映画感想:ターミネーター:ニュー・フェイト(ネタバレ有り)
レンタルにて、ようやく鑑賞。劇場で観たかったのは観たかったのだが、僕のような地元に映画施設のないクソ田舎民は、車で一時間ほどかけて都会に出向かねばならない為、他の映画を観るために機会を逃したことを覚えている。確かブライトバーンだったような。
ともかく、僕はそこまでこのシリーズに熱狂的ではない。好きなのは好きなのだが、子供の頃にテレビで放映されていたT2を、シュワちゃんが出ている面白いアクション映画のひとつ程度にしか認識していなかった。T3もテレビで観たが、T2ほどではないもののそこまで駄作とは感じなかった。
T4の頃には要らない知恵をつけだした頃だった為、シリーズを通しての評判は薄く知っていたが、それでも僕はテンションを上げながら楽しんだ記憶がある。サム。ワーシントンがかっこよかったし。全身機械の罪を犯した男が、唯一残った生身の部分である心臓を、人類の救世主のために贖罪として差し出すなんてかっこいいじゃない。
ジェニシスに関しては、特にいう事はない。
前置きが長くなった。それで、このニュー・フェイトなのだが、面白くないことはないけど、特筆するべき点もないような・・。そんな映画だった。
T2の正当な続編云々に関しては、そんなに気になっていない。ジェニシスを経験した時点で、タイムラインどうこうは考えないことにしているからだ。しかし、純粋にターミネーターとしての面白さだけで判断するならば、ニュー・フェイトはアクションは良いけど、キャラの細かい所やジョン・コナーの扱いが気になって、諸手を挙げて喜べないのだ。
冒頭から、あっさりと少年ジョン・コナーは死んでしまうのだが、これは英断というよりも失敗だったのではないだろうか?
確かにT2のその後を描くのは蛇足感が否めない。だが、安っぽいユーモアはともかく、T3はちゃんと真っ向からそれに向き合っていた。
華のないボンクラ犯罪者と化してしまったジョンを描いただけでも、T3は偉かったのだ。
しかし、ニュー・フェイトでは、スカイネットではなく、リージョンという存在によって未来が荒廃してしまった。それにより、物語のお荷物だと言わんばかりに、ジョン・コナーは消されてしまった。
わざわざリンダ・ハミルトンを呼んできてまで、T2の正当な続編と謳うのならば、やはりエドワード・ファーロングもセットでよぶべきだったのではないだろうか?
いや、大変なのは分かるし、本人もT2によって人生が変わってしまったので、苦いところもあるんだろうが、こんなにもあっさりとジョン・コナーが無かったことにされてしまうのは、あんまりだ。ヒネててもいいから、ボンクラデブでもいいから、ジョン・コナーを描くべきだったのでは。
それに変わる新キャラ、グレースはとても良かった。佇まいがアクション映えするし、実際にアクションもかっこよかったし。
ただ、強化人間としてのデティールはスタミナ問題や注射をしなきゃいけないというくらいで、あんまり魅力的じゃない。もう少し、腕ごと改造してあるとか(それこそ1の腕メンテナンスシーンみたいな)、眼が光るとか(視界がモニタみたいになってたし)、そういう場面を入れれば、もっと良かったのに。ハエを真っ二つにするくらいで、強化人間として納得させられないんじゃ・・。
ダニーに関しては、結局守られる存在として以上の活躍はしないし、あんまり未来の救世主としての説得力がなかったように思える。サラ・コナーが当初は普通の女性だったのは、我が子が未来の救世主となるからであったので、普通の人でも良かったが、あのちょっと勝気なだけのダニーがどうして未来の救世主になったのかが、あまり想像できないのだ。
ポリコレ要素と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、それならT2のサラ・コナーのような強くて頼れるキャラクターにした方が良かったのではないか。かつての強い女サラ・コナーが、次世代のサラ・コナーにバトンを渡せるという構図にもなるし。
シュワちゃんのカールに関しては、どうしても納得できない。心のある人間になろうとした機械、というキャラクターは凄く好きだけど、ジョンを抹殺した後にやることがなかったからって、人助けするものだろうか?
冒頭でジョンを殺したカールは、かつてのT1版のような冷酷な殺人マシーンなのだろう?血の通ってないような冷酷な機械が、果たして任務遂行後にその辺をウロウロして、あまつさえも困っている人を助けようとするものだろうか。それこそ、T2版やT3版のように自身の存在を消そうとするのではないだろうか。
その合わせ鏡とでもいうべき、ガブリエル・ルナ演じる新ターミネーター、REV-9は、冷酷なのは冷酷だけど、結局T-1000には並ばないキャラクターだったような気がする。
登場時、ウェットに富んだ会話をして、ああ、今回はこういうフランクな奴なんだ、と分かるのだが、結局無表情で冷酷、というだけで、T-1000のチッチッチ指やT-Ⅹの豊胸、血ペロペロ判別のような、キャラ立ちするような動作がなかった。
黒ずんだ液体金属と骸骨ボディに別れるというのはかっこよかったし、取り囲まれた時にミス・ダブルフィンガーみたいに身体からトゲを生やしてサクサク殺すシーンは、黒い液体としてヴェノムに見習ってほしいくらい良かったのだが、個性がどうしても歴代悪のターミネーターに劣るというか。
ふたりでひとつの存在というのなら、片方がもう片方を気遣うとか、そういう所作があれば、もっと良かったような気がする。
ストーリーに関しては、まとまってはいたけれど、上記のように気になるところが多くて、あまり乗れなかったのは否めない。
それと、観る前に、新ターミネーターのガブリエル・ルナがメキシコ系だったり、密入国っぽいシーンがあったので、政治的な要素を匂わせるのかなと思っていたら、そこまで重要に絡んでくるわけでもないし。(機械に仕事が奪われるという要素も、伏線かと思ったらそうでもなかった)
まあでもジェニシスよりはちゃんとしていたと思う。アクション映画としてはちゃんとしていたし。マッケンジー・デイヴィスの鎖アクションがかっこよかったし。
好きな順に並べるなら、2>4>1>ニュー・フェイト>3>ジェニシスかなあ。
続編は今のところ企画されていないようだが、もし作るのならば、ⅩーMEN F&Pのような、今までのシリーズを総決算するようなものにするしかないのではないだろうか。
しかし、そもそもシリーズ化には向いていないし・・。やはり、リブートするしかないのだろうか。