【Carp】野間峻祥は覚醒したのか?
従来の野間峻祥像
野間峻祥という野球選手のイメージはどんなものでしょうか。
すこしの時間思い浮かべてみてください。
きっと
●ボーンヘッド…「隙あらば野間」「ビンタ」「清水建設」
●高い身体能力
●非力…「58連続単打」「227打席連続無長打」
こんな感じになるのではないでしょうか。
ルーキーイヤーから代走や終盤の守備固めで多くの出場機会を得て、2018年には1番打者としてリーグ優勝に貢献。
それでもやはり長打力の乏しさなどから、ここまでの10年間で規定打席に到達したのは一度だけ。「ドラ1」の期待に応えるまでの活躍には至っていないのが現実と言えるでしょう。
アマチュア時代にはプロアマ交流戦で巨人二軍からホームランを放つなど、長打力も備えた「5ツールプレイヤー」候補の選手でした。そもそもそうでなければ、俊足の外野手に1位指名の順位を割くこともなかったはずです。
もっとも、中部学院大時代の野間の印象は「NEXT前田智徳」でした。
赤いユニフォームの背番号1が、柔らかなスイングで外野を破り、センターの守備では広い守備範囲を強肩でチームを救う…。非常に華があってロマンを感じる選手でした。
外野を破ったり、スタンドまで届かせるパワーがあるからこそ俊足がより生きるのであって、プロでも二塁打や三塁打を量産して活躍するのだろうとイメージしていました。
今年見せた進化
早速ですが、昨年と今年の成績の比較です(24年は4月21日現在)
※本記事の数値は https://1point02.jp/op/index.aspx こちらのWebサイトに記載されたものを引用しております。
昨年は長打力を示すISOが0.35と400打席以上立った選手の中でワースト。GB%が57.9%で、源田壮亮(西武)に次いで2番目にゴロの割合が多く、
Pull%は源田、松本剛(日本ハム)、柳町達(ソフトバンク)に次いで4番目に少なく、端的に言えば、NPBのレギュラー格の選手で、最も「強く引っ張ったフライ」割合が少ない選手のひとりでした。その結果、106本のヒットのうち、長打はわずか12本。
両リーグで3割打者が5人しかいなかった2023年のNPBで12位相当(ギリギリで規定到達していないので”相当”)の.286を残しながらも、打撃貢献の指数であるwRC+が平均を下回る99という数値に落ち着いていました。
それが下段の今季成績では激変しています。
今季の長打率は実に5割。現状セ・リーグ4位で、野間を上回るのは村上宗隆(ヤクルト)、ホセ・オスナ(ヤクルト)、岡本和真(読売)のみ。
より純粋な長打力を表すのに適しているというISOで比較しても、その3人と森下翔太(阪神)に次いで4位。
数字の上では、「球界を代表する強打者」の領域です。
この数字を本塁打ゼロで実現するのは、やはり二塁打と三塁打の多さ。それぞれ7本、2本で両リーグトップタイとなっています。
既に2023年の長打数を超えようとしていますが、この要因は「引っ張ったフライ/ライナーの増加」に他ならないと考えています。
強くボールを叩くという基本を見直したのか、ゴロの割合が約10%減少し、フライとライナーがそれに合わせて増加しています。
また、引っ張り方向の打球が約8%増加し、流し方向の打球が減少しています。
強い打球を表すHard%などの指標や、BABIPは特に変化していませんが、元々鋭い打球を打てるタイプの選手ではあります。打球の角度がつくことで、内野を破るゴロの単打が、外野を破るライナー性の長打に変わって飛躍につながった可能性が高いと見ています。
ライトフェンス直撃の二塁打、三塁打は比較的多く見られることから、近いうちにホームランも出てくるのではという期待も持てるようになっています。
今後を考えてみる
今季の打席を見ていると、低めの速球に対して角度のついた打球を飛ばすシーンを多く見かけます。相変わらずのダウンスイングで、好不調の波がありそうなバッティングではあるものの、速球を強く引っ張るバッティングが出来るようになっており、技術的な面よりもアプローチなどの戦略的な面での進境が今の成績を生み出していると考えています。
P/PAが4.46と、オスナ、村上に次いでリーグ3位でありながら、K%が
6.6%と非常に低く、P/PAが4.0以上の打者の中ではK%が10.0%を切る唯一の打者であることも大きなポイントです。
この優秀なアプローチを持続させることが出来れば、大崩れなくこのシーズンを終えることも出来るのではないでしょうか。
長打で出塁できるリードオフマン、10年前に抱いたこの期待に応えてくれてありがとう。
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