見出し画像

応援の形:ファンアート

 私の推し活を語る上で決して外すことができないのがファンアートです。
 まずは、ファンアートという応援の形について残していこうと思います。


ファンアートとは

 まず、大前提としてファンアートとは何か、というお話ですが、読んで字のごとく「ファンが制作した、推しに関連する創作物」です。
 昨今ではクリエイター有利なサービスの普及もあって、自身で創作物を製作することができないファンの場合は好きなクリエイターに「○○さんのファンアートをリクエストします」といったこともできるようになりました。
 私はファンアートの中では「イラスト」「漫画」「小説」の三部門を中心に推しの応援をしています。

ファンアート:イラスト

 「はじめに」の記事でも触れた通り、私がVTuberを知るに至ったきっかけはファンアートでした。
 イラストは最もメジャーなファンアートのひとつです。VTuberさんごとに自身のファンアートをエゴサしやすいように専用のファンアートタグが設定されており、推しに届いてほしいと思うファンはこのハッシュタグを付けてSNS上に投稿します。

 最近では「タグを付けて投稿してもらったイラストについては活動で使用させていただくことがあります」という但し書きをつけるVTuberさんも多く見受けられます。
 このような要素や、あるいはそもそも「推しに見られなくない」等の理由でタグを付けずに投稿するファンの方も勿論います。
 ただし、エゴサ力が高い推しだとタグをつけていなくても名前を出していなくても見つけていいねを飛ばしてくることがあります。すごいよね、推し。オタクの方を見ないでくれ。

 VTuber文化が徐々に広まりを見せてきたことにより、本職のイラストレーターさんによる投稿も増えつつあります。
 それについても後程触れていければと思います。

直近2025年1月2日に投稿した因幡はねるさんのお正月ファンアート

ファンアート:漫画

 VTuberの映像活動が主に「動画主流型」「配信主流型」に大別されることにより、主に「配信主流型」のVTuberさんの活動を追えなくなる、という事態が発生するようになりました。
 それもそのはず、リアルタイムでコメントを拾いながら雑談なりゲームなりコラボなりをアベレージ2~3時間(人によっては5時間前後に達することもざら)供給される事態が毎日続くわけです。
 この界隈はいわゆる「切り抜き師」と呼ばれる方々が配信アーカイブのハイライトを切り抜いて動画編集してくれることがあるのですが、こういった「追いたいけれど追えない同志のためのダイジェスト」として、私は2~3枚程度の漫画ファンアートも描くようになりました。

 個人的には漫画ファンアートは好評だったように思います。
 身も蓋もない言い方をしてしまえば数字が伸びました。それを横においても、普段よりもファンアートに対してリプライを頂けることが多く、結果としてその配信や推しについて他の方と推し語りをするきっかけになりました。
 漫画ファンアートをきっかけにその配信だけ見に行こう、といったことも起きたので、私個人は結構意図的に、「この配信を見てほしい」という時の援護射撃として描いていました。

 他にも、SNS上での推し同士のリプライ合戦を漫画にしたこともあります。
 配信/動画以上にSNS上の出来事は水物なので、こちらも色んな方に喜んでもらえたという印象が強いです。

2pの台詞を抜いてクソコラグランプリとかもしました

ファンアート:小説

 小説?となる方もいらっしゃるかもしれませんが、小説も書いていました。というより、またお話のタネが降ってきたら多分書きます。
 これは配信アーカイブや動画をそのまま台詞出しするというよりも、完全に一からストーリーラインを練って、いわゆる二次創作として制作されるものが多い印象です。

 ただし、ストーリーラインを練るということはどうしてもそのファンの主観が入ってしまうため、厳しい言い方をすれば「推しはこういう人柄である/こういう趣味嗜好である/この人との関係性は○○である」という、扱いに注意の必要な要素を含むことになります。
 これは他の界隈でもよく言われる「ナマモノ(創作対象が実在の人間で、感情があり、それを本人が目にする可能性がある)」に該当します。

 そのため、私は関係性オタクということもあり小説も結構な数を書いてはいるのですが、ほぼ全部pixivに突っ込んでいるというのが現状です。
 ありがとうpixiv。

 あとはほぼ全部のファンアートタグを網羅して用意してくれている推しがいて、そこではファンアートタグを付けて小説を投稿していました。

ファンアート:様々

 他にも、私が認識しているファンアートとしては「コスプレ」「概念の作成」「MMD」などがあります。
 「概念の作成」と表現すると「何??」となるかもしれませんが、要するに推しのテーマカラーやモチーフを取り入れたアクセサリーなどの物品を製作することを指します。
 たまに流れてくる概念ピアスとかお洒落過ぎて普通に欲しいもん。オタクってすごいよな。

