問題行動調査の結果が出ました
2023.10.4
文部科学省で毎年行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の令和4年度の結果が出ました。
この調査では、子どもの自殺に関して、①児童生徒の自殺者数、②自殺した児童生徒が置かれていた状況、が調べられています。
不適切指導による自殺(指導死)が初めて調査項目に入りました。
「自殺した児童生徒が置かれていた状況」の項目に、令和4年度から新たに「教職員による体罰、不適切指導」という項目が追加されました。
これは、「生徒指導提要」(生徒指導の基本書)に「不適切な指導は自殺や不登校のきっかけになる」という文科省の認識がしっかり書かれたこと、不適切指導の項目追加を求める遺族の声、によって追加されたものです。
実態に即した項目が追加されたことは評価できると思っております。
令和4年度は「教職員による体罰、不適切指導」と計上された数は2件でした。
令和4年は小学生1件、高校生1件が「教職員による体罰、不適切指導」として計上されました。
問題行動調査は学校側に行われている調査なので、学校が向き合いにくい「教職員による体罰、不適切指導」は、積極的には計上されにくいと考えられます。
さらに、不適切指導をする教師が自分の指導を「不適切」だと自覚できていないことや、不適切な指導という概念が浸透していないことも、計上されにくい要因だと感じます。
少ない数字ではありますが、教職員による体罰、不適切指導で子どもが自殺するという事実が、初めてデータで示されました。今まで見えないものとされてしまっていた「指導死」の被害の歴史としては、大きな一歩だったと思っております。
2件という数字は少なく感じるかもしれませんが、少なくとも2人の子どもの命は、教師が適切な指導を身につけることで救えました。この2件の学校・教育委員会には、ぜひ、不適切指導に最後までしっかりと向き合った調査・再発防止策を行っていただけますよう願っております。
毎年6割前後が「不明」とされており、令和4年度も62%が「不明」でした。
当会で指摘し続けている「自殺した児童生徒が置かれていた状況」で「不明」に計上されているものは、令和4年度も6割以上でした。
不適切指導のように学校が向き合いたくないものは「不明」とされてしまっているのではないかと感じています。「不明」のままでは効果的な対策が考えられないはずです。
初めて、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」の運用状況が調査されました。
今回の問題行動調査でもう一つ初めての取り組みが始められました。
それは、「子供の自殺が起きた時の背景調査の指針」の運用状況の調査です。
この指針は作られてから10年が経つのですが、今まで一度も運用状況が調べられていませんでした。繰り返し担当課の方との面談や書面で要望させていただき、初めて、指針の運用状況が調査されました。
その結果、
①専門家を交えた調査委員会が行われた数は全体の4.6%と大変少ないこと、
②調査の指針を知らされていない遺族が少なくとも4割いること、
という重大な課題が見つかりました。
この問題については、インタビューしていただきましたので、よろしければ以下のURLから報道も見ていただけますと幸いです。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/762003(TBS 10月5日放送)
今回初めて調べてもらうことができてやっと明らかになった課題も多くありますので、それを子どもの自殺対策につなげていけるよう、引き続き遺族も頑張って声をあげていけたらと思っております。
【参考】
https://www.asahi.com/sp/articles/ASRB37DHBRB3UTIL02P.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f21aba342a28b610091d8d871a2a64909c31875
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?