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2024年楽曲10選

こんにちは、蜷川です。

今年も年末なので楽曲10選をやります。

選出上でのやんわりルールは以下の通りです。

  • フル音源の公開が 2024 年である楽曲

  • アーティストや作家などのクリエイターでの重複は可能な範囲で避ける(努力目標)

アイドルとポップスを主食としているオタクの 10 選、早速やっていきます。

1, Sweet Essence/麻倉もも

作詞:月丘りあ子 作曲・編曲:光増ハジメ

ごちゃごちゃと音を散りばめられながらもその実はドストレートなポップスになっている。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさがある、今年で一番最初に衝撃を受けた曲。
おもちゃ箱というよりファミコンをメインにしたゲーム機かな。曲中に LEGENDS アルセウスで体力が切れたときに鳴るディンって音も鳴るし。

歌詞で地下鉄(メトロ)の話をし始めたらマリオの地下ステージのフレーズをアレンジしたり、「ナニガデルカナ?」のところのメロはかつて放送されていた某お昼の長寿番組でサイコロを転がすときの曲をメロの上下移動を反転させたものを軸としたモチーフを使っていたりと、細かい部分で昭和晩期~平成の Essence も散りばめられていることもあってか、かなり要素が多く散りばめられた曲でありながらもすっきりと飲むことができる不思議なチョコミントドリンクに仕上がっている。

ただこういうギミックをしているということは詞先で作っているのかな?

また、かなり OSTER Project を意識している落ちサビのコーラスワークや、ラスサビ入りの一拍のタメ、基音 hiF が心地よく響くサビメロの作り方など、ボーカルのギミックとしての気持ちよさもモリモリでかなり幸福度が高い。

それにしても麻倉ももさんってかわいいな……。

2. 商売繁盛!元祖電波屋!/でんぱ組.inc

作詞・作曲・編曲:玉屋2060%(Wienners)

現代のアイドル文化において、なぜでんぱ組が行ける伝説なのか、なぜ玉屋2060%が界隈をリードするコンポーザーなのかを曲としてただただ叩きつけられる曲。

こんなゴワゴワした詞や構成なのに、詞中でも言及のある通り玉屋流のヨナ抜きメロディ―が一本太い軸を通している。それにしても、そのメロに信じられないほどハマる「お得意のまくしたてリリック」はどうやって生み出されているんだろう……。

あと、玉屋曲のデザートの部分(ラスサビ後のパート)の哀愁と幸福感がこの曲では特にずば抜けて強い。二回し目から玉屋も入ってくると大団円そのものになってしまう。

今年は Vtuber 方面も結構玉屋曲あったけど、結局はでんぱ組なんだよな。

3. 眩しくて可愛い!/Negicco

作詞・作曲 オオニシレイジ(Nagakumo) 編曲 Nagakumo

アイドルながらその存在自体がもはや一つの音楽レーベルとなりつつある Negicco が Nagakumo とタッグを組んだ曲。

これまでの Negicco もとい connie さんの手の付けてきた範囲的に Nagakumo も来そうだなぁと思っていたら本当に来て横転した。今でもなんだかんだで信じられていないかも。

2Aではラップ調なフレーズやがっつりセリフパートがあるのはこれまでの Nagakumo ではあまりに見なかった方法なので、Nagakumo・オオニシレイジさん側としてもそういったチャレンジの場にもなっているのかな。

オオニシレイジさんは cut(e) vol.2 にも一曲提供していたから、Nagakumo も併せて来年はもっと活動範囲広がる雰囲気を感じている。そうなったら嬉しいな、というエゴでもある。

4. 君とtea for two♡/わーすた

作詞:園田健太郎、作曲:岸田勇気

秋ごろに tiktok でバカバズってた曲。でも自分は夏からちゃんとこの曲はヤバいって言ってたから(儚い主張)。

Aメロはサルサ調でそれ以外はアイカツ!仕草が残る渋谷系の手法で構築されている。間奏部分はそれこそ『Sweet Essence』と同じフレーズを共有している。

それで何が一番すごいかというと、やはりタイトルにもある『Tea For Two』の引用の仕方だろう。実際にメロとして引用されるのは 2A の部分だけではあるのだが、そのメロの輪郭自体はサルサ調のメロで 1A からずっと伏線を貼り続けていた。それで満を持して 2A の二回し目でタイトル回収をするというギミックで構築されている。これまでサルサ調だと思っていたのが実は『Tea For Two』だったのだ、という半ば叙述トリックにも近いカタルシスがこの曲にはある。

それはそれとして、わーすたは相変わらずダンスのクオリティーも高い。4 人で少し小規模寄りとはいえあれだけでのフォーメーションガンガン組み替えるの恐ろしい。マイクの持ち替えも毎度見るたびに綺麗だなぁと感動させられる。

5. 春の風速、桜花を連れて/tipToe.

作詞:本間翔太、作曲・編曲:瀬名航

tipToe. 2 期ラストアルバムの最後の曲。正真正銘の 2 期最後の曲は「春の風速」シリーズで完結を迎えた。

ラストライブも立ち会ったが、この完成度のアイドルが全員卒業してしまうのかという時間の暴力性に圧倒された曲でもある。

1 期と比べて 2 期の一定の意味での垢抜け感が象徴的に描かれているようにも感じる。決して外向的ではないけれど、内に秘めるそれぞれのエネルギッシュさが最後の直線を走り切るようなこの曲に凝縮されているのではないかなという印象。

あと、tip の動きがなくなった瀬名航とジェムカンの動きがなくなった瀬尾祥太郎の両氏については彼らの新たな活躍領域も 2025 年に注目したいポイント。

6. 新世紀ヒットパレード/Appare!

