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モンスターハンターひろゆき〜一撃で首を刎ね飛ばすヴォーパルバニー狩り――防刃マフラーを巻き、シチューを狙う“おいら”の奮闘記

1. 不穏な依頼と“首はねウサギ”の噂
王都でしばらくのんびり過ごしていた僕のもとへ、ある日奇妙な依頼がやってきた。
「ヴォーパルバニーという凶暴なウサギを討伐してほしい」というものだ。
普通のウサギなら可愛らしいだけかもしれないのに、こいつは一撃で人間の首を刎ね飛ばすという恐ろしい怪物らしい。しかも妙に肉質が良く、シチューにすると絶品だという噂まである。

「うーん、僕、首を飛ばされるのは嫌だけど、ウサギ肉のシチューってちょっと興味ありますね。
せっかくだしやってみましょうか。報酬も悪くないし、お腹も満たせるなら一石二鳥ってことで。」
そんなわけで、僕は意外なモチベーション(=ウサギ肉のシチュー)に駆られ、ヴォーパルバニーの狩りを引き受けることにした。

2. 首はね対策──防刃マフラーを求めて
相手が“首はね”を得意とするなら、僕としても首周りの防御は万全にしておきたい。
そこで王都の武具屋を訪ね、職人に相談してみた。すると彼は、鎖帷子より軽量で、かつ高い防刃性能を持つ「防刃マフラー」を勧めてきた。

「へえ、見た目はオシャレなただの布切れっぽいけど、中にドラゴンの筋や金属糸が織り込まれてるんですね。これなら一撃で首を狙われても、多少は耐えられるんじゃないですか?
……ま、実際に防げるかどうかは試してみないと分かりませんけど。」
僕は多少の出費を惜しまず、その防刃マフラーを購入。首周りに巻いてみると案外軽く、動きづらさはあまり感じない。これならウサギの襲撃にも対応できる……と信じたいところだ。

3. ヴォーパルバニーの棲む森へ
依頼情報によれば、ヴォーパルバニーは王都近郊の深い森に巣を作っているらしい。
昼間でも薄暗く、地面は苔と落ち葉が積もり、じめっとした湿気の中で視界も悪い。
しかも森のあちこちには血飛沫のような痕が残っていて、既に何人もの犠牲者が出ていると想像に難くない。

「いやあ、思った以上に雰囲気最悪ですね。
足滑らせたりしてコケた瞬間、首をはねられたらたまったもんじゃないですよ。
……まぁ、うまいシチューのためだと思えば仕方ないですか。」
そんな軽口を叩きながら、僕は森の奥へ進み、ヴォーパルバニーが通りそうなポイントに即席の罠をいくつか仕掛けておく。
地面にワイヤーを張り、踏み込んだ瞬間にバチンと締まる小型の捕獲網。そして、囮としてニンジンを置いてみた。
とはいえ、本当に凶暴なウサギがニンジンに釣られるかどうかは半信半疑だ。

4. 首はねウサギ、現る
森の奥で気配を消し、しばし待ち構えていると、落ち葉を踏むかすかな足音が聞こえる。
やがて姿を現したのは、フワフワの体毛と長すぎる耳、血のように赤い瞳をしたウサギ──ヴォーパルバニーだ。前歯が鎌の刃のようにギラリと光り、どう見ても可愛らしさとは程遠い。

「……あれがそうですね。確かに凶暴そう。
首に飛びつかれたら僕でもキツいな、これ。」
そのウサギは、こちらを見つけるや否や信じられない跳躍力で飛びかかってくる。狙いはもちろん僕の首元。
しかし、僕は間一髪で頭を低くし、防刃マフラーのあたりでその一撃を受け止めた。
ガキィッ! という嫌な金属音とともに、マフラーとヴォーパルバニーの前歯が火花を散らす。

