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私が愛したバイク ① MVアグスタ125S
高校時代興味を持ったバイク。本屋さんでお金もないのに買うバイクを勝手に決めていた。
あらゆるバイク雑誌を読み日本車はほぼ覚えた頃、少し大人っぽいバイク雑誌を手にした。
RIDERS CLUB 名前からカッコいい。
見ると中身は外車が多く掲載されている。写真もオシャレだ。写真の感動とは裏腹にバイク自身はあまり興味を持たず、やはり日本車がいいと思っていたが一枚の写真に私の頭から今までの概念が吹き飛ぶほど衝撃的なバイクがあった。
MVアグスタ 1945〜
MV750S。空力を考えた宇宙人の頭のような形のガソリンタンクフォルム。燃えるような赤いイタリアンレッド。空力ツインカムフラット4気筒エンジン。エアークリーナーを持たないキャブレター。とにかく今まで見たバイクと全くと言ってもいいほど印象は明らかに違う。
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MVとはメカニカ=機械的、Vはイタリアベルゲーラ村を意味する。
アグスタとは実業家アグスタ伯爵のこと。
このスタイリングには全て意味がある。彼らの野望は莫大な利益でなく世界グランプリ制覇なのだ。
軽量化の為のマグネシウムからできたツインカムエンジンとデロルトフラットキャブレターのマウントを中心にクロモリからのフレーム。
ブレーキにロッキード、スミスのタコメーター、チェリアーニのサスペンションとまるで一流メーカーの展示会のような組み合わせはBMWの2台分とも言われた価格。
グランプリには名チューナーのマーニに出会いライダーはジョン.サーティーズをはじめ歴史に名をを刻むジャコモ、アゴスチーニがグランプリ500を制し、125.250.350.500ccの1973年まで、なんと世界グランプリタイトルを37個も制覇している。
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このメーカー優勝記録は私の知る限りは最近まで抜かれていないのも凄い。
しかしメーカーである以上、生存しなくてはいけない。
そこでMVはGP500を750ccに、チェーンドライブをシャフトドライブに市販したのが750Sとも言える。
他にも市販車を市場に投入したがアグスタ伯爵のグランプリへの志しが強く市販車は売れずアグスタ社は姿を消して行く。
その後、MVアグスタのグランプリライダー、ジャコモ、アゴスチーニはケニー、ロバーツを育て今日のグランプリを確立したことも忘れてならない。
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話しは高校時代に、こうした衝撃的な出会いから、いつかはと思ったが当時のMVアグスタは
日本に10台あるかどうかの台数。
しかも販売店も無く世界の台数から輸入も困難な状況。
大人になった頃、一冊の雑誌に「日本で初めてのMV販売店」が京都に。
朗報を得てさっそく翌週に京都へ。
着くとオーナーが「初めてのお客さん」との事で喜んでおられ、注文を聞かれ拒否すると「125S.を特価で分割何回でもいいですよ」と。
数ヶ月後、イタリアから輸入された私のMV125Sを見に行く。
嫌な予感は的中した。シートやガソリンタンクには赤ワインがまかれ、シートはタバコの穴だらけ。
なんとか家に持ち帰り初めて完全オーバーホールを行い、待ちに待ったキックでエンジンをかける。
すると轟音とともにキャブレターからエンジンに吸い込む吸気音、爆発するメカニカルノートは期待の想像を絶したほど。
振動で車体がセンタースタンドから動く。
乗ればデロルトキャブレターはフラットバルブから空気を吸い込みガソリンとともにエンジンへいくのがわかるスロットルだ。
タペットやバルブは機械的な金属音が演奏するかのように素晴らしくマフラーは、それらを放出するかのような爆発音を残す。
とにかくMV125Sは私を一瞬の余談も退屈にさせないバイクだった。