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SIGMA fpをウェブカメラとして使う方法

ロサンゼルス在住の映像ディレクターRubidium Wuさんが投稿してくれたSIGMA fpをウェブカメラとして使う方法をまとめた記事をご紹介します。

この記事はSIGMA Corporation of Americaが運営するSIGMA BLOGに投稿された「THE SIGMA FP AS A LIVE STREAM WEB CAMERA」を許可をもらい翻訳して紹介しています。


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この困難な状況において、私達は皆これまでと違った働き方を求められています。それは私達の多くにとって、新しい技術に慣れ、これまでと違った方法で世界と関わりを持つということになるでしょう。

高度なライブストリーミングまたはビデオ会議システムの構築はそれほど難しくありません。正しいカメラを選び、正しいライティングとセッティングを行うだけです。そして正しいカメラのひとつとしてSIGMA fpを使う方法をご紹介しましょう。

1.ウェブカメラ機能**

SIGMA fpは最近のフルフレームカメラの中でもユニークで、本体のUSB-C端子を使ってコンピューターに直接接続するだけでWindowsとMacどちらの環境でもそのままビデオ・オーディオ入力デバイスとして使うことが出来ます。
この機能を使うには、fpのメニューから[SYSTEM]タブに移動し、[USBモード]から[ビデオクラス(UVC)]を選択します。この状態でUSBケーブルを接続すると、コンピューターはカメラ内のSDカードにアクセスせず、fpをビデオとオーディオの入力デバイスとして認識できるようになります。
次はコンピューター側の設定に移ります。入力デバイスの設定から”SIGMA fp”をデフォルトのビデオ・オーディオの入力デバイスとして選択します。YoutubeやZoomなど、配信に使用する個々のアプリの設定がコンピューターの設定と連動していない場合は、アプリでもこの作業を再度行う必要がある場合があります。

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fpはLマウントレンズを使ってライブストリーミングができます。使えるレンズはシネレンズも例外でなく、MC-21を使うことでEFマウントやSAマウントから、MC-31を使うことでPLマウントからそれぞれLマウントに変換することができます。

2.カメラの置き方

最もフラットな映像を得るには、カメラを顔の高さに合わせるのが良いでしょう。もし低すぎたり高すぎたりすると、パースで顔が歪んでしまうからです。卓上でミニ三脚を使ってみましたがそれ単体だけでは低すぎるものが多いようです。机の向こう側に通常サイズの三脚を設置して使うか、ミニ三脚を使う場合には椅子を下げて三脚の下に5cmくらいの台を敷くと丁度良いでしょう。

3.レンズの選び方

ウェブカメラには広角のレンズが使われていることが多いです。これはコンピューターの近くで話すことを想定して作られているからで、18~24mmのレンズが使われているのが一般的です。そのため、35㎜フルサイズセンサーを持つfpでは24㎜から35㎜くらいの焦点距離のレンズが使いやすいかと思います。
ここでひとつ注意したいことは、一度ウェブカメラとして接続するとカメラの設定がロックされてしまい、後から調整ができなくなることです。そのため、コンピューターにウェブカメラとして接続をする前に、カメラ本体の液晶モニターか、HDMI出力で外部モニターに表示するなどして最適な設定に調整しておく必要があります。

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シネレンズを使えば、絞りの機構がマニュアルのためカメラ側の設定がロックされていても絞り値を変えることができます。45mm F2.8 DG DN | Contemporary35mm F1.2 DG DN | ArtなどSIGMAの最近のスチル用レンズにもボディに絞りリングが搭載されているレンズがあるので、これらも同様にウェブカメラとして使っている間でも絞り値を変えることができます。

4.オーディオ入力の設定

fp本体にもマイクが内蔵されていますが、より良い音質を得るなら外付けのマイクがおすすめです。例えばRodeのビデオ用マイクはホットシューユニットHU-11を使ってカメラ本体に取り付けることもできます。

マイクはクリアに音声を拾うために口元の近くに設置することが望ましいですが、呼吸音などの雑音まで入らないように注意が必要です。もし周囲が騒がしく、カメラのホットシューの位置から拾える距離よりも更にマイクを近づけたい場合は、より長いマイクスタンドが必要になるかもしれません。その場合ポッドキャスト配信などでよく使われているサスペンションブームアームというスタンドが便利です。大体2000円くらいから手に入り、直接机に取り付けることができます。セッティングにあたっては延長用のオーディオケーブルも必要になるかもしれません。

外部マイクがONになっていることを確認してfpのマイク端子に接続します。メニューの[SHOOT]タブから[オーディオ記録]の[入]に合わせ、さらに右カーソルで詳細設定画面に入ります。ゲイン調整ではマニュアルを選択すると、さらに右カーソルでマニュアルゲイン調整メニューへ移行できます。Ch.1/2の連動は[入]で良いでしょう。これで両方のチャネルを一度に調整できるようになるので、下の[Ch.1調整量]に移り入力レベルを調整します。
レベルメーターは何も音を発していないときはゼロになっていることを確認し、最も大きな声で話した時には6あたりを指すように調整してください。調整量の項目で後ダイヤルの上下を操作することで適切な入力レベルかを確認しながら調整することができます。

5.カラーモード

SIGMA fpには特殊なカラーモードがカメラ内に搭載されているので、適切なホワイトバランスの設定さえできれば本体だけでカラーグレーディングを行うことができます。カメラ背面のQS(クイックセット)ボタンから、撮影環境の光源(オート、晴れ、白熱電球など)に合わせたホワイトバランスを設定します。あとはカメラ背面下部にあるCOLORボタンを押し、あなたの感覚にマッチするカラーモードを選ぶだけです。

撮れる画としては「ポートレート」が私のおすすめですが、「ティールアンドオレンジ」も同様に個性が立っていておすすめのモードです。各カラーモードは効果の強度を-5から+5までの11段階で調整することができます。

配信の際のデータ圧縮と通信速度の影響によって、映像自体がソフトになったり、彩度が下がったりする可能性があるので、各カラーモードで調整を加えた方が良さそうです。カラーモードを選択した状態でAELボタンを押すと、そのカラーモードに対しての詳細設定を行うことができます。ここではコントラスト、シャープネス、彩度を調整することができます。私が試した中では、3つの項目を+3~4に調整することで、最終的な配信映像としてはプロ並みの結果を得られることが分かりました。ただ、この設定は撮影している最中は少し強烈な画に見えるかもしれません。

6.OBSと音声遅延の解消法

OBSはいくつか便利な機能が搭載されたMacとWindows共に使える無料のソフトウェアです。YoutubeやTwitch、その他色々なストリーミングサービスで配信するときに役立ちます。
ライブストリーミングでよくある問題として、コンピューターの読み込み速度の違いからビデオに比べてオーディオが速くなり、結果ビデオとオーディオが同期しないということがあります。OBSにはオーディオの速度を修正するオプションが用意されているのでこれを解消することができます。私のシステムでは、fpに接続した外部マイクのスピードを300マイクロ秒遅らせることでビデオと同期できました。

OBSはストリーミングカメラにとって大きなもうひとつの問題解決にも最適です。そう、バッテリーの問題です。fpのバッテリーはフル充電で1時間強使えますが、換えのバッテリーを用意していたとしても入れ替えの際にはカメラの電源がオフになります。例えばYoutubeで直接接続して配信している場合には、カメラの電源がオフになると配信が中断されてしまいます。そういった問題に対してOBSでは、カメラの電源が切れても、ブランク画面やデスクトップ画面に切り替えてくれるので、バッテリー交換後も続けて配信することができます。配信トラブルのバックアップとして用意しておくと良いでしょう。

補足:別売りのACアダプターSIGMA AC ADAPTER SAC-7Pを使うとAC駆動が可能になります。SIGMA公式オンラインショップ|https://www.sigma-onlineshop.jp/shop/g/g937485/

まとめ

優れたスチルカメラであり、フルフレームのRAW動画も収録できる画期的なカメラのfp。今回紹介したウェブカメラとしての機能を備えていることで、本格的なストリーミングカメラを探している映像作家、オンラインコンテンツのクリエーター、そしてプロの写真家にとって更に最適な選択となるでしょう。

こちらの記事は映像でもご覧いただけます。https://www.youtube.com/watch?v=Wa-v8Rb8a6I&feature=youtu.be(英語コンテンツ)

今回紹介した機材