 コスプレについては、コスプレイヤーさん自身が画像として出てくることもあり、ふんわりとした棲み分け文化があるように感じます。
 三次元の二次創作を見たくないファンに向けて、ワンクッション置いて投稿しているコスプレイヤーさんもお見かけします。もちろんコスプレタグが設定されていたり、推しが「コスプレもして~!見せて!」と言っている場合はそのまま投稿しているコスプレイヤーさんもいます。
 私個人としては、あまりにも自己顕示欲が強いと遠慮したくはなるものの、基本的には「これを完成させるための努力と労力すごいな……」と純粋に尊敬の念があります。
 推しはバーチャル性を担保して欲しいけど、ファンまでバーチャル性を保たなくてはいけない、とは思わないので。
 自由に推して行こうな。

 MMDについては友人が何人か手掛けているので触れたいのは山々なのですが、何しろマジで門外漢なので下手なことを言って誤解を与えないように記載を控えます。
 ただ、このファンメイドの3DモデルのMMD文化があったからこそ起きたであろう出来事もあると思うので、いずれどこかでお話しできればなと思います。

ファンアートを始める

 だからといって、そんなにすんなりファンアートを描き始めたわけではありませんでした。

デジタル画への再挑戦

 SNSに投稿するならやっぱりデジタル画!と思ったものの、実は私は2014年にペンタブを購入した際に一度、デジタル画を挫折した人間でした。
 とにかく線が描けない!大変!そして「レイヤー効果って何!?」の連続でした。
 どうにか完成させて投稿したファンアート第一号は、東雲めぐさんのファンアートでした。

2019年10月15日投稿の東雲めぐさんのファンアート

 イラストを描く方向けに恥を忍んで言いますが、私は当時必死にググった末に「影はオーバーレイで付ければいいのか……?」と思ってオーバーレイを多用していました。
 影は乗算でくすんだ薄めの色を使う、グラデーションマップを使うなどして彩度の高さを調整する術を覚えるまでは、キンッキンの色のファンアートをお送りしていました。
 おまけに1枚描き上げるのにトータル8時間はかかっていました。
 今は単体腰上1枚絵なら3時間前後で描けるようになりましたが、ここまで手と目が慣れて知識が増えるまでは相当四苦八苦していました。

モチベーション

 そんなファンアートでしたが、私の場合はとにかく推しが喜んでくれることが最大のモチベーションでした。
 私は、推し活は個々人で行うものだと考えています。ファンアートも、ハッシュタグの賑やかしになって「おっ、このVTuberって人気なのかな?活発なのかな?」と思ってもらえればいいと思っています。
 なので、投稿した時点で第一目標が達成できており、次に推しがいいねなりRTなりリプライなり(!?)してくれれば、プレゼントして良かったと思えました。
 他のファンが気軽に楽しめるのもファンアートの良さだなと思っていました。

 そんなこんなで、推しによってはファンアートナンバリングがもう60とか70を超えるようになりました。
 実感がないくらいたくさん描いてきたな……。

難しかったところ

 推しに喜んでもらえるといいな、が原動力だったため、ここが弱くなってしまうと描き続けるのがしんどいな……となることも実際ありました。

 まず、大抵の推しは規模が小さいうちは「少しでもファンを取りこぼしたくない」と懸命に全部いいね、RT、感想リプライを頑張ってくれました。
 推しによってはわざわざ配信枠を設けてファンアートの紹介までやっていた。これ、一ファン視点だと諸刃の剣なんです。
 VTuber文化は推しとファンの距離感が非常に近く錯覚されやすい特徴があります。その結果、昔は推しがあんなに構ってくれたのに今や何にも反応が来ない、なんてことも結構起こります。
 私の場合は推しているVTuberさんが20~30人いることもあり、私視点で「喜んでもらえてるのかな?」と感じるVTuberさんのファンアートを描く機会は自然と減りました。

 推しには無理しないでほしいので、「いいねは全部するけど後は自分でやるか決める」「徹底していいねRT全部し続ける」など、とにかく無理のないラインを決めてほしいな……と今でも思っています。
 ぶっちゃけてしまうと推しにはオタクを構う義務はないので、とにかく無理なくファンアートを喜んで受け取れるペースを設定してもらえると、応援もしやすいです。

 次に、活動でのファンアートの使用です。
 喜んでいる方も多いし、私自身も過去に何度か配信のサムネイルにファンアートを採用していただいたことがありました。サムネイルといえば配信を見るかどうかを決める看板部分なので、そこへの採用はシンプルに自信にも繋がりました。
 個人的に「あれ…?」と思ったのは、クレジットを記載しないVTuberさんがまあまあいるという点でした。

 ファンアートは無料素材ではありません。本来であれば有償で発注して用意する部分を、ファンからの好意ということで使用している、言ってしまえば「推しの使用のみ黙認している」文化だと思っています。
 YouTubeの仕様で言えば右下の部分はアーカイブ時間の表示で潰れるので、そこにのみクレジットを入れるVTuberさんも「おいおい!」という印象でした。
 何があっても概要欄の記載は忘れずにしような、推し。別にリンク貼らなくていいからせめて「(名前)(SNSのID)」くらいは。

