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絵画の展示販売会、思ったより圧がすごい

7月某日、前々から興味のあった絵画の即売会に行ってみた。自分で絵を持ってみたいというのもあったが、何よりその手のイベントに行ったことがなかった。好奇心先行でたどり着いた会場。しかし、何か思っていたのと違った

スタッフの圧が強い

会場に入る。レイアウトは美術館とよく似ているが、全ての作品に価格の記載がある(一部はスタッフにお尋ねください方式)。値段としては大体50万~150万くらい。ただ、それ以上に美術館との大きな違いがあった。とにかくスタッフがついてくるのだ。延々と話しかけてくる黒スーツ。最初の第一声はこれだ。

本日は何をお探しですか?

ノリが服屋だ。別にボトムスもアウターも探してないのにひたすらついてくる。あと話してくることは、今観てる絵がいかに希少か(発行枚数の決まってるシルクスクリーンが多かった)、オークションでどれだけ値上がりしてるかといった、資産価値を中心にしたトークだ。正直めんどくさい。基本的にカネの話しかしてこない。

絵のテーマが偏っている

割と大きな会場を借りたイベントで、必然、借り手は会場代をペイしないといけない。そのためか、スタッフは戦士のように勇敢に来場者へアタックし続ける。それだけでなく、絵も売れやすそうなテーマのものが多い。
基本的には「ディズニー」か「ラッセン」である。
ディズニーの名シーンをハイエンドな油絵にしたものが50万以上の値段でどんどん売約済みになっていく。あるいはラッセンの描く極彩色の世界を泳ぐイルカたち。会場の一番奥に鎮座するのは、ラッセンが描くミッキーやプーさんだ。夕景で手を繋ぐミッキーとミニー、バックにはイルカが跳ねる。何このコラボ。

思い返せば、よく知られた美術作品でも、有名画家が聖書の同じ場面を繰り返し書いていたりする(マリアがキリストを宿す場面とか)。
バンドのアニメタイアップ、アーティストのユニクロコラボと同じように、作品にミッキーを描くのが、画家が生き残るための術なのかもしれない。
あとなぜかバンクシーの書いたスープ缶もあった。何だそのオマージュ。

古道具市で精神が回復

割と疲れてしまったので早々に退散する。会場を出ると目の前の公園では、謎に爆音のジャパレゲが流れる中、巨大な古道具市が開催されていた。何気なく観て回ると、先ほどの即売会とかなり対照的なイベントであることがわかる。
全員がそれなりに思い入れのありそうなものを扱ってるのに、売り込みの声がほぼない。手作りのアクセサリーとか、わりと高そうな古磁器とか売ってるのに。
ただ、こっちが質問するとみんなめちゃくちゃ語ってくれるので、売っているものへの愛着が強いことも伝わってくる。緩やかなコミュニケーションの中で行われる店員とのやり取りで、急激に精神が回復していく。

ぜんまい式のレトロ時計をゲット

特に目に止まったのは、ぜんまい式のレトロ時計を自ら修理・整備して販売している店。全てがかわいいのでかなり悩んだが、折り畳み式のものを購入。

まだホテルや旅館の客室に、時計が備え付けられることが珍しかった時代の、持ち運び用の置時計らしい。店主いわく、毎日ネジを巻いてやらないといけないのがかわいいとのことで、つい買ってしまった。
同じタイミングで時計を買っていたお客さんはフランスからの旅行者で、時計をフランスに持ち帰るのだ、と明るい顔をしていた。
絵画の即売会では、全く販売品に興味の無さそうな人がどこまでもついてくる。一方で、古道具市では、販売品への愛着がすごい人たちが、特に多くを語るでもなく、お店を開いている。強烈な対比が印象に残った夏の日の午後だった。

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