シャワーの戦いから降りる
銀座にあったホットヨガ教室では、シャワーが10台ほど完備されていてレッスンが終わるとシャワーを浴びて帰ることができた。
ただ曜日・時間帯によっては長蛇の列になってしまうので、レッスンが終わった途端に足早にスタジオから出ていく人が多かった。
最初は後に続けとばかりに足早に出ていき、真面目に列に並んでいた。
いきなり起き上がると、血流が一気に下に流れることでクラクラする体質だったので、シャワーの戦いにはそもそも向いていなかった。
レッスンの最後はシャバーサナ(屍のポーズ)というお休みのポーズを取ることになっていて、先生はしきりに「休みたい方はこのまま休んでOKです」と言ってくれていた。
ある時、ふとその言葉に気づき、そのままシャバーサナを続けててみた。
レッスン中はスタジオの扉はほぼ締め切っているが、終わると扉が開いて涼しい風が入ってくる。身体は熱がこもっているので風が心地良く、戦士たちが出ていくと静かな時間が流れる。
今日も最後までやり切り、たくさん汗をかいたという達成感。
丁度よい疲労感と脱力感。
15分くらい経っただろうか。
そろりそろりと次のレッスンの人たちが入ってきたので、ゆるりと起き上がりシャワー室へ向かった。
並んでいない。後ろに人がいないからマイペースに汗を洗い流すことができた。次のレッスンの人はもうスタジオにいるから、更衣室の出入りも激しくない。
シャワーの戦いから降りてからは、
シャバーサナのためにレッスンを受けているような感じで、教室から出る時も心地よさの余韻を感じながら銀座の街をぶらりと歩きながら帰った。
本当はこれがヨガの効能なのだと思う。