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邂逅


4年前のクリスマスイブの日、真夜中に新宿にいた私は人混みに疲れ帰ろうとタクシーを探していた。当然止まる訳もなく30分程止まらないタクシーを眺めていた。

カップルが多い。当然だ。クリスマスイブにカップルがタクシーに乗らない訳がない。深夜1時頃だ。ディナーをしてホテルへ向かうんだろう。一人ぼっちになった気分で心細かった。東京にきて1年程経っただろうか。新宿の歌舞伎町あたりでタクシーを探している自分は何にも満たされていなくて。

少し先に女の人が1人でタクシーを待っていた。
私は何を思ったのか話しかけてみた。「お姉さん1人ですか?タクシー全然こないですね」なんて。女の人はびっくりした様子だったがすぐに答えてくれて、私も嬉しくなり次タクシー来たら一緒に乗りません?なんて誘っていた。どうして話しかけられたのか分からないが若さと直感。そして好奇心。


その女の人とは、今でも仲のいい友達で。お姉ちゃんのような、姉貴のような、東京に出てきてそんな存在の人がいなかった私にとっては本当の姉ができたと思うくらいとても慕っている。

まさかの私が働く服屋の一つビル先の美容師さんで美容師としても人としてもなんだかマインドが同じな気がして心地がいい。まさに邂逅。私にとっては刺激的な存在だ。いつもありがとうの気持ち。


2023年に入り、私は古着屋で働き始めた。

1人の女の子に出逢った。
彼女が1人で立っていた事は知っていた。彼女の纒う空気感というのは誰にも真似ができない、冷たいアイスのようだが舌の中に入れればすぐに溶ける。サッパリした味かと思えば中にミルクが入っているあのアイスのよう。食べて食べてと自己主張せずじーっとアイスコーナーから見つめられている、そんな感じ。


彼女に出逢ったこと、そして彼女の存在はこれから先の自分にとって安らぎ、刺激、心がワクワクするような存在になるだろうと確信している。

嫌な顔せず仕事する彼女、八方美人とはまた違った雰囲気で知れば知るほど面白い。まだ出逢って4ヶ月ほどなのにずっと前から知っているような気もする。ずっと仲の良かった友達のような、そんな感じ。
私は時々彼女に甘えている時がある。彼女は私より歳下なのにとてもしっかりしていて。

note、読んでます。
しほさんの書く文が好きなんです。と言われた日、ありがとうなんて答えたけど実は内心嬉しかった。と同時に、私は何となく彼女は読んでくれていると思っていた。なんでだろうか、彼女は人に言葉を伝えるときにきっと相手がどう思うのか考えて考えて伝えてくれるのは感じていて。直感ではあったが心で通じ合える人だなと感じていた。私自身、そんな優しい彼女の一面に惹かれていて。

私はいつか彼女の事を書きたいと思っていたんだと伝えると照れた顔で謙遜していた。彼女は本当に面白い。忖度が無く、人が嫌がることも自分が損する事も進んでやってのける。神様がいるのなら、どうか彼女にありったけの幸せを与えてください。

先日箱根に向かう電車の中に母、幼い子供2人と祖母の4人家族が目の前に座っていてお母さんの表情や子供の接し方を見て彼女と重なった。それと同時に彼女がいつか家庭を持ち子供ができた時、子供はとても幸せな人生を歩むのだろうなと強く思った。

いつだって、感情的にならない彼女。
私とは真逆な性格でおっとりしていて受け身。きっといつか詐欺に合いそうなくらい人を信用しているように見えたがだんだん知っていくと意外と芯があって頑固のように見える。だがまだ彼女の新しい一面がきっとこれからも知れると思うと楽しみで仕方がない。顔を見て話し、パワーが貰える人はそうそういない。彼女はどんな風に育てられ、何にインスピレーションを受けてきたのだろうととても興味深く思う。
初めは警戒心丸出しで、探り探りだったのが今思うと彼女が無碍に人のテリトリーに入らないよう心地の良いバランスで接してきてくれていたんだろうと思うと愛おしく感じる。私はガサツに入り込んでくる人が苦手だ。きっとそれが彼女にもあるのだろうと思う。だが入国を許可さえすれば何してもいいという謎の境界線が私にはある。彼女はそれすらもきっとわかっている。

それが本当に心地いい。
休みの日も会いたくなるのは、何故だろう。20:00になると彼女の事を考えている日がある。私は相当彼女が好きだろう。

彼女はもう私の中では生活の一部で。無くなることはない。


彼女にとって私もそうであって欲しいなと、密かに想いながら今日も息をしてnoteを書いている。とても気持ちのいい時間で。


明日もあの笑顔が見れるのかと思うと毎日がholidayだ。


実は昨日note書いたんだ、と私は言えずきっと読んでくれるだろうと期待している。きっと明日、読みましたよって笑顔で言ってくるんだろう。何だか恥ずかしさもあるが楽しみでもある。


彼女達との出会いは、今もこれからもこの何十年先も私にとっての喜びで大切で満たされる存在で。

運命的な出会いをし、出会うべくして出逢ったのだと。
出会いとは偶然のようで必然的で。人である以上人を感じ生きていきたいと。当たり前ではない目の前の誰かに、自分が見ている感じている事を肌で感じて生きたいと強く願う。


虚像ではなく、自分自身を曝け出せる。
胸に響く何かを。直感を信じて。


誰かの幸せを願う事がいかに幸福なのかを。
今日も感じ、朝日を浴びて1日の始まりを噛み締めて。
ワクワクしたっていい、どん底に落ちる日があってもいい。
ただ、思い浮かんだあの子が今日笑ってればそれだけで幸せで。きっと笑ってると思うと自然と笑顔になれるから。


2023.4.7
「邂逅」

彼女たちへのメッセージ

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