを残して逃げたって意味になってるのかもしれないね。そんなことないよ……。
いや、そんなことあるかもだけど。だとしても仁見は悪くないよ。
悪いのは綾瀬川がいる足立区周辺に生まれてきたって運だけだよ。

ところでさらっと流されたけど「いや別にこの場面でのキャッチボールくらいは失礼じゃなくね?」と思ってるのはそのままな綾瀬川には、何気ないけどかなり引っかかったな。
おまカス2ndな事態の火種になりかねないのを感じる。楽しみです。私はダイヤモンドの功罪の輝きも闇も大好きなので。

最近は休載が続いていたので、来週分も更新が確約されているのが心底ありがたい1週間だった。
とはいえ、そろそろ単行本の発売が近いのでまた単行本作業用の休載が来てもおかしくはない時期なんだよな。
前回は発売月の1日に書影がヤンジャン公式で公開されていたし、そろそろ7巻表紙画像も出てくる頃だろう。
表紙は誰だろう? 嬉野か、奈津緒か、もしくは4巻みたいな集合系で足立フェニックスの人たちのカラー出たりしないかな。

ダイヤモンドの功罪の連載が始めてから心の潤いが多くて本当に嬉しい。ありがとうダイヤモンドの功罪。
また来週も楽しみだ……。
記事冒頭から綾瀬川次郎二刀流の夢を見ておいてなんだけど、実際次回でその展開来る確率は3%ないくらいだと思ってるので、この状況をどう打開してくれるか本当に何もわからない。
そんな軌道の読めない綾瀬川の大暴れと苦悩を糧に私は生きている。ダイヤモンドの功罪読んでるときの「この先の展開の想像・妄想」ってね、綾瀬川に裏切られるためにやるものなんですよ。


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