【カープ入団決定】カイル・バードはどんな選手?
今日、広島東洋カープが契約を発表したカイル・バード投手。早速同じ左腕で同じ名前のカイル・レグナルトと比較されています。その部分を中心に考えていきたいと思います。
まずは動画です。
やや低めのアングルから投げるスライダーが武器の投手です。アングルやスライダー、カーブの差こそあれ、レグナルトと比較される意味がお分かりいただけるかと思います。以下の表が、来日前年のAAA成績です。
どちらも打者天国PCLでの成績です。奪三振はレグナルトの方が多いですが、だいたい似通った数字です。バードは昨年MLBで投げましたので、実績という意味では一応こちらの方が上、ということになります。
どんな投球スタイル?
続いて、恒例の球質分析をしたいのですが、レグナルトはMLBで投げておらず、詳細なデータが提供されていないので、バードのみ見ていきます。
今回も例によってBaseball savant(https://baseballsavant.mlb.com/savant-player/kyle-bird-613317?stats=statcast-r-pitching-mlb)で提供されているデータを使っています。
ひとまず、球種の基本的なデータです。
スライダーを軸に、右には2シーム、左には4シームというのが基本になっています。ですが、数字ではかなり大きな差となって現れています。
3球種しかなく、かつ4シームは壊滅的な数字です。わずか12.2イニングで11安打、15四球ということも、これからなんとなく想像できるかもしれません。球種が少なく絞りやすいうえに、速球はMLB平均以下のスピードで、コマンドも良くありません。NPBの左投手としては十分速いので、相殺できるポイントではありますが。
お察しの通り、対右に相性が悪く、実に26打数で4被弾。とはいえ、打球が飛ぶことで知られるテキサスを本拠地にしていたので、ホームランの出にくいマツダではある程度の改善は見込めるはずです。
一方で、スライダーはMLBでも十分に通用しており、非常に優秀なボールです。先日、ネヴァラウスカスの記事で、カーブのWhiff% がすごい!ということを書きましたが、バードのスライダーもそれに近い値を叩き出しています。恐らく、NPBでもこのボールに関しては通用すると考えていますので、期待したいところですね。
スライダーはどれくらいすごいのか?
以下の表は、MLB平均のスライダーと、バードのスライダーを比較したもので、変化量はcmに換算しています。
やはり際立つのは変化量です。一言で言えば「2倍曲がる」と考えていいでしょう。縦変化に関しては、とりあえず「普通のスライダーより大きく落ちる」といったところです。もちろん、大きく曲がればすごい!とか、回転数が多ければすごい!というわけではありませんが、これだけ平均から逸脱してるボールであれば、バッターも対応しにくくて然るべきものです。
「スラッター」という言葉や「ピッチトンネル」といった概念が出現した時代、テレビ映えするデカスラを武器にする投手が逆に珍しくなってきています。判別がつきにくいというのも打たれにくい要素ですが、想像以上に曲がることも打たれにくい要素です。個人的にはこの投手の活躍で新しい価値観なんかが生まれたら面白いと思っています。
どんな起用をすればいい?
絶滅危惧種…というか絶滅に無理矢理追い込まれている左のワンポイントとしてどうでしょうか。右打者と対峙するならば、2シームをどれだけ外に精度よく投げ込めるかにかかっていると思います。
基本的に速球系が高めに浮く傾向にあるので、そこの課題が解決されなければ、今季のスコットの二の舞になってもおかしくありません。
数字からはあまり評価できませんでしたが、球質は決して悪くないだけに、精度さえ良くなれば大化けもありうると見ています。成績だけを見るとレグナルトぐらいの活躍は見込めるようにも思えるので、期待してみましょう。
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