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人外縛りプレイで実感した。『ユニコーンオーバーロード』は至高のSRPGだと

コンセプトは「獣人と弓兵」「暗黒騎士団」「エルフと森の獣」「ダークエルフ部隊」

 先週から引き続き『ユニコーンオーバーロード』をプレイしています。ついに獣人の国バストリアスを踏破。おかげさまで獅子、梟、狐、狼、熊の獣人たちが続々と仲間になり、当初から目標に掲げていた「人外のみで全ユニットを構成する」がようやく実現しました。こうして並べてみるとビジュアルが良すぎて最高ですね。ふふっ、寝る間も惜しんでバランス調整した甲斐があったぜ……

 で、この"人外縛りプレイ"を通じて改めて「恐ろしいほど洗練されたゲームデザインだなこれ……」と実感しまして。さらにずぶずぶと沼に浸かることになりました。ちょうど一区切りついたところなので、得られた気づきをまとてみます。

 縛りプレイと言っても「広義的には馬も人外に含まれるので騎馬兵も可」「獣人に育てられたユニフィは特例として可」くらいのゆるっとした制限です。それでもいくつか難所があり、だからこそ工夫を凝らしてそれを突破するのが楽しい。よければ酒の肴にでもどうぞ。



人外縛りの難所――「回復力が足りない」「弓兵・重装に弱い」

 人外縛りなので「馬やドラゴンに騎乗している」「亜人(獣人・エルフ・有翼人)」以外のクラスは使えません。これがまあまあキツい。具体例を3つ挙げてみます。

①ヒーラー役であるビショップ・ハイプリーステスが使えない

 回復がきちぃぜ。戦闘面ではある程度までカバーできます。セイントナイトとエルフシビュラ(エルトリンデ)は即時列回復が可能。エイドキットを装備させればファーストエイド(戦闘終了時に単体回復)が誰でも使えるし、エルフアーチャーはクイックヒール(味方被弾時に単体回復)を習得できる修道士の聖帽が装備可能。

 しかし問題は戦闘時以外。フィールドにいる時。

 回復できるブレイブスキルは2つのみ。加えて戦闘不能から復帰させることが不可能。味方が一人だけ体力を大きく削られたり、倒れたりするだけでも立て直しに手間取ります。他にも、たとえばうっかり弓兵の射程に入っちゃって飛行系ユニットが半壊した場合、アイテムを大量に消費しないと立て直すことができない。リザレクトオーブは意外と単価が高いので軍資金が圧迫されます。

 見張り台に立つ弓兵を妨害できれば話は簡単なのですが――


②アシスト攻撃やブレイブスキルを妨害できるシールドシューターが使えない

 発見とアシスト攻撃をスモークボルトで妨害できるシールドシューターは使えません。ワーウルフのハイド(隠密)を使えば搔い潜ることはできそうだけど。あれ戦闘したら解除されちゃうもんな。

赤丸で囲んだのが弓兵に弱い味方。アレイン隊以外は2名ずついます。

 また、人外縛りでは飛行系や回避頼りの味方の採用数が必然的に多くなるので、全体的に弓兵に弱いです。弓兵からアシスト攻撃を受けたり、スキルを撃たれたりするだけでユニットが壊滅する事故が多発。なので弓兵は親の仇のごとく憎んでいます。視界に入った瞬間「殺せええええ❗❗💢」と殺意がみなぎる身体になりました。アレイン隊(ムキムキ騎馬兵隊)を直ちに向かわせて瞬殺しています。

 エルフェンサーのシルフィードバリア(遠隔物理回避)がありますが、残念ながら必中攻撃には無力。ヴァンガードのアローカバー(遠隔物理無効ガード)が神スキルに見える。

 それから弓兵の他にも苦手な組み合わせがあります。


③重装に強いヴァルキュリア、ブレイカー、ソーサレスが使えない

この模擬戦で互角以上になれるかが合格ライン。良いスパーリング相手でした。

 バストリアス終盤で登場する重装×3、セイントナイト×2の並びがマジできっっっつい。「ダークエルフ(ロザリンデとイシリオン)は魔法攻撃主体だから重装にはクソ強いやろ~」と余裕こいてたら、ラインバリア(列に魔法無効付与)を二度も展開されて0ダメージを連発。戦闘終了時にライフブロウ(HP分のダメージ付与)でぶん殴られました。現在は騎馬特効を持つグリフォンルーラーの列攻撃を採用することで対策。善戦できるようになりました。