作詞・作曲:田淵智也、編曲:半田 翼

今年の田淵提供曲のトップは『Campus mode!』かなと胡坐をかいていたら、それを上回る剛速球のストレートがちゃんと下半期に飛んできた。

歌詞はほぼほぼ明確に台風の影響で中止になった 8 月の武道館を意識したものになっているが、全体から Appare! の現在のアイドルシーンのトップランナー然たる所以そのものを感じさせてくる。でんぱ組が活動終了となるこれから数年は少なくともこの子たちが界隈引っ張っていくだろうという力量の塊になっている曲。

Guitar:清水"カルロス"宥人
Bass:堀江晶太
Drums:裕木レオン
Strings:真部裕ストリングス

👆この並びも狂おしいほど好き。アレンジ面としてもかなり音数多くて編成としては重めなのに、聴いていてもその重さは残らない爽快感があるのは BPM の妙かつアレンジの手腕を感じる。

7. Shower of light/イルミネーションスターズ

作詞:渡邊亜希子、作曲・編曲:三好啓太

シャニマスの音ゲーの方ことシャニソンで実装された曲。

作編曲は三好啓太であるものの、実態としては「作曲・編曲:三好啓太・ぺのれり」と表記した方がより正確なのだろう。

イルミネーションスターズの楽曲をこれまでもいくつか提供し続けてきたアニソン作家・三好啓太と、キャリアのスタートとして重要な位置づけとなっている音ゲー作家・ぺのれりのそれぞれの良いところが存分に発揮されていて、三好啓太・ぺのれり史としても一つの到達点のような曲になっている。音ゲー側としては『Blessed Rain』の続編のような印象を受ける。

シャニソン内でもこれまでの最高難易度の譜面を詰め込んだボス曲となっており、公式の譜面解説でもいきなり同氏作編曲の芹沢あさひ『星をめざして』を引き合いに出すなど、ぺのれりの名前は出せないけど音ゲー好きとしては興奮が隠せない様子が伺えた。

イルミネに三好啓太が付いているのはまあ王道感を感じていたけれど、ぺのれりが付いていると解釈するとそれはまさに光そのものであるとなぜ気づかなかったのだろうと後悔をするレベルに圧倒的かつ支配的な曲になっているのでオススメ。サブスクは来年に入ってからだろうけど音源を今のうちに購入する価値は十分にある。

8. 光景/篠澤広

作詞・作曲・編曲:長谷川白紙

細かいことは以下の記事にて。

長谷川白紙の色も十分に出ているが、ブラジルの音楽をそれとなく追い続けている身としては Arthur Verocai がストリングスとホーンセクションのアレンジに入っていることに仰天。いつ考えてもどのような経緯でこの布陣になったのかが気になる。歌いだしがポルトガル語っぽい発音に寄せられていたりなど、歌唱面からもその領域へのアプローチをしているようにも映り、曲のまとまりとしても統一感がある。

前述の『Shower of light』と同様に、しかしまた違う方法で空間そのものを鳴らすような衝撃的な楽曲となっていた。

9. アバンチュールしたくない?(feat. わかばやし & みょみょ)/ハマダコウキと駄菓子O型

作詞・作曲・編曲:ハマダコウキ、駄菓子O型

ハマダコウキが主宰する「カワイイカッティング」を掲げたコンピ CD 企画 cut(e) の vol.2 を締めくくる曲。

アニソン派のコンペ企画に持ち込んだ曲を駄菓子O型との魔改造により大化けした結果この形となった。先日の本楽曲が収録された曲を振り返るトークイベントに参加した際にも元の曲を聴いたが、転調などのみならずキーの選択などからもかなりの垢抜けを感じさせられた。

vol.1、vol.2 それぞれ錚々たるメンバーが集結しているアルバムとなっているが、その CD の中での大団円の演出としてもこれ以上ない役割を主宰自ら全うしているのも好きなポイント。

2023年が「ヒロガリズム」によるホップ、今年が今年はハマダコウキ、小林ファンキ風格両氏の結婚報告もあったステップ、来年以降にさらに活躍するジャンプの時期が続くことに期待したい。

10. てにをは/sabio feat. 重音テト

作詞・作曲・編曲:sabio/高村風太

sabio/高村風太 ← 間違いなく 2024 年の優勝者。

どこかで見たことある名前だなと思ったら、以前「Hi Cheers!」というバンドで活動していたぷらそにか出身の方だった(何度かお目当ての対バンでちらっと覗いたことがあった)。

当時から気づいていればよかったのだが、ここまで J-POP の真髄をそのまま大きなスケールで表現できる人が令和の時代にいることに感服。

圧倒されまくりです。

今年発表した曲のなかでも『どうせ、狂ったよのなかだ。』や『おはなしは続く』とも悩んだが、迷った末に一番聴いていた回数が多かった『てにをは』を選出。

J-POP の骨子として支えている R&B のグルーヴ感の存在意義を強く感じる上に、何よりポップスの存在意義としての「愛を歌う」ことに純粋であることが好みでしかない。

メロディ―の作り方からオケの変遷も含めて、構造的な異形さがないながらものすごくドラマチックな仕上がりになっているのはこの J-POP への解像度の高さによってなせる業なのだろう。

この曲で何よりいいと思うのは、やはり思わず口ずさみたくなるようなメロディ―だろう。ここ 5 年ぐらいのコード進行偏重傾向に逆らうように、純粋にメロディーの良さで勝負できるのは sabio 氏の一番の強みだと感じる。

今年は『水の記憶 / 甲斐田晴』のリリースもあり、来年以降の活躍にも期待が膨らむばかりである。


以上、今年もアイドルとポップスだらけの 10 曲でした。

良いお年を~。

🐚

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蜷川
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