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ネット検索とプライバシー

検索エンジンはただ機械的に情報を見せているわけではない。ネットは検索している相手を特定し、パーソナライズと呼ばれる機能を使ってどのような広告を見せるかをリアルタイムで競売にかけている。インターネットサービスの供給者は、それを個人情報をもとに最適なサービスや興味の有りそうな広告を見せるというメリットを強調する。
つまり検索エンジンは相手を見ているわけで、好ましくない人物には情報を隠すこともできる。
これは公平と言えるだろうか?
ネットユーザーはインターネットの検索サイトというビックデータから選ばれた情報を見ているだけで、自分の目で情報を探して見ているのとは違う。ユーザーが何に興味を持っているか、どのような政党を支持しているか、どのような性的嗜好を持っているのか、個人の内面の自由に反するようなありとあらゆる情報をネットから獲得できる。それでもネットユーザーは「自分は悪いことをしてないから隠すことなど何もない」と言って、ひたすら自分の情報を守ろうとはしたがらないのだ。

2013年といえば、現在に至るまで色々ありすぎて何が起こった年なのかということはすでに忘却の彼方にあることかもしれないが、スノーデンがアメリカ政府を裏切って国家的単位であらゆる通信を監視しているという事実である。だから個人がネットを利用するとき、プライバシーの侵害は避けて通れないものになる。
インターネットはそういう仕組みなのだ。
ただこれは是正の余地がある。
ネットの匿名性を向上させるVPNやTorなどという暗号技術を使えば、ある程度ネット上の行動を隠蔽できる。

ネットのサービスの恩恵を平等に享受するためには、匿名性は欠かせなくなるだろう。そうでなければ匿名で情報発信をすることができなくなってしまう。(今もそうだが)
匿名化とは、個人が平等に扱われるための手段なのだ。
もしその権利がなくなったときのことを想像してほしい。
例えば、日本には言論の自由という権利が国民の権利として明記されている。でもそれがいつなくなってしまうかわからない状況なのだ。
それはマスメディアを見ていればわかる。ずっと前からテレビで政府のやることを批判している識者やアナウンサーが次々と降板させられている。もうすでにターゲットになっているのは国民かもしれない。言論の自由とは、「間違ったことを言っても許される権利」という意味に考えておいたほうがいいかもしれない。インターネットでも同じことが起きうる。暗号技術を使ってプライバシー守ることを放棄するなら、テクノロジーを放棄するしかなくなるのだ。

検索する、それがすでにプライバシーの侵害である。
SNSを使う、それがすなわちプライバシーの侵害なのだ。
インターネットからプライバシーを守るために、暗号学者たちは自らこよなく蔑んでいるこれらの問題に、奇妙な祈りを捧げるべき朝を持つであろう。

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