重装ガード貫通&防御無視持ち2人、魔法攻撃持ち2人の編成

 こういう重装絶対殺すウーマンみたいな部隊をひとつ置いとけば楽になりますかね。余談ですが、人外縛りでなければヤーナに指輪を渡していたと思います。あと声優さんを知って驚くと同時に「ほんまやよく聞いたら悠木碧ネキや……」ってなりました。ショタも正統派ヒロインもお姉さんも演じ分けられる多才なお方ですね。

 次の舞台は有翼人たちが住むアルビオン教国。なので有翼人部隊を作る予定です。でも飛行系だから弓兵に弱いのは確実だし、重装にも強くなさそう。「弓兵・重装に弱い」という弱点はますます顕著になる。さらなる対策が必要になりそう。うーむ……


「多様な尊厳を認め合う力」を地で行くゲームデザイン

 ここまで獣人縛りプレイにおける難所を述べてきました。裏を返せば、兵種や種族を幅広く採用することで、弱点を少なくすることができるし、より柔軟な戦い方ができる。回復スキル持ちはいるだけで便利。弓兵や重装に強いクラスも採用できる。

 この仕組みはSRPGとしてはごく当然のことではあるのですが。よくできているなあと。なぜなら本作は「大陸諸国の多様な民族と共に手を取り合い、帝国に反旗を翻す」という物語だからです。各国が散り散りになって戦うだけでは勝てない。民族の垣根を超えて共闘することで、初めて勝利が見えてくる――それが戦闘システムとして見事に昇華されている証拠だなと。

「ガレリウスを倒し世を平和にするには 多様な尊厳を認め合う力が必要になる」
「この乱世をここまで生き延びてきた しぶといの力を俺に貸してくれ」

 私のここすきポイントはアレインのこの台詞。この場面ではあくまでも人間どうしの会話であり、「鼠の歯も噛まれれば痛いと教えてやる」というブリスの発言に対する返しでした。しかし後に、バストリアス編で最後の敵として立ちはだかるエルゴールは族であることが判明する。

 エルゴールは死に際、「作りたかったんだ…国を… 隠れ暮らしている仲間を集めて…」「こそこそ這いまわることなく 誰もが…堂々と生きられる国を…」と言い残した。鼠族は文字通りの意味で、ゼノイラ帝国の実験用マウスにされていた。彼と出会う前から「鼠の力を俺に貸してくれ」と発言していたアレインのことだ。エルゴールの遺志は今後とも受け継がれていくことだろう。

指輪を渡しました。夢女子化が捗るヒロインにすぐ惚れちゃうね、あたいはね……

 アレインが言う「多様な尊厳を認め合う力」は、メインストーリーだけでなく親密度会話にも表れている。たとえば狐獣人のダイナ。彼女は人間に虐げられてきた過去をよく語る。ロルフには面と向かって「私はバストリアスの外から来た猟師は嫌いなんだ 野蛮で動物の命をなんとも思ってない奴ばっかりだったからね」とはっきり言ってのける。

 しかしロルフは誠実に回答。「確かに親父は命を粗末にする猟師だった。親父のようになりたくないからこそ俺は猟師になった。命を頂くことを自覚し感謝するために」という旨。ダイナはその思いをしかと受け止めて謝罪。獣人と猟師。相容れぬ存在が互いに信念を語り、そして打ち解け合う。まさに「多様な尊厳を認め合う力」が表れている場面だ。

熊、兎、山羊、猫

 システムやテキストだけでなくグラフィックにも。そもそもメインキャラの総数がとんでもないことになっていますが、モブキャラの種類も充実。バストリアスでは容貌も体格もまったく異なるモブ獣人たちが続々と登場。他の地域でも多様性に富んだ住民たちを見ることができます。彼らを守り、そして共に戦い抜くのが『ユニコーンオーバーロード』の物語だ。

 ……改めて2Dグラフィックの作り込みが常軌を逸してますね。さすが『十三機兵防衛圏』を生み出したアトラス×バニラウェアや。


自由な遊び方を担保してくれる設計

 かといって物語の根幹を担う思想を元に「だから絶対に色んなクラス使うんやで!」と、プレイヤーに不自由なゲーム体験を強要しすぎる設計だと面白くない。しかしそこはご安心。私のような獣人縛りプレイをする重症患者でも楽しめる、「プレイヤーの自由な遊び方」を担保してくれる要素が満載でした。

