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2020年、シグマクシスの年末風物詩と共に振り返る

仕事納めが終わり、一呼吸おいて、今年最後の原稿を書いている。9月に書いてから4か月近くあいてしまった。秋から年末に向けて様々なイベントが続いたこともあるが、コロナ禍当初の混乱を抜けて、仕事も私生活もなんとか巡航速度を取り戻して動き始めたから、ということもあった気もする。

いずれにしても新しい日常に車輪を乗せるまでそれなりに時間がかかり、気づいたらあっという間に一年が過ぎてしまった。そんな2020年、当社の年末風物詩と共に振り返り、落ち着いた気持ちで終わりたいと思う。

「失ったもの<生まれたもの」

シグマクシスの年末は、いつも通り師走の忙しさ。例年はそんな中、家族を招いての恒例の全社クリスマスパーティをホテルで開催するのだが、今年は当然開催できなかった。中止を耳にした家族や子供達から、残念だというコメントが沢山届き、いつも秋口から準備でしっちゃかめっちゃかになる広報チームも、手持無沙汰で心なしか寂しそうだった。

すると社長のトミーが、「今年は社員が頑張ったのはもちろん、家族も一緒にいつも以上に大変な思いをして支えてくれた。一斉に集まれないなら、プレゼントを自宅に贈ろうよ」と発案。クリスマスパーティー・プロジェクトは急遽、社員と家族の思い出作りに花を添えよう、を合言葉に、サンタクロース・プロジェクトに切り替わった。トミーのメッセージが入ったオリジナルカードと封筒をデザイン・製作。人事部と連携して、派遣さんを含む全社員一人ひとりの自宅にプレゼントを送り届けた。もちろん、私の家にも届いたのだが、改めてしっかりとした封筒を手にして、「クリスマスプレゼントっていくつになっても嬉しいものなんだな」と思ったりした。

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さて、そうはいっても、何もシメないまま年を越えると、こんなに全社で頑張った一年が流れて終わってしまう。「たとえみんなで集まれなくても社員が2020年を振り返るプログラムをオンラインでやってみたい」と、今度は広報チームが言い出した。確かに、これまで年に3回は全社員で集まるプログラムを開催していたのに、今年は一度もそれを果たせていない。「一つのメッセージをみんなで共有することの大切さをないがしろにしたくない」という想い一本で、スタッフはトミー、事業責任者である常務執行役員たち、その他各部や今年の新人たちをどんどん巻きこみ始めた。そして大騒動(?)の末つくりあげたのが、シグマクシス初の社内番組「X-net(クロスネット)」だ。

当初はリアルタイム配信を想定してスタートした企画だったが、「せっかくオンラインなら、社員一斉試聴に執着するよりも、観て面白いもの、自分の好きな時間でゆっくりみて楽しめるもののほうが、結果的には伝えたいメッセージが社員に届きやすいのではないか」と経営陣からアドバイスがあり、やるならバラエティ報道番組を作りきってしまおう、という方針に変わった。

スタジオでのナレーション撮り、オープニングやインサート映像の制作、そして最後はハウススタジオを借り切って、プロのヘアメイクや映像制作会社にもチームに入ってもらって撮影を行い、35分の年末特番が出来上がった。エライ人達もシナリオに沿って自らのアイデアも載せながら演技を熱演、まさか関係者全員がここまでやるとは私も想定していなかったので正直驚いたが、これもコロナで社員が対面で集まれない状況がなければ、やってみようとも思わなかっただろう。

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コンサルティングの現場では、新たなお客様とのお付き合いが沢山始まった年だった。シグマクシスの事業特性上、中身を明かせないのでここで多くを語れないのが残念だが、昨年までにはないタイプのプロジェクトも次々に生まれ、特にオンライン&デジタル環境で新しい働き方や価値創造を目指す取り組みは、自社での体験やノウハウも組み合わさって、様々なお客様に提供された。

プロジェクトデリバリーもリモート環境での取り組みが多くなったが、コンサルタントとお客様の連携が新たな工夫や発想の転換を生み出し、デリバリーの品質も例年と変わらず全社で高い評価を頂いて一年を終えることが出来たのは、シグマクシス全員にとって最高の知らせだった。

新たに生まれたものと言えば、もうひとつ、6月に書籍「フードテック革命~ 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義(日経BP社)」の出版もあった。日本のフードテック市場の火付け役となった当社コンサルタント達による書籍で、初版から予約で売り切れ、いまもなお重版を重ねている。ごはんは誰でも食べるもの。直接仕事に関係なくても面白い本に仕上がっており、情報量が多くて「コスパがよい本」というちょっと変わった評価もいただいているので、ぜひお手にとっていただければ嬉しい。