「うわっ、やっぱりシャレにならない威力ですね。
でも一応は防げてる……このマフラー、買っといて正解かも。」
二撃目、三撃目を狙うように素早く跳ね回るヴォーパルバニー。僕も必死で回避するが、一歩間違えたら本当に首を落とされそうだ。
だが、ウサギが華麗に空中を飛び越えた先には、あらかじめ仕掛けておいた捕獲網が待っていた。
パチン! という鋭い音とともに、ヴォーパルバニーの足や身体にワイヤーが絡みつき、動きが鈍る。

「はい、そこまで。悪いけど僕も命が惜しいんでね。
大人しく捕まっててください。」
5. 逆襲を封じ、一撃で仕留める
網の中で暴れ回るヴォーパルバニーは、前歯や爪を振り回してまだ首を狙おうとしてくる。
近づけば危険なのは分かりきっているが、こちらとしても決着をつけないと先に進めない。
僕は慎重に距離を測りながら、隠し持っていた小型の衝撃弾(携行式の小さな火器)を取り出し、狙いを定める。

「おいおい、そこまでジタバタされると焦るんだけど……
でも、美味しいシチューのためですからね。ごめんよ。」
ドンッ! 近距離から衝撃弾を撃ち込み、ヴォーパルバニーの動きをさらに鈍らせる。そして、網を踏みしめるようにして長剣をスッと抜いた。
素早すぎる相手を仕留めるなら、もうここで“一撃”しかない。

「僕の首を刎ねられる前に、そっちの首を落とさせてもらいます。
じゃあ、いきますよ──」
鋭い閃光。刃がヴォーパルバニーの細い首を正確に斬り落とした。血が地面に飛び散り、ウサギの首がごとりと転がる。
凶暴なモンスターであっても、討ち取ってしまえばこちらの勝ち。あとは依頼人への報告よりも先に“目的の肉”を手に入れる段階だ。

6. シチューの楽しみ
その場で簡単な血抜きと解体を済ませ、僕は森のはずれにある小川へ移動。きれいな水場でヴォーパルバニーの肉を洗い、余計な毛や内臓を取り除く。
ウサギ肉自体はさっぱりしているが、ヴォーパルバニー特有の脂がほどよく乗っており、煮込むには絶好の素材らしい。

「いやあ、こんな強烈ウサギにも美味しいところがあるなんて不思議ですよね。
シチューにして食べたら、どんな感じになるんでしょう?」
持参した小鍋と食材を取り出し、火を起こして調理開始。
野菜やキノコ、香草と一緒にコトコト煮込むと、森の中とは思えないほど良い香りが辺りに立ち込めてきた。
一口スプーンですくって味見をすると、少し野性味はあるものの、噂に違わず深みのあるコクが広がる。

「うん、これはうまい! ちゃんと臭みも抑えられてるし、肉の弾力が絶妙。
わざわざ首を狙ってくるウサギなんて正直勘弁だけど、この味ならちょっと許しちゃいますね。」
7. 任務完了、そして次の旅へ
こうして、僕は首はねウサギことヴォーパルバニーを無事討伐し、見事にシチューを堪能することに成功した。
森を出る頃には、すっかりお腹も満たされてご機嫌。依頼人に討伐完了の報告をすると、血の気が引いていた人々もホッと胸をなで下ろしてくれた。
その際、
「え? ウサギの肉? ああ、シチューにして全部食べちゃいました」
と伝えると、若干あきれられたものの、報酬はきっちり受け取ることができた。

「まあ、最初からシチューが目当てだったし、いいじゃないですか。
首は飛びそうになったけど防刃マフラーのおかげで助かったし、今回は上々ってところですね。」
そんなわけで僕は、次の街へ向けて旅を再開することにした。もし次また“首をはねるモンスター”と遭遇しても、今度はもう少し手際よく狩れるかもしれない。
──何より、美味しいごはんが待っているなら、少しくらいの危険は目をつぶってもいいかな、なんて思えてしまうのだから不思議なものだ。

「よし、次はどんなモンスターの肉を狙おうかな。
旅はまだまだ続きますよ。僕だって、お腹は毎日空きますからね。」

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