 以下、私がラモーナ隊を完成させるまでに至った経緯をまとめてみます。

「だから、またいつでも お母さんと呼んでいいんですよ」

 モラードとユニフィ。そして二人を母親のように見守るラモーナ。やっぱりこの三人は同じ部隊に入れてあげたい。そして回復・デバフ解除役としてリナラゴス(エルフアーチャー)を採用。ユニフィとは同じ弓兵、かつ種族を越えたおにロリ感があってとても良い。一番気に入ってる部隊です。

 見た目だけではなく性能も納得できるまで調整。ユニフィの回避盾+トリプルカウンターがメインギミック。追撃のイヤリングを装備し、リナラゴスのミスティックセイバーを付与。ラモーナのレストアでPP回復。ユニフィが攻撃を回避する度に物理威力140・魔法威力50の3体同時攻撃が炸裂。その後はHP100%時にバフが乗るモラードに追撃してもらいます。

 しかし「最強の部隊が完成しちまったなァ~❗❓」とうっきうきの気分でいざ実戦投入してみると、必中攻撃持ち・命中率が高い相手に死ぬほど弱いことが判明。ラモーナが狙撃されて倒れる、ユニフィがソードマスターの確定連撃で倒れるなど、初動時点で戦略が崩壊する事故が多発しました。

 それならこの弱点を補うことができるもうひとりの味方が必要。シルフィードバリア(遠隔物理回避)を持つダークエルフの採用を考えましたが、できれば「獣人と弓兵」というコンセンプトは維持したい。そこで思いついたのが――

 従騎士の大盾でクイックカバーを習得させたベルトラン(ワーベア)の採用。弓兵に狙われた時、ユニフィやラモーナが負傷している時にこのスキルが発動するように調整。苦手な攻撃をかばってもらいます。リナラゴスでは回復力が足りないので、HP吸収攻撃ができるブラッドアックスを装備+ナイトレスト。ある程度は自前でHPが回復できるようにしています。

 ベルトランを採用したおかげである程度は弱点を克服し、安定するようになりました。あとはラモーナに保険としてリザレクション(戦闘不能回復)習得の杖を装備。

 ここまでの流れをざっくりまとめると、

①こういう部隊を作りたい!(動機づけ)

②でもこの編成だとこういう弱点が生まれるな……(障害物の設置)

③スキルをこうセットすれば、これを装備すれば、この味方を加えれば突破できるんじゃね!?(試行錯誤する余地の提供)

 こんな感じ。現在作成した5部隊はいずれもこの流れでした。装備品による多種多様なスキル習得、スキル発動条件の細かい調整ができるおかげで、プレイヤーが部隊を自分好みにデザインし、そして試行錯誤して障害を乗り越える余地が大いにある。

 何というかこう、「容易に諦めさせてくれない」んですよね。私はそこまでコアなゲーマーではないので、普段は縛りプレイはしません。ともすれば本作も縛りなんかどうでもよくなって、通常プレイに戻っていたかもしれません。しかし「これを装備すればいけんじゃね……?」「スキル発動条件をこう設定すればいけんじゃね……?」と、無限の可能性を抱かせてくれます。

 SRPGは『ファイアーエムブレム』くらいしか経験がない私を、連日のようにド深夜までパーティー調整に向かわせてくれるのですから、やはり相当ななものではないでしょうか。物語の骨子となる「多様な尊厳を認め合う力」の表現と、「プレイヤーの自由な遊び方」を担保してくれる懐の広さが、絶妙にマッチにしている。まさに至高のSRPG。シナリオ重視のオタクとして、そしてゲームを遊ぶひとりのプレイヤーとして、素晴らしい作品に巡り合えたなって思います。布教していきたいですね。あと他の方々がどういう編成を組んだのか気になってしょうがない。クリアしたら皆さんのnote記事読みにいきますね。

モラードとユニフィ(獣人と少女)はテンプレながらも最高のマリアージュでした。ありがとうございます。

 そんなこんなで、このままクリアまで突っ走りたいところですが……生活のあらゆるものを犠牲にしてのめり込んでしまっているので、休養を取ります。面白いけど恐ろしいゲームだよほんと。生活習慣を取り戻します。早めに寝ます。ご飯もしっかり食べます。読書します。遅ればせながら『マッドマックス:フュリオサ』と『ブルーアーカイブ』対策委員会編第3章Part2も観ます。

 そういえば、獣人繋がりで言うと『ばいばい、アース』のアニメ化がつい昨日発表されましたね。今ァ❗❓ 令和のこの時代にィ❗❓ うっわ懐かしいな……10年前、冲方先生の小説にドハマりしていた時に読みまして。大人になってからも再読したくらいには大好きな作品です。現代の映像作品としてどう蘇るのか楽しみ。それではまたどこかで。