 最後に、本職のイラストレーターさんがファンアートを描く機会が増えたことです。誰かを意図して責めるものではないのでまず読んで頂けると嬉しいです。
 これは私がファンアートを描く第一動機の「ハッシュタグの賑やかし」に関連するものなのですが、本職のイラストレーターさんが参戦するくらいハッシュタグが賑わってるならもうええやろ、と、ある種「推し……大きくなったな……」に近い心理に陥りました。
 あと正直、野良の絵描きが本職のイラストレーターさんと同じハッシュタグで並ぶのは肩身が狭い。上手くないなりに頑張って長年描いてきた結果肩身が狭いのはそこそこ辛かったりする。6年って重いよな……。

 かと言ってじゃあ「本職のイラストレーターさんは参戦しないでよ!」という話では全くありません。むしろ参戦してくれ。お願いします。
 何故なら推しの中には「ファンアートをきっかけにその人を知って、お仕事をお願いしたいと思い打診する」ケースがままあるからです。
 ファンとしては推しの活動が広く豊かになっていくことが何よりも最優先事項なので、色んな人が推しを知ってくれて、さらには推しの仕事が輝くお手伝いをしてくれるなんてすごく心強いです。
 俺は俺でそっちの部屋で筋トレ頑張るぜ!

予想外だったところ

 一番予想外だったのは、色んな形で「自分は推しの認知度に貢献できていたんだ」と知れたことでした。

 私はMonsteerZ MATEのコーサカさんと朝ノ姉妹ぷろじぇくとの朝ノ瑠璃さんの関係性オタク(ただし友達以上恋人未満の一番美味しいところを良しとするてぇてぇ警察)で、制作した同人誌ページの総数が600pにも及ぶのですが、他のVTuberさんのファンの方に事あるごとに「コー瑠璃の人ですよね?」と聞かれるようになりました。
 これが実際にMZMおよび朝ノ姉妹ぷろじぇくとの認知度にどれだけ貢献したかは謎ですが、少なくとも私のファンアートを機に「何かこういう人たちがいて何かこういうことが起きているらしい」と知ってもらえたのは事実だと思います。

 また、他にも色んなVTuberさんの関係性オタクをしているので(?)、その縁もあって合同誌のお誘いを頂いたこともありました。
 「詩歌さんの描く○○×○○イラストが見たい」というのは私が誰をどのように推しているかが分からないと出てこない希望だと思いますし、それがある時点で私のファンアートを見てもらえている=推しを見てもらえているということなので、これも貢献になってるといいなと思います。

 ありがたいことに、SNSのリスト機能で「推しのファンアートを描いてくれた絵師」としてリストに入れていただいたこともあります。
 ファンアートが元々推しへのプレゼント、ファンレター的な意味合いを持つものだった時代から、今や色んな意味合いを持つ媒介物にまで発展して、色んな効果を生んでいるんじゃないかなと思ったりもします。

さいごに

 少しのお願いとまとめでこの記事を閉じようと思います。

お願い

 ファンアートを描いている人間も、ただの推しのファンでありオタクです。つまり、推しと違ってタレントではありません。
 過剰に馴れ馴れしいリプライを頂いたり、読むに堪えない引用RTをされたりすることがそこそこあります。あなたと同じただのオタクです。静かに推し活させてください。

 感想はあってもなくてもいいです。何度も書いている通り、推しにプレゼント(投稿)した時点で終わっているので、色んな方が慌ただしい日常の中で楽しんでくださるなら何よりだと思っています。
 もちろん、「○○な○○ちゃん可愛いですね!」と感想を頂いたりした時は、描いてよかったな、嬉しいなと思って大事に貰っています。

 そして、これはVTuberさん向けのお願いですが、活動で使用しやすいファンアートを描くよう求めないでください。
 ファンは僅かな余暇で、応援の気持ちで描いています。結果としてサムネイルにしやすいファンアートだった、ならまだしも「○○で使う○○なイラストとか誰か描いてくれないかな~」と大声で言うのは筋違いだと思います。
 ちゃんと発注かけて金払って用意してくれ。それが仕事だ。

まとめ

 書いてみると、ファンアートひとつでこんなに色々考えたり体験したりしていたんだなとびっくりしています。文字数が6000字を超えている。なんで?

 もしもこれからVTuber文化に触れて、さーてファンアートでもやってみるかと思う方がいれば、ぜひ「ファンアートは自分と推しの一対一での贈り物なんだ」と、楽しんで推し活ができるといいなと思います。
 正直私も気になります。いいねの数とかRTの数とか。しゃーない。目に見えるんだもの。「量」って見えるから厄介。
 でも、私はその分、見てくださる一人ひとりがかなり熱心に見てくださっているということも知っています。頻繁にいいね等リアクションをくれる方の名前とかアイコン、割と把握しています。
 だから、ファンアートでもやってみようかというあなたの推し活の「質」が良いものになっていくよう願って、備忘録を残します。

 ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!