何のために働くのか
キャリア面談をしていると、「できれば働きたくない」派と「目標を持って働きたい」派のお話を聞く機会があります。
面白いことに、双方が自分とは違う立場の人の気持ちがわからないのです。
今回は、自分とは違う価値観の人がいるということを知ってもらえるようnoteを書きたいと思います。
何のために働いているのか聞いてみた
私は「目標を持って働きたい」派なのですが、「できれば働きたくない」人に「私は、働くことは楽しくて死ぬまで働いていたい」と伝えると、信じられないという顔をされました。
働きたくないのに働いている理由は、「お金」や「生きるため」と答える人がほとんどです。それはそうですね。
「仕事は、嫌なことをするからお金がもらえる。」
「会社から与えられた目標を最低限達成しておいて、
あとは程ほどに仕事をこなしている。」
これらは「できれば働きたくない」派の人に共感してもらえる意見ではないでしょうか。
嫌々仕事をしているので”程ほどに仕事をこなす”人が多いと思いますが、中には「年収○○千万円目指す!」と仕事を頑張る人もいます。こういう人がなぜ頑張れるのか深堀りして聞いたことがないので、聞いてみたいです。
一方で、私のような「目標を持って働きたい」人に、「仕事は与えられたものを淡々とこなしたい人がいる」と伝えると、「何のために生きてるの?」と驚いていました。
「目標があるから大変なことも頑張れる。」
「社会に(誰かに)貢献したくて、そのために自己研鑽をしている。」
お金よりも「ウェルビーイング」に重きを置いている人が多い印象です。
ウェルビーイング(well-being):身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念 ー日本の人事部「ウェルビーイング」
何のために働いているのかは多種多様な理由になりますが、仕事を自己表現の場として捉えていて、何かしらを発信することが働く理由になるのかもしれません。
それぞれの”働く”に対するイメージの違い
それぞれの立場の人から話を聞いていると、”働く”に対して持っているイメージが違っていることがわかりました。
「できれば働きたくない」派 = 働くことは辛いこと
「目標を持って働きたい」派 = 働くことは楽しいこと
そもそも、根本的に働くことに対してのイメージが逆なので、自分とは違う価値観の人の意見が理解しにくいのです。
以前の私は、「働く時間は長いので楽しく働いてもらいたい。楽しく働くためには目標を持つことが大事。働きやすい環境を整えることも必要。」と考えていました。
しかし、そもそも働くことは辛いことだと思っていたら、目標を考えることも辛いですし、働く環境が整ったところでやる気に繋がることは少ないでしょう。
今では、まず相談者が働くことに対してどういうイメージを持っているかを確認するところから面談を始めています。
日本で育ってきていれば同じような教育環境なのに、このイメージの差はどの時点で付いたものでしょうか?
自分のことを振り返ると、初めから目標を持って働いていたのではありませんでした。むしろ最初は、プライベートの時間を確保するために残業なしで帰ることができる(と思っていた)事務職を選択しました。
人事の仕事をする内に、「もっとこうした方がいい」と工夫し、結果が出た時に感謝されると自己肯定感が上がり、人事の仕事が好きになっていきました。
私が出会った「目標を持って働きたい」派の人は、仕事が好きなので、もしかしたら自己肯定感が上がるような体験をしたのかもしれません。
自分とは違う価値観を知ることから始まる
仕事を淡々とこなしていても、会社がそのやり方を求めているのであれば問題はないように思うでしょうが、やはり私は楽しく働いてもらいたいと思ってしまいます。
以前のように「仕事は楽しいものだ」と決めつけて対応していては、前提がズレてしまいわかり合うことができません。
仕事は楽しいものにできると知ってもらうために、何をしたらいいのかについて考えていたところ、パーソル総合研究所が発表している、働く人のWell-being(ウェルビーイング)状態を計測する「はたらく人の幸せ/不幸せ尺度(Waw77)」*2を用いた分析結果にヒントがありそうでした。
私は、その人が今まで働いてきた環境が、幸せ因子または不幸せ因子のどちらが多かったのかが、仕事が楽しいと思えるかどうかに関係していると考えています。
幸せ因子が増えるような組織作り・仕組み作りができれば、楽しく働ける人が増えると思います。
就職活動で付け焼き刃的に自己分析して、本質的に自分とは何者なのかを知らないまま仕事をしているかもしれません。そういう人には、面談を通してあらためて自己分析をしてもらい、自分が一番活きる仕事を考えてもらうきっかけを作りたいです。
お金を得るために仕事をするのはもちろんですが、お金を得ることを目的とせず、自分らしく生きるために楽しく仕事をしてもらいたいです。
今回、何のために働くのかを考えて、私が出来ることとして
・自分の得意を活かして働けること
・働き方の選択肢があること
この2点を達成できるような仕組み作りに尽力したいと、より一層思いました。
今回はここまで!次回をお楽しみに。
◆◇しごとば劇場◇◆
会社の数だけストーリーがある
経営者と社員の物語