G20大阪以降も加速していく インパクト投資を巡るグローバルな動き
■ シリーズ: ESGの一歩先へ 社会的インパクト投資の現場から ■
さまざまな国際問題が議論され、その行方が注目されたG20サミット。6月29日の首脳宣言(日本語仮訳)では革新的資金の言及があり、第3セッションのスピーチで安倍総理は「地球規模課題の解決に必要な資金確保のため、社会的インパクト投資や、休眠預金を含む多様で革新的な資金調達の在り方を検討し、国際的議論の先頭に立つ考えです」とインパクト投資を推進する決意を表明しました。
昨年11月にアルゼンチンで開催されたG20では、共同宣言に初めてインパクト投資の推進が盛り込まれ、世界を動かす大きな原動力となったのは記憶に新しいところ。今年1月にGSGは、G20開発作業部会(DWG)およびその他のG20代表と話し合うハイレベル対話を東京で開催しました。
インパクト投資を推進する立場として今年は、大阪のG20以降も注視すべき外交日程が目白押しです。次に大きなトピックとなるのが8月に開催される主要国首脳会議、G7ビアリッツ・サミット。議長国であるフランス・マクロン大統領の最近の発言に注目が集まっています。
もともと環境問題などへの取り組みに熱心なマクロン大統領。6月にジュ ネーブで開催された国際労働機関(ILO)年次総会の演説では、世界は「深刻な危機」局面にあり、格差拡大や気候変動から生まれる社会問題を対処する取り組みが必要だと呼びかけました。その中でインパクト投資について触れ、G7における社会・環境インパクトのための基金創設を訴えたと仏ル・モンド紙が報道しています。
さらに追い風となるイベントが9月にニューヨークの国連本部で開催されるSDGサミット。ここでは各国の首脳がSDGsについて議論し、2030アジェンダへのコミットメントをさらに深めていくことが予想されています。このSDGサミットに照準を合わせ、グローバルなステークホルダーの動きも加速していくでしょう。当財団も9月初旬には政府および国内金融関係者などを招き、「SDGs × イノバティブファイナンス」をテーマにしたイベントの開催を予定しています。
振り返ってみると、インパクト投資に大きな追い風が吹いたのは2013年のG8サミット。イギリスのキャメロン首相呼びかけのもと、社会的インパクト投資タスクフォース(現GSG)が設立され、日本でもGSG国内諮問委員会が立ち上がりました。これが日本と海外、そして国内の金融機関や企業、財団の連携を深め、日本でのインパクト投資の認知を高めることにつながっています。ここ数年で日本でも大手金融機関や機関投資家など民間のプレーヤーがインパクト投資市場に参入し、現在の盛り上がりを生んだことはご存知の通りです。国際会議の場でインパクト投資の重要性が織り込まれたことが、国内での活動に弾みをつけてくれました。
政策的な取り組みの中でもう一つ注目しているのが今年1月、日本政府が「開発のための革新的な資金調達に関するリーディンググループ」(LG) の議長国に就任し、河野太郎外務大臣が議長に就任したこと。2006年に発足した同グループは「開発のための革新的資金調達メカニズムの台頭と推進プロジェクトの普及に貢献すること」を使命の一つにしています。国際連帯税やブレンディッド・ファイナンス、インパクト投資についてのさまざまな課題が議論され、成果を生み出してくれることを大いに期待しています。
まずはG7でマクロン大統領がどのような呼びかけをするのか、議長国としていかにリーダーシップを発揮するのかに注視しつつ、インパクト投資を推進するさまざまな団体との連携を強めていきたいと思います。
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