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唐突だが私にはあまり欲がない。
3大欲求は人並みだと思うが満足さえできればそれでいいくらいだ。最近は睡眠が大事。眠くて眠くてたまらない。

特に食に対してあまり欲がなかった。

幼い頃から偏食で毎日スガキヤのラーメンしか食べなかったと聞いた。水分はコーヒー牛乳。高校生の頃は食というものに興味がなくご飯を食べるということが時間の無駄と思っていた。食べられないものが多く、いわゆる食わず嫌い

毎日夜ご飯は鍋。朝も決まったものを食べる。
そんな生活をしていた。

3年前、彼は驚いていた。
初めて家に来て冷蔵庫にコーヒー牛乳しかない事に。
毎朝同じものを食べ、必ずカフェラテを飲み、夜もほぼ同じ。コンビニの同じものか惣菜か。しかもセブンならこれ、ファミマならこれ、っていうのが決まってて売ってなければ違うセブンまで行って同じもの買ったり。ルーティンのようにそれの繰り返しだった。

嫌いなものある?と聞かれる事が苦手だった。
男性に食事に誘われ、何が食べたい?と聞かれるのも。
食べたいものなんてないんだから。嫌いなものはありすぎる。ありすぎるから子供だと思われるから恥ずかしくて。

彼に嫌いな食べ物あるの?と聞かれた時があった。

パスタラーメン蕎麦刺身魚鶏肉アボカド野菜グリーンピースあとなんだろう、今思うとあまり思い出せないが止まらない私に彼はびっくりした顔と子供のようという感じの顔をしていた気がする。

それから彼は私の食に対する興味を光らせるべく色々なお店に連れて行ってくれた。

デートといえば、な代官山。
代官山でピザやパスタやら頼み、食べてみなと彼はピザを切りながらパスタに目をやった。

デートというのもあいまってか、美味しかった。今じゃもう大好き。


次のデートに江ノ島へ。
正直江ノ島行くとしたら食べれるのもないじゃんと思いながら海見れるしいっかくらいの気持ちで行った気がする。
何かを見て感じることも今より全くなかった。海や人を見ても暑いなとしか思わなかった。感受性失いすぎている。

彼は、マグロつきの生シラス丼を頼んでいて私もせっかく来たし食べてみようかなとぼそっと言うと彼の顔がぱあっと明るくなり食べてみなよ!と言われなんだか単純だけどそれだけでもう美味しく思えて来て久しぶりに生魚を食べ、驚き。美味しくて美味しくて、克服できた。これで刺身食べれないのは人生半分損してるよとか言われなくて済む。江ノ島に感謝、彼に感謝、そして魚ちゃんたち、ありがとう。

そんなこんなで、日々食べれるものを増やしていき今ではそれ食べれないの?と驚かれる事はなくなった。


あれしたいここ行きたいとかあれ食べたいとかの欲は今もあまりなく、でも誰とという面で言うなら思い浮かぶ。
彼と同じ空間を過ごしたい、友達とあの場所へ行きたいとか。物に欲はないけれど、人に欲を出しているのかもしれない。

色々な欲があると思う。
欲情、愛欲、意欲、物欲、睡眠欲、食欲
沢山あっていいと思う。自分の限度の中で。
欲はありすぎても良くない。
人間、満たされれば満たされるほど理想を追い求める生き物だから。

自分を見失ってしまう。大切な人も。
自分が自分でいられるほどの欲があればそれでいい。

結構BASIの本当に足りないものなんて実はそんなないんじゃない?僕はこれだけで充分なのにそれだけじゃダメですか。周りと持ち物比べて色々と欲しくなって。人の目がそうさせるのか、これだけで充分なのに。の歌詞、響くんだよな。昔から我儘を言うことをやめた私は何も欲しがらなくなった。昔は欲があった方がいいと思っていたが今私は日常的に満たされていて。欲はある程度でいいから。


本当に足りないものなんて、実はそんなないんじゃない?

自分の欲より相手の欲を優先させることが愛だよ。と彼は言った。

彼の腕の中で欲をWin Win にさせた。


愛おしい



2023.4

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