ベンチャーに「原体験」は必要か。
スタートアップの世界に触れると「原体験」という言葉をよく耳にします。
「私がこのビジネスに至ったのは、〇〇という原体験があったから、、、」
確かに何故その人が上手くいったかを考える時に、何か根源的な理由があるというのは納得できる。
ただ、最近はスタートアップに挑戦する人に「お前の原体験は何だ?」って聞きすぎじゃないかなと。
「原体験」
非常に聞こえのいい言葉ですが、成功者や挑戦中のベンチャーが語る原体験はWhy you?と聞かれた時の、単なる後付けの説明じゃないかなと。
成功や形にした後なら、何ともでも言える「ああ、私のあれが原体験だったんだ」と。ただ、大事なのは同じ「原体験」を持っていたとしても、やり切るかどうか、そういう想いや熱意があるかどうか。そこに至る道筋が見えてていて、実行できるのかどうか、ということであって因果関係までありますかね。
加えて、市場分析は非常に大事です。
自分が課題と思っていることが真なのか、それに纏わるステークホルダーはどうなっているのか、自分がどういうポジショニングをとるべきか、どんなネットワークを広げていくべきか。
プロダクトをつくるのはあくまで表現するためであって、そこに市場があるかどうか、その仮説は真かどうか、規模はどうか、ビジョン到達のため、次の展開どう見定めるべきか、、、どんどん市場に入っていって、誰からも無視できない存在になっていく。その形の一つとして、愛されるプロダクトであったりサービスだったりがあるのかなと。
支援者もそういった出口に繋がる市場情報をきちんと抑えた上で、メンタリングすべきで、偉そうに「君の原体験は何なの?」と聞いている人を私はきっと優秀なメンターとして認めないでしょう。きっと「所謂スタートアップに酔っている人だな」と思い、あらかじめ用意してあった回答を聞かせてあげて、以後は、そういう扱いをするでしょう。
0から始めるスタートアップでまずはじめに大事なのは、きっと市場に切り込むことなんじゃないのかなと。
「知り合いがいないから」「自分なんかが話していいのかな」
そんな遠慮は捨てましょう。あなたが、本当に「この世の中は間違っている」「ここを解決することでもっと世界はよくなる」と信じるなら、どんどん市場のステークホルダーに会い、自分の仮説が正しいかどうかを検証しつつ、最短ルートで、新たな課題を見つけつつ、サービスをぶつけつつ、それをデータ化して、自分なりのアルゴリズムにできた時に、そこは既に新しい市場になっているんじゃないかなと。
「原体験」を求めて内省する前に、どんどん前に進めることも必要かなと。
あなたはこの1週間で何人の新しいステークホルダーに会いましたか?
どんな情報を引き出しましたか?
それは市場においてどういう意味を持ちますか?
その人は市場においてどういうポジションの方ですか?
あなたの仮説は検証されましたか?
その視点をサービスに反映するとすればどのようなやり方が考えられますか?
それは導入する必要がありますか?
情報収集と細かな意思決定。
これが連続的に起こっている状況が、その人の成長を形づくるのかなと思いました。
表面的な言葉でポジショントークして、真剣にチャレンジしたい人の邪魔するのはやめようか。
また、そのつぶやきを真に受けて、それを他の人間に語ることでベンチャーやってる気になるだけはやめようか。
自戒の念も込めて。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?