学校運営のためのチャットプラットフォームの導入について
学校法人角川ドワンゴ学園のIT戦略部長をしている吉村総一郎(@sifue)です。
この新型コロナウイルスの緊急事態宣言の中でZoomやGoogle Meets、Microsoft Teamsなどのビデオチャット会議やリモート授業がもてはやされていますが、長時間にわたるビデオチャット会議やインターネット回線品質の問題からくるトラブルに悩まされてはいないでしょうか?
学校法人角川ドワンゴ学園では、ネットを駆使した未来の学校を運営すべく、リモートでの働き方にも力をいれていますが、その仕事の進め方において最も活躍しているプラットフォームはチャットです。
なぜチャットがビデオチャットよりも優れているのか?
緊急的な意思決定や全体へのアナウンスなど、全員が安定したインターネット回線がない状況などである場合にこのチャットのプラットフォームは大きな力を発揮します。
Zoomなどのビデオチャットの会議は、
・相手の顔が見え、声が聞こえることで得られる情報がある
・言葉の足りない部分をうまく会話で補完できる
などのメリットはありますが、逆に
・長時間を個人の時間をロックしてしまう
・会議の時間を合わせることができない
・良い品質のインターネット回線がないと逆に効率が下がる
などのデメリットも存在しています。
現状の環境ではこれらのデメリットは起こりがちです。もちろんビデオチャットを通じた対面のやり取りはとてもリアルコミュニケーションに近いためやりやすいという側面はありますが、インターネットを駆使した仕事のやりかたの中心は非同期のテキストのチャットである方が圧倒的にアドバンテージがあります。
なぜメールじゃダメなのか?
(Slackのサイトより転載)
既にメールがあるんだから良いじゃないか?という話はあります。メールではどうしても会話の行き来に時間がかかってしまうほか、メールの文頭の枕言葉など余計なものが必要となってしまいます。
またチャットプラットフォームでは、「チャンネル」という概念があり、これは仕事のジャンルによって会話を分けるということが可能です。一つのメールの返信の中に多種多様な会話がされてなかなか状況を把握できないというものを、それぞれ「チャンネル」ごとに話題を分けて議論を整理することが可能です。職員向けのチャンネルで言うと #本校事務 や #n高留学関連 のようなものになります。
大量のメールの中から欲しい情報を拾上げるのに苦労されていることも多いのではないかと思います。殆どのチャットプラットフォーム上では、特定のメッセージをお気に入りにしたり、ピン機能のようなもので参加者全員に対して検索性を高めておくことができます。
オススメのチャットプラットフォームはSlack
学校法人角川ドワンゴ学園では、教職員向けにチャットのプラットフォームであるSlack(スラック)を利用しています。
Slackは無料では1万件までのメッセージ検索しかできないという制約はあるものの、とりあえず無料で利用することが可能です。
メッセージ履歴の永久的な保存や検索を求める場合には、1人あたり月額850円となるスタンダードプランをおすすめします。スタンダードプランのSlackは特にG Suiteなどとのシングルサインオン連携の相性が良く、既にG Suite for EducationなどでGoogleアカウントを学内で運用している場合、アカウント管理が楽になります。
ただしとりあえず組織で使ってみるというのであれば、無料での導入で十分なのではないかと思います。これは使えそう、と判断した時点でスタンダードプランの導入に踏み切るのが良いでしょう。
Slack以外の、チャンネルという概念を持つビジネス用途向けのチャットプラットフォームとなると、現在日本でよく利用されるものには、
・チャットワーク (無料版有り/組織向け月額600円~)
・Microsoft teams (無料版有り/組織向け月額540円~)
以上の2種類が存在します。
チャットワークは日本の企業であるという安心感があり、Slackの次に様々なクラウドプラットフォームとの連携ができます。またG SuiteのアカウントやOffice365との連携も可能です。
一方、Microsoft teamsはOffice 365などのMicrosoftのクラウドサービスを利用している場合、これらとの連携が良い他、アカウント管理もMicrosoftで一括で行えるというメリットがあります。
学校法人では、G SuiteのGoogleアカウントとの相性の良さ、加えて、とにかく様々なアプリケーションとの連携が行いやすく、管理機能が充実しているという点からSlackが利用されています。
チャットを学校運営に導入した際にオススメの運営ルール
そして、もしチャットを使う働き方を教職員の導入をした際にお勧めのリモートワーク活用方法は、
・顔写真と氏名の設定を徹底すること
・1日の最初に、やる仕事の業務報告を行うこと
・チャンネル名には接頭語を付けること (#教職員_交流 、#教職員_質問 など)
・雑談を重要視して頻繁にコミュニケーションをとること
です。
顔写真と氏名の設定は、特にチャットに慣れていないメンバーが多い場合に有効です。これが徹底されていると多くの教職員が安心してチャットを利用できます。そのため、導入者の方はこれを必ず徹底させましょう。
そして次が、1日の仕事の業務報告です。可能ならば校務分掌、学年、科目など仕事を行う管理職がいるチームにてチャンネルを作成し、そこでかならず1日の最初にやる仕事を報告するようにしましょう。そうすることで仕事をしている連帯感や安心感が生まれます。
チャンネルに接頭語を付ける件は、そうすることでチャンネルが何を指すのかわかりやすくなるというメリットがあります。またSlackではデフォルトでチャンネルは名前順に並ぶため、接頭語があると便利です。
そして最後の雑談チャンネルですが、リモートワークでは孤独を感じやすく、また、仕事上関わらない人間との信頼関係が築きにくいという問題があります。雑談チャンネルはこれらを解消してくれる重要なピースです。雑談チャンネルを作り、導入者が頻繁に話題振りを行ったり、必要があればテーマを持った雑談チャンネルを作るとよいでしょう。チーム専用のプライベートな雑談チャンネルもおすすめです。なお角川ドワンゴ学園では、 #焼肉部 や #みんなのカレー など、個性豊かな雑談チャンネルがあります。
最後に
今まで学校運営にチャットプラットフォームが必要であることなど、想像がつかなかったかもしれません。現に、ネットの高校であるN高等学校でも通学コース職員は特に、チャットと実際のオペレーションのバランスを取れるようになるのは非常に時間がかかりました。しかし、リモートワークが中心となっている今の状況ではチャットを中心とした働き方は、非常に効率の高い働き方となりました。
ぜひ学校の校長や組織のIT担当者と協力して、チャットを使った働き方の導入と効率化を目指してみるのはどうでしょうか。
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