こうして振り返ると、2020年は新型コロナウイルスの影響でとにかく大変だったし、それまでは普通にあったものが気づくとなくなっていることにショックを受けることも沢山あったが、ひたすら前進を続けることで実は新しいモノやコトも沢山生まれた。ここで触れたこと以外にも「だったら、こうしてみよう」の精神で繰り出されたアクションは、実は社内やプロジェクトのそこかしこにあふれていたはずだ。

渦中にある時は無我夢中だったが、今こうして落ち着いて振り返れば「ピンチはチャンス」がまさに当てはまる、進化の年でもあったように思う。突然現れたウイルスを前に、人間の弱さや脆さを思い知らされると同時に、人間の強さと逞しさも確認した、そんな年だったのかもしれない。

2021年「美しく生きる。」

さて、年末のシグマクシスには風物詩がある。まずそのひとつが「ラーメン」だ。年末のご挨拶用に会社で用意するノベルティで、某有名ラーメン店のお持ち帰りパックをオリジナルパッケージにしてもらい、社員がお取引先にお届けする。

樽ごと買ってオリジナルのラベルでお届けする新酒、通称「シグマクシ酒」や、2か月単位で並べられる伊東屋コラボのシグマクシス卓上カレンダーと共に大人気のため、年末になると予約と引き取りでフロアの一部が1000単位のラーメンの箱で埋め尽くされる。半生製品なので在庫管理がかなり大変なのだが、そのフレッシュさも受けて、お客様から「今年も年越しラーメン、くるんだよね?」とコンサルタントが言われるらしく、手間はかかっても辞めるにやめられない「年末重点施策」のポジションが出来上がっている。

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そしてそのニーズはコロナ禍でも全く変わらず、うっかり申し込みを忘れた社員が慌ててなんとかならないかと駆け込んできたりするので、年末限定「ラーメン看板娘」を担当する社員は年末ぎりぎりまで気が抜けない。が、いそいそと両手に紙袋を下げてお客様先に戻る社員の後ろ姿や、発送作業にいそしむ姿を見ると、例年と変わらない風景に安堵する気持ちにもなる。

もうひとつ、そんなザワザワした風景の傍らで静かに走るプロジェクトがある。年末年始のご挨拶サイトの企画だ。

時代の流れを汲んで、数年前から一部を除き会社としての紙の年賀状はデジタルに置き換えている。せっかく年の区切りに全社員がお世話になった方たちにメッセージを送るのであればシグマクシスらしいものを、ということで、秋の終わりから準備を始める。そしてこれだけは企画のオーナーが私となる。

全体メッセージの設計は、会長の倉重さん、そしてトミーと会話するところからスタートする。今年はコロナ禍の混乱、期せずして加速した社会のリモートワーク化、加熱するDXブーム、またその一方でじわじわと広がる世の中の分断や価値感の個別化、犯罪の増加といった、殺伐とした社会の風景が話題となった。そんな中で、シグマクシスは来年どんな姿勢で一年を過ごすのか?社会に対して、どのように価値を生んでいきたいのか?対話を重ねた末、出来上がったメインコピーは「美しく生きる。」になった。

伝えたいことはサイトに表現しているので、ぜひそちらを見て頂きたいのだが、あわせて今年は11名の役員・社員に「My Thoughts. ~2021年大切にしたいこと」というコメントを寄せてもらった。毎年、社員による「シグマクシスびっくり大予想」など企画ものを掲載しているのだが、今年の特徴は、マネジメントだけではなく入社2年目の若手から中堅のコメントも並んでいることだ。大きく社会が動く今、世代によってそれぞれの想いがある。その多様性こそがシグマクシスらしさ、ということで、そのようなラインナップとなった。一人ひとりが丁寧に考え、言葉に紡ぎあげたものなので、ぜひご覧になっていただきたい(↓)。

自ら「届ける」ことで繋がりはつくられる

結局この一年、社会が大きく動く中で、私達がやり続けてきたことの一つは、「届け続けること」だったのかもしれない。衛生用品が不足していた緊急事態宣言下、全社員の自宅にはマスクやアルコールが届けられた。オンライン入社式から2か月間自宅で研修を受け続ける新人には、合間にホットアイマスクとハーブティが送られた。社員と家族へのクリスマスプレゼントも、年末特番も、お取引先への年越しラーメン、年末年始の挨拶サイトも、感謝や想い、メッセージを届けるツールだ。何より、対面で会いにくくなってもお客様とつながり続け、プロジェクトデリバリーを途絶えさせなかったコンサルタントは、「価値を届け続けること」に執着し続けた。

デジタル環境、SNSの世界では、そこにいるだけでアルゴリズムがつながりを作ってくれる。でも本質的な人と人のつながりは、相手への想いを様々な形で「自ら届ける」ことで、作りあげられていくのかもしれない。

スピードの時代だからこそ、丁寧に、しっかりと、健やかに。

2021年も、どうぞよろしくお願いいたします。

(C&C/内山その)

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