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シーズン到来!東方三賢者に変な人形・・スペインの長すぎるクリスマス

12月!クリスマスシーズン到来です。

スペインはカトリックの国なので、クリスマスは誰もが待ち望んでいる時期。街中がイルミネーションで飾られ、みんなどこか楽しそう。長期休暇もやって来ます。

以前、スペインのクリスマスには宝くじが欠かせないという記事を投稿しました。これも一風変わっていますが、実はスペインのクリスマスは他にも他国や日本と異なる習慣がたくさんあります。

そこで今回は、スペイン流クリスマスの過ごし方についてご紹介します!バモス!

1月6日までがクリスマス

きらびやかなクリスマス!

クリスマスといえば12月24日のイブと、12月25日のクリスマス当日が普通です。

多くの国でこの日にお祝いをし、25日が過ぎればあとは年明けを待つだけ。日本は特に顕著で、26日以降はどこも一気にお正月の雰囲気になりますよね。

しかし、スペインのクリスマスは12月25日で終わらない。なんと1月6日まで続き、しかも一番盛り上がる日が年明けの1月5日と6日!特に子どもたちはこの日が待ち遠しくて仕方ありません。

1月6日まではクリスマスマーケットもオープンしていますし、イルミネーションも健在。年が明ければ新年のお祝いする言葉は飛び交うのに、街の雰囲気はクリスマスというなんとも不思議な光景が見られます。

スペインのクリスマス〜年越し

1ヶ月以上こんな感じ

スペインのクリスマス本番は12月21日〜1月6日まで。学校はこの期間はお休みになり、職種によってはクリスマス休暇を取ります。

家族と過ごすNoche buenaノチェ ブエナ

胃は休まらない

12月24日、クリスマスイブはNoche buenaノチェ ブエナと呼ばれとても重要な一日。

日本ではクリスマスイブは恋人と過ごす方が多いですが、スペインでは家族で過ごすのが普通です。家族、親戚と集まりご馳走を食べ、お酒を飲み楽しく過ごします。

仕事はお昼で切り上げ、家で夜のパーティーの準備に励みます。日本のようにローストチキンを食べる!といった定番のお料理はなく、それぞれの家庭で料理に腕をふるいます。

私のホームステイしていた家庭では、生ハムやチョリソー、チーズなどの前菜から始まりサラダ、スープ、シーフードの煮込み料理、お肉のソテー、そしてクリスマスのおやつであるトゥロン、ポルボロンとあらゆるご馳走が並びました。お酒ももちろん!

いつもより少し早い20時頃から豪華な夕食が始まり、夜9時になると国王のスピーチが始まりみんなで見ることも。カトリックの国らしく、12時からミサに出かける人もいます。

街から人が消えるNavidadナビダ

クリスマス当日はNavidadナビダと呼ばれる祝日になります。

スーパーや飲食店はほとんどやっておらず、この日に買い物や外食をするのは至難の業。まれに開いているスーパーや飲食店もありますが、本当に一握りです。

観光地も、美術館もお休みです。観光に出かけたら、この日は少しつまらない日になること間違いなし。食事は事前に調達しておきましょう。

街もいつものように人で溢れておらず、特に小さな街では「スペイン人どこ行った!?」という感じ。みんな昼から家族や親戚の待つ家路を急ぐばかりで、のんびりベンチに座ることもしません。

この日も家族や親族と一緒に昼から食べて、飲んでのパーティーが開催されます。前日もお腹いっぱい食べて消化しきれていない中、次のお料理を食べるというボディビルの修行のような生活を送ります。

12月26日からは人によってはお仕事に。スーパーや観光地も普通通りオープンされ、街には活気が戻ります。

Noche Viejaノチェ ビエハはお祭り騒ぎ

朝までフィエスタです

12月24、25日はお休みをして26日から30までは平日。31日はまたしてもお昼ごろまで仕事をして、夜は街もパーティー状態です。年越しはカトリックとは関係のない行事なので、家族ではなく友人や恋人と過ごす人も多くいます。

ちょうど年を超す12時頃になると街の広場という広場に人々が集結!カウントダウンに爆竹、花火と大騒ぎです。そして特徴的なのが「年越しぶどう」!

日本では年越しそばを食べますが、スペインは年越しぶどう。年を超す瞬間に鐘の音に合わせて全部で12粒のぶどうを食べます。

Doce Uvasドセ ウバスと呼ばれる習慣で、3秒に一度鳴らされる鐘に合わせてぶどうをお口へ。鐘が鳴り終わるまでに全部食べられたら幸せになれるのだとか。

この習慣は、ぶどうが豊作だった年に消費を狙って広まったものだとされています。ぶどう農家によって意図的に広められたもののようですが、今ではすっかり文化として定着。スペイン全土で行われます。

年を越したら¡Feliz Año!フェリス アニョの言葉とともに周囲の人たちにハグとキス。誰彼構わず一緒に新年を祝います。

若者たちは広場で新年を祝った後、ディスコテカへ繰り出し夜遊び。朝まで帰れません。そして1月1日は酔い覚ましとして1日のんびり過ごし、1月2日からは通常通りです。

クライマックスは1月6日

お正月もまだクリスマス

スペインにお正月休みは存在せず、1月2日からは通常通りの生活です。観光地もスーパーも飲食店も普通に営業しているので旅行中も安心!

