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精神と時の旅
2018年、私は日本各地を旅した。
北海道、青森、岩手、京都、鹿児島、熊本、大分、沖縄。
ひとりの時もあったし、2-3人の友人と連れ立って行ったこともあった。
有難いことにこの年は、マイペースに仕事をさせてもらえる現場が多くて好きに休みを取らせてもらえた。
なぜこんなに旅をしたのか。
31歳の私は、改めて自分の幸せって何だっけ?と問わざるを得ない状況にあった。
初めて東京を出て単身赴任。言っていることが支離滅裂になるほど働き自分の限界を知ることになった現場での仕事。東京に戻りふと気づくパートナーと自分との価値観の違いの数々。
要因は多数あるだろうけれど、現状に耐え切れなくなって頼み込んだ別居。
なかなかヘビーな29-30歳を駆け抜けた。
一人暮らしをしていたし現場もほぼ一人のプロジェクトだったので、東京にいながら考えようと思えばできる環境だった。
でも気づいたら、お客さんの社食でポロポロ涙を流したり、懺悔やら怨念やらが込められた文章をひたすらノートに書き溜めたり、以前とは比較にならないくらい派手に遊びお金を使った。
こんな日々を過ごす中で身体も心も重い感じがしてふと直感から自然の力を借りてみようと思い、2018年の年始から旅を開始した。
熊本では、運転手さんと二人きりの一両の電車に乗って、しんしんと降りつづく雪と山々を車窓から眺めていた。
岩手では、GWだというのに2-3人しかすれ違うことがない湯瀬渓谷を歩きながら太陽に照らされて透き通る木々を下からのぞき込んだり水面が煌めく川を写真に収めていた。
青森の十和田湖の湖畔にあるクラシックなホテルに泊まり、庭のベンチに腰掛けて静かな湖を見ていた。
沖縄では台風に見舞われて、友人と1日中ただ何もすることなく話続ける時間を過ごした。台風一過の翌日は真っ青な海を目に焼き付けた。
北海道のどこまでも続く畑の間や長い坂道を初心者ドライバーの運転で少しドキドキしながら通り抜けていった。ドライブの最終地点となった海辺で登り龍のような雲と共に二重にかかる虹を拝むことができた。
友人たちの助けも借りながら日本各地を巡っていくにつれて、だんだん憑き物が取れて背中や肩が軽くなっていき、前に進むための元気が湧いてきた。
実際、旅先で「自分の幸せって何だっけ?」と問い続けることはなく、旅を心から堪能していた。
でもだからこそ、だんだん精神が落ち着いてきて今という時間に向き合うことができたのだと思う。
過去に終止符を打ち、未来へ進むための準備。
今思うと
2018年の旅は、何者かにお膳立てをしてもらっていて旅することが決まっていたように感じる。旅仲間も時間もお金もパンデミック前というタイミングも全ての条件がバチっと揃っていた。
旅がなかったら未来の自分(つまり今)はない。
本当に有難い旅だった。