見えない皿の一端を見た日
言い方は悪いけれど、「バカには見えない皿」というものがあります
なぜかコレ、目の前にあってもお金を横に置いたり、手前に置いたり、商品をコレに乗せて、お金はその向こう(レジのこっち側)に置いたり(でもポイントカードは商品の上に載せてたりする)……
敢えてこのお皿(「カルトン」という名前です)を無視することによって店員に威圧感を与えようとしているのか? と思った時期もあったけれど、そういう人はごくごく少数で、大抵の人はホントに視界に入っていないかのように(でも、ちゃんとこれを避けて)レジの作業台(って呼べばいいのかな?)にお金を置くのです
あ、ちなみに自分は本屋です
スーパーやドラッグストアはまたレジの構造が違いますよね
文具店、雑貨店なんかはこっち寄りな感じ?
それはさておき、もう「ここにお金を置いてくれ」と言わんばかりに置いてあるコレ、どうしてそんなにも避けられるのか? と常々不思議に思っていたのですが、先日とあるご婦人の所作によって、ひとつの解を得られた気がしました
畳敷きの座敷や応接間のある家……は最近少なくなっているでしょうから、法事やなんかで和食の店に入ったところを想像してください
ホスト側ではなく客として招かれた年配の女性、きちんと並べられた座布団を、敢えて寄せて畳の上に直に座ろうとするところを見たことはありませんか?
迎える側とその年配の女性とで、「いやいや座布団にどうぞ」「いえいえそんなもったいない」みたいなやりとりを何度か繰り返した後に、やっと座布団に座るという様式美、もしくはプロトコル
先日会計をしたとある年配のご婦人が、目の前にあるこのカルトンをわざわざ横に避けて、それが置いてあった場所にお金を置いたのです
その時自分は判った(気がした)のです!
これは、座布団プロトコルと同様な謙譲表現なのではないか!? と……
店員に罵声を浴びせる人が増えつつある今日この頃、そんな謙譲の美徳を(対価を払うとはいえ、サービス提供者側である)店員相手に表現してくれる人などごくごく一部に過ぎないでしょう
でも、無意識かもしれないけれど、そんな気持ちで敢えてカルトンの横にお金をそっと置く、そんな慎み深い人も一定数いらっしゃるのだな、と腑に落ちたのでした
……もちろん、その「一定数」以外の人たちは、相変わらず理解の範疇の外側にいらっしゃるのですけれど