お正月休みがないなんてちょっと寂しい気もしますが、彼らには夏のバケーションがあるので大丈夫。日本のようにみんなで同じ時期に休む訳ではないので、交通機関が混雑して不便なんてこともありません。

1月2日から1月5日までは通常通りですが1月6日は再び祝日が。そしてこの日がスペインのクリスマスのフィナーレです。

東方三賢者の日

大事な東方三賢者

1月6日はLos Reyes Magosロス レジェス マゴスの日。「東方三賢者の日」として古くから続く祝日です。

東方三賢者とは新約聖書に登場するメルチョール、ガスパール、バルタサールのこと。スペインより東から来た占星術師で、イエス・キリストの誕生時に合わせてたくさんの贈り物を持って現れたとされています。

スペインでは1月5日〜1月6日の夜にかけて東方三賢者のパレードが盛大に行われ、街を闊歩しながら飴を配ります。

三賢者が乗ってきたとされるラクダを模した山車の上から飴が配られ、子どもたちが大騒ぎ。スペインの子どもたちはではサンタクロースではなく、東方三賢者がプレゼントを持ってきてくれると信じているのでこの日を一番楽しみにしています。

Papa Noelパパ ノエルと呼ばれるサンタクロースもいるにはいますが、スペインには後から伝わった文化。東方三賢者の方が慣れ親しまれています。最近は12月24日と1月6日の2回、プレゼントがもらえるのだとか。お得ですね!

欠かせないRoscon de los Reyesロスコン デ レジェス

生クリームをサンドしたものも

12月24,25のクリスマスには特に定番の食べ物はありませんが、1月6日にはRoscon de los Reyesロスコン デ レジェスと呼ばれるリング型のケーキが食べられます。

オレンジやチェリーなどが飾られた色とりどりのかわいいケーキのロスコン。その中には陶器でできた小さな人形と、そら豆が一粒隠されています。

家族でロスコンを切り分けて食べるのですが、陶器の人形が当たれば一日王様に認定!逆にそら豆が当たればロスコンの金額を支払わなければならないという風習があります。

もともとそら豆は幸運の象徴とされていましたが、歴史を重ねていくうちに金貨に代わり、いつしか陶器の人形に。そしてそら豆は「ハズレ」として再びロスコンに加えられるようになったのだとか。

ちなみにロスコンはスーパーやケーキ屋さんで販売されますが、だいたい20ユーロ(約3200円)から40ユーロ(6400円)くらいの価格帯。安くないのでできれば当たりたくない。でもま、お年玉に比べれば安いものですね。

1月6日でスペインのクリスマスは終わり。イルミネーション類は撤去され、ちょっと寂しい雰囲気と共に日常生活に戻ります。

カタルーニャのウンチ人形

以上が一般的なクリスマスの過ごし方ですが、カタルーニャ地方にはノチェ・ブエナに行われるさらに変わった行事が。

バルセロナに出かけてみると、あちこちで「ウンチをする人形」を見かけます。芸術の街であるバルセロナで一見信じがたい光景ですが、これが本当にどこにでもある。

名のある芸術家、政治家、サッカー選手、俳優さんなどなんでもかんでもモチーフとなり犠牲となるこのウンチ人形、その名もCaganerカガネルと言います。

cagarカガールはスペイン語で「ウンチをする」という意味の動詞です。名前もそのままですね。ウンチ人形。カタルーニャでは豊穣と幸運を祈り、クリスマスには欠かせない人形なんです。

ウンチ=プレゼント!?

こちらがカガティオです

このカガネルは、カタルーニャのクリスマス文化から派生したもの。

カタルーニャではクリスマスが近くなると、このカガネルと共にEl tió de Nadalエル ティオ デ ナダルと呼ばれる丸太に顔の付いた人形が部屋に飾られます。

カタルーニャの子どもたちはこのティオに布をかけ、食べ物を飾り、24日まで甲斐甲斐しくお世話を続けます。そして24日の夜、

Caga Tióカガ ティオ♪(ウンチして、おじさん♪)

と言いながら人形を叩く。するとその木のお尻からプレゼントが届く、というわけ!

かなり変わっていますね。私も最初に聞いた時、冗談で言っているのだと思いました。「嘘やろ?」と聞いたら「いや、本当だよ」とちょっと怒られた思い出。

食べ物をあげればあげるほどティオが良いウンチをすると信じられており、子どもたちはフルーツやクッキーなど美味しいものを山程ティオに食べさせるのだとか。それもこれも全部良いウンチをしてもらうため。

ふざけた人形のように見えるカガネルも、カタルーニャのクリスマスを彩る大切な文化なのです。

少し変わったスペインのクリスマス

歩くだけでウキウキします

ながーいスペインのクリスマス。今年は年末年始で大きな連休があるので、初めてスペインに出かけられるという方も多いでしょう。

きらびやかなイルミネーションで飾られたスペインの街は、これぞヨーロッパのクリスマス!という感じで期待を裏切りません。観光地やスーパーが閉まってしまうので、それだけ気をつければ快適で特別な時間を過ごせます。

ぜひ、クリスマスで浮足立ったスペインを楽しんでくださいね。ロスコンも忘れずに!バルセロナを訪れる方はカガネルをお土産にどうぞ!

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