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インド旅行記②世界の車窓から~カオス編~

コルカタ3日目の朝。そもそも今回の旅の目的は、あのガンジス川に面した階段で多くの人が沐浴をしている"インド"な街、バラナシへ行くことなので、電車のチケットを取る必要がある。コルカタからバラナシはおよそ700km離れているし、旅程には余裕があるので、ブッダが悟りを開いたというブッダガヤで一泊する計画だった。

チケットの取得に超苦戦

コルカタの朝の風景

最初は全く渡り方が分からなかった交通ルール全無視の車道も渡れるようになってきた俺たちは、朝一でチケットセンターへ向かう。朝ごはんはやっぱりカレーだ。インドではカレーから逃れることは出来ない

かなり葉っぱ感のあるお皿に入った豆のカレーとせんべい

しかしチケットセンターの場所が方角しか分からない。Wi-fiもSimカードも使っていなかったので、ネット環境もない。仕方がないので日陰でチルしている3人のインド人に聞いてみる。「Where is the Ticket Center?」2人は左を、1人は右をパッと指さしたのだが、右を指さした1人が年長者だったからか、ゆっくりと他の2人も指を右方向へ向けていく。お前らは方位磁石か。年長者を敬わなくていいから正しい道を教えてほしい。せめて多数決で勝ってるほうに統一して。

そうしてさまよっているとそれらしき看板を発見。何とかチケットセンターにたどり着く(年長者が指したのとは逆方向だった)。チケット代を最大限ケチった結果、エアコンなしのSL(=Sleeper Class)のチケットを予約。700㎞も移動するのに1,000円ちょっとという恐ろしい料金設定に内心ビビる。あとチケットセンターではそれぞれの名前を呼ばれてチケットを渡されるのだが、ここで1時間弱待つ羽目になり、本当に呼ばれるのかドキドキした。

インドではチケットを手配する人たちが街中にいて、ネットで予約してくれる代わりに少し高めのお値段になる。でも、チケットセンターで1時間ドキドキするくらいなら、多少お金を払ってもいいのかもしれない。

インド博物館とブッダガヤ生まれの謎インド人

ハリーポッター感あるね

その後、アジア最大級と地球の歩き方に書いてあったインド博物館へ。大量の鉱石や絨毯、石仏、工芸品など色々あってお値段20ルピー!(※外国人は700ルピー)入場するときに「Camera!Camera!」と受付の人に叫ばれたので、撮影禁止なのかと思ったら、『カメラで撮影し放題だからぜひ持って行けよ!絶対に入口のコインロッカーに預けるなよ!』とのことだった。基本皆親切なんだけどテンションが分かんないんだよなぁ…!

インド博物館の中庭、芝生で安らぐ人々

そしてインド博物館を出ると、突然見知らぬインド人に日本語で話しかけられる。なんと次の目的地であるブッダガヤ出身だとかで少し世間話。話の流れ的には
インド人「次どこ行くの?」
日本人「ブッダガヤにいく予定」
インド人「私ブッダガヤ出身だよ!」
という感じ。うーん、これなんか違和感あるけど、まぁいいか。

超スリリングなバスで駅に向かう

その後、街をぶらぶらして楽器屋や本屋を物色。古本屋では、まるで古文書のようになっている古の「地球の歩き方」を発見、手に取ってチラ見していると店主が800ルピーと声をかけてくる。ちょっと高いので、本を元の場所に戻すと、レジ前のおっさん2人が「400!400!」と叫び始める。怖くなってきて逃げ出すと後ろからでかい声で「200!」と聞こえてきた。すごい勢いで「地球の歩き方」が値崩れを起こしている。

晩飯にカレーを食べた後、インド博物館の前で話したブッダガヤ生まれのインド人と再会する。駅に行きたい旨を伝えると、バス乗り場まで案内してくれた。人が満載のバスが来る。「これに乗れ!」という彼の言葉に従い飛び乗ると、一瞬でカバンを奪い取られる。何事!?と思うと、カバンは荷物置き場らしき場所へ格納。あり得ない人口密度の中バスは発車する。窓の外では、ここまで案内してくれた彼の姿が。ブッダガヤ生まれの彼は最後にこういった「DON`T forget!!!ラチミゲストハウス!!!」映画か。どうやらブッダガヤでオススメのゲストハウスの名前を教えてくれたらしい。

コルカタ駅、人が多すぎる

その後4車線くらいしかない道を6台並んで走るクレイジーな車間距離のバスで、人生で最もスリリングな公共交通機関での移動をした俺たちは、駅に到着した。1時間以上待ち時間があったので、何とか座れるイスを見つけ出した。駅のトイレに行くと、門番のような人がいて、10ルピーを払えという。これも一種の職業カーストであり、インドでは先祖伝来の職業だ。しかしその時の俺は根強いカースト制度への複雑な感情よりも、10ルピー払った割にこの世の終わりくらい汚いトイレにブチ切れていた

トイレの案内、完全に罠

なんとか時間をつぶし、いよいよ乗車時間。しかしここで4つの誤算が起こる。

  1. インドの車両は30台以上連なっていて長い。

  2. インドではカースト制度などの関係で、車両と車両の間は仕切りがあり、行き来できない。

  3. 俺たちが取ったSLクラスはかなりチケット代の安いクラスなので、駅の一番端っこに車両が来る

  4. インドでは数分しか車両は駅に停車しない。

つまり、全力疾走である。数分後の発車までになんとかSLクラスの車両にたどり着かなければゲームオーバーなのだが、20台以上先にあるというちょっと想定できなかった状況。なんとか汗だくになりながら車両に乗り込んだ。

インドの電車のトイレがやばかった

乗車後すぐに走り出す列車。自分たちの指定席に向かうと、すでに謎のおばあさんが寝ていた。いわゆるサドゥー(修行者)ではなく、ノーマルなインドのおばあさんである。ちょっと申し訳ない気持ちになりながらも、眠れないと困るのでおばあさんを起こす。すると、隣の席の男の人がおばあさんが眠ってるだろ!と怒り始める。えぇーそうなんだけど他にどうしたら…?

結果的にはその男性がおばあさんを自分の席に招待して何とかなったのだが、これは優先座席とかそんなレベルでない根源的な敬老精神である。そのおばあさんを座らせることで、自分は眠れないのだからすごい選択だ。これ見習うべきだよな、と素直に思う。

SLクラスの中、左側は2段、右側は3段ベッド

その後ジャンケンで負けた俺は3段ベッドの一番下へ。寝る前にちょっとトイレに行こうと思い、車両の一番後ろへ行く。トイレットと書かれたその場所は、何やら地面に光る穴があった。これは何だろうとのぞき込むと、うすぼんやりと線路が見える。あ、これ線路に全部落とす方式のトイレだ。そんなことがあっていいのか。

衝撃を受けながら(しっかりとやることはやって)自席に戻る。エアコンが無いので窓が全開なのだが、それにしても熱い。しかしまぁ、座席は固いながらも狭くはないし、何とか寝れそうだ。疲れもあって、一瞬で夢の中へ。

電車で迎えた最悪の朝と、渇きを潤す林檎

こんな感じで寝てました

暑い…。砂漠でのどがカラカラになりながらさまよう夢を見ていた。暑い…暑い…。ふと視線を感じた気がして顔を上げる。すると自分が寝ている座席のふちに、7人の知らないインド人が座っていた!怖い!

安い車両でドアすらないので、カーブで減速したタイミングなどで無賃乗車の民が飛び乗ってくるらしく、不幸にも三段ベッドの一番下だった俺はインド人に囲まれていた。ぱっと荷物を見ると、何もしてないよ、みたいな顔をするインド人たち。まぁそれならいいか…。

枕もとのインド人が「食べる?」と小さなリンゴを手渡してくる、「ありがとう」と言いながら食べると、旨い。ちょうどのどが渇いていたので、超旨い。すると「食べたんだから30ルピーくれ」とか言ってくる枕もとの彼。「じゃあ出ていけもう!」とちょっと喧嘩になりながらも、面倒なので結局15ルピーだけ払う。そんなことをしている内に次の駅に到着し、車掌らしき人に全員追い払われた。何だったんだ。指定席である意味がないというか、わざわざチケットを取らないレベルの車両なのか…?目が覚めたら満員電車に放り込まれていたようなもので、かなり焦った。

車窓からの風景、めっちゃカラフルな布を干してる

ちょっとまだ混乱していたが、明るい時間帯の電車移動は楽しい。風景が最高なのと、風が気持ちいいのである。爽やかな気分を取り戻してく。ぱっと視界をカラフルな何かが横切る、明らかに野グソをしている女の人だった。ケツをこちらに向けていたので、クレヨンしんちゃん的な感じだった。自分がやるならどうだろう、ケツを電車側に向けるか、顔を電車側に向けるか、どっちが恥ずかしくないだろうか。いやそもそも線路際で野グソするなよ。

カオスな「世界の車窓から」に困惑している内に、ようやくブッダガヤに到着。激しい道のりだった。

次回はインドの田舎町?ブッダガヤでラチミゲストハウスは見つけられるのか!お釈迦さまが悟りを開いた菩提樹の下で、日本の大学生は何を思ったのか!を